22d ききょう目(ききょう科・きく科)植物
 
ミノノホマレ(キク)(美濃の誉,キク属)
 大輪菊の広物で八重咲きのものは岐阜を中心に大垣,名古屋地方で育種,栽培された
 ことから一般に美濃菊と呼ばれます。本種はその一品種で,鉢物などにして観賞。高
 さ1m位,幅広で大きな舌状花が三〜四重咲きとなる花径25〜30pの大輪頭状花を開き
 ます。花色は桃色で弁裏は淡色。花期は10〜11月。近似種に白色花の清光殿,黄色花
 の光明殿があります。
 
ゴセチノマイ(キク)(五節の舞,キク属)
 江戸時代から明治時代にかけ,東京,横浜を中心に発達した中輪菊江戸菊の一品種。
 鉢植えにして観賞。花径9〜18p,花弁は表が紅色,裏が白色で,中心は平弁,中に
 匙弁,外側に管弁からなります。咲き始めは外列から内列へと開き,花芯が現れると
 中心の平弁を抱えるように内曲して行き,この変化を「狂い」と呼びます。花期は10
 〜11月。近似種に表弁が桃色,裏弁が白色の荏原の霞があります。
 
チョウジギク(丁字菊(丁子菊とも),キク属)
 花の中心の管状花が発達して花弁状になったもので,香料にする丁字の花形に似ると
 云うことで丁字弁と呼び,丁字部が盛上がるものを吹上丁字,平らなものを平丁字と
 云います。ほかに立丁字,躙ニジリ丁字,寝丁字などの変化が多い。外側の舌状花が平
 弁にときは平丁字,管弁のときは管丁字,また匙弁サジベンがあり,それぞれ1列と多
 列があり,それらの色と丁字弁の色が同色,或いは異色のものとがあります。花径15
 p以上を大輪,5p未満を小輪,その中間を中輪として分けられ,大,中輪の多くは
 花壇と切花,小輪は花壇や懸崖,鉢仕立てにされます。
 
サガギク(嵯峨菊,キク属)
 鉢植えなど観賞用に栽培される秋咲きの多年草。嵯峨天皇の時代,嵯峨の里から作り
 伝えられたものと云い,京都嵯峨御所・大覚寺の庭に伝統を保持,展示され,11月1
 日〜25日が見頃。細長い平弁からなりますが花弁の両側が巻いているので管弁のよう
 に見えます。咲き始めは花弁が縮れ,乱れて繰出し,伸びるに従い四方に垂れ下がり,
 全部が揃うと,逆に上に向かって直立し,箒状の花形になります。花色は橙黄色,黄
 色,白色など。
 
ヒゴギク(肥後菊,キク属)
 肥後七代藩主がキクの栽培を奨励し,特に寛政の頃,秀島英露が『養菊指南車』を出
 し,作り方の規則を守り,熊本地方独特の花と観賞法が生まれました。舌状花が1列
 で15〜30片,広熨斗のように花弁が広くなく,清楚に見えます。大輪,中輪,小輪に
 分けられ,何れも平弁咲きと管弁咲きがあります。花色は白,黄,紅の純色が最も好
 まれ,中間色は良種とは云えず見ることが少ない。
 
イセギク(伊勢菊,松坂絲垂菊マツサカイトタレギクとも,キク属)
 江戸時代中頃,伊勢,松阪地方で栽培が始まり,発達したもので,花壇で栽培,また
 切花用。古くから茶室に飾られた多年草,花弁は垂れ下がります。イセギクは「伊勢
 の狂菊」と云われ,花弁が捩ヨジれるか,捻ネジれており,あるものは先端が裂けたも
 の,巻き込んだものなどがあります。優良種は花芯を抱いていて,花弁数が多く300弁
 を数えることがあります。
 
ブンジンギク(文人菊,キク属)
 主に懸崖仕立て,また盆栽,そのほか玉作り吊鉢,花壇,切花用などにされる多年草。
 高さ60〜90p,上部でよく分枝し,開花は秋,平弁の一重咲き,花径2〜9p,舌状
 花は白,黄,紫,紅色など,中心の管状花は黄色。
 
