02d 野菜「葉菜類−葉」
 
◎レタス(苣チシャ)
 キク科 原産地:西アジア,地中海沿岸 漢名:萵苣チシャ
 プロフィール:レタスは,地中海沿岸から西アジアに広く分布する野生種を基に,地
中海地域で改良,栽培されるようになりました。エジプトにおいては紀元前4500年頃か
ら用いられ,古代ギリシャやローマでも健康と安眠をもたらす野菜として紀元前から食
べられいましたが,当時のレタスは結球しないタイプのもので,結球する玉レタス(玉
チシャ)が知られるようになったのは,16世紀頃からです。
 7世紀頃に中国へ伝わり,茎チシャが生まれています。わが国にも奈良時代には渡来
しており,918年に書かれた『本草和名』には,「白苣・知佐チサ」として記載されていま
す。チシャと云う呼び名は乳草が訛ったもので,学名LactucaのLacも"乳"を意味します。
これは茎を切ると白い液が出ることに由来しています。因みに萵苣チシャとは,咼カの国か
ら伝わった苣チシャと云うことです。
 わが国の主流である玉チシャが広く食べられるようになったのは1960年代からで,第
二次世界大戦後に進駐軍が常食としていたため,それから国内で作られるようになった
と云います。現在市場に出回っている品種も,アメリカにおいて育種されたものが多い。
涼しい気候を好むため,主な産地はシーズンによって変わります。夏場は長野や岩手か
ら,秋は茨城や香川から,冬場は静岡の各県からの出荷が多い。
 
 △レタスの主な品種
 @レタス:歯触りの良いクリスプタイプの玉チシャで,わが国のレタスの代表的品種,
  生食に利用されるだけでなく,煮てたべることもあります。
 Aサラダ菜:バターを塗ったような光沢があることから,バター型と呼ばれ,ヨーロ
  ッパ原産の玉チシャです。カロチンやカルシウム,鉄分が豊富です。
 Bマロンレタス:サニーレタスとサラダ菜を交配して出来た玉チシャの一品種で,バ
  ター型に分類されます。葉の色や縮みはサニーレタスに似ます。
 Cサニーレタス:葉チシャ(リーフレタス・バンチングレタスとも)の一種で,正式
  名はプライツヘッド,サニーレタスは銘柄名です。葉チシャの消費の先駆けとなり
  ました。
 Dグリーンカール(カールレタスとも):葉に細かい縮みが入った葉チシャの一種,
  葉は緑色で,味に癖クセがなく,食感も柔らかい。
 E青縮緬アオチリメンチシャ(マミーレタスとも):葉チシャの一種で,プリーツレタスは
  銘柄名です。アメリカでは古くから栽培されている品種で,癖のない味です。
 Fシルクレタス:葉先が美しい薄紅色をしているのが特徴,葉チシャの一種で,ピン
  クロースターは銘柄名です。
 G掻カキチシャ(包菜・カッティングレタスとも):下葉を掻き取って使う日本古来の
  チシャです。
 H茎クキチシャ(アスパラガスレタス・ステムレタス・セルタスとも):茎と若い葉を
  食べます。短く太いものから細くて長いものまであります。これを刻んで乾燥した
  ものを"山くらげ"と呼びます。
 I立タチチシャ(ローメインレタス・コスレタスとも):エーゲ海コス島原産,先が尖
  った楕円形が特徴です。外側は濃緑色,内側は淡黄色で,生食に向きます。
 
 △食べ方と効能
 レタスは年中出回っていますが,旬は秋です。クリスプ型は切り口が十円硬貨位の大
きさで白く,乾燥していないものを選んで下さい(切り口があまり大きいと瑞々しくあ
りません)。また葉は柔らかで艶があり,緑色が濃いものほど味が良く,栄養価も高い。
サニーレタスは葉先の赤色が鮮やかなものを,サラダ菜は葉が大きくて破れや傷がない
ものを選び,褐変しているものは避けて下さい。乾燥しないようにラップに包むか,ビ
ニール袋に入れて冷蔵庫で保存します。なお余分な水分があると腐りやすいので,しっ
かり水切りして下さい。
 生のままサラダにするときは,芯の部分から葉を1枚ずつ剥がし,食べやすい大きさ
に手でちぎって下さい。包丁で切るより断面が粗くなるので,水に浸けたときの水分の
吸収が良く,パリッとした歯触りになります。水気を切り,食べる直前まで冷蔵庫で冷や
します。
 中華料理においては炒め物に用いられることが多く,牛肉と炒め合わせてカキ油で調
味したり,干しエビと炒めてクリーム煮に仕上げたりします。また挽肉の味噌炒めを包
んで食べても美味しい。和風ならサッと茹でてお浸しにしましょう。
 ビタミンA効果,ビタミンC,カルシウム,鉄分を含みます。クリスプ型では,色が
濃い外葉の方が栄養価が高く,捨てずに加熱調理して召し上がって下さい。
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