カイザキギク(貝咲菊,キク属)
 小菊は,本州近畿地方以西に自生する野路菊ノジギクや島寒菊シマカンギク,そのほかの種の
 交雑によって出来たものと云われる多年草。鉢植え,花壇,切花用。高さ60〜90p,
 上部で分岐します。花は秋,舌状花は多列で盛り咲き,花弁は舌状で広く,ポンポン
 ダリアと同じ杯形をしています。花径2〜9p,花色は白,黄,紅色などがあります。
 
ナナコギク(魚子菊,キク属)
 小菊は,本州近畿地方以西に自生する野路菊ノジギクや島寒菊シマカンギク,そのほかの種の
 交雑によって出来たものと云われる多年草。鉢植え,切花用。高さ30〜90p,よく分
 枝し,花期は秋。花は西洋菊のポンポン咲きに似た形を魚鱗に見立てたもので舌状花
 が多列で盛り上がっており,花弁は管状で上半分が縦に裂けています。
 
アザミギク(薊菊,キク属)
 江戸時代の『菊花壇養種』には中国伝来の垂絲粉と云う品種から出たと記載されてい
 ます。鉢物,切花用。アザミ類の花のように見える花を秋に付けます。舌状花が多列
 になり,盛り上がっており,その花弁は細く切れ込んでいます。
 
ポットマム(ヨウギク)(キク属)
 わが国や中国のキクが米国で改良されて逆輸入されたもので,ポット(Pot,鉢のこと
 ),マム(学名クリサンセマムの省略語)の意。高さ50p位に仕立てる秋咲き種。
 
クッションマム(ヨウギク)(キク属)
 中国やわが国のキクが米国に渡り,改良され,種子から作る品種。主に花壇やフラワ
 ーベッド用。高さ30〜40p,茎は剛直,よく分枝し,径40〜50pの半球形の株に纏ま
 っているところからクッションマムと呼ばれます。開花は9月末から10月,花色に白,
 黄,桃,赤色などがあります。
 
スプレーギク(ヨウギク)(キク属)
 わが国や中国のキクが米国で改良されて逆輸入されたもの(多年草)で,スプレーギ
 クとは房咲きに仕立てたキクと云う意味でしたが,分枝性のよい品種の総称となって
 います。切花,鉢物,花壇用。花は中輪,花色は白,黄,橙,桃,赤,青色などで,
 一重咲きや八重咲き,デコラティブ,アネモネ咲き,スパイダー(管)咲きがありま
 す。花期は10月下旬〜11月下旬。
 
クリサンセマム・ムルチコーレ(キク属)
 アルジェリア原産の一年草で,昭和37年に渡来。花壇,鉢植え用。高さ15〜25p,花
 径2.5〜3p,舌状花は倒卵形,花色は黄色,茎の先端に単生する多花性。花期は秋蒔
 きは春,春蒔きは夏。
 
クリサンセマム・パルドーサム(キク)(キク属)
 欧州原産(越年草)で昭和40年代に渡来し,ノースポールと呼ばれ,花壇の縁取りや
 プランター植え。高さ30p位,花径2p,舌状花は白く一重,管状花(中心花)は黄
 色。花期は長く早春から6月まで。
 
ホワイト・スター(マトリカリア)(キク属)
 東欧から西アジア原産の多年草ナツシロギクの園芸品種,一般にマトリカリアと呼ば
 れ,花壇,鉢植え,切花用。高さ30〜80p,葉に強い臭い,舌状花は1列で白色,中
 心花は管状花になり,頭花は径1.5〜2.5pで多数散房花序に付きます。花期は春〜夏。
 
ホワイト・スター(マトリカリア)(キク属)
 東欧から西アジア原産の多年草ナツシロギクの園芸品種,一般にマトリカリアと呼ば
 れ,花壇,鉢物用。高さ30〜40p,全て管状花からなる純黄色魚子ナナコ咲きのボール状
 頭状花を多く咲かせます。花期は8〜10月。
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