02e 野菜「葉菜類−葉」
 
◎シュンギク 春菊(高麗菊・無尽草・不断菊・薩摩菊・しん菊・ルソン菊・オランダ菊
 とも)
 和名:菊菜キクナ アブラナ科 原産地:地中海沿岸
 プロフィール:シュンギクは,春に黄色の花を咲かせることから春菊と云う名があり
ます。元々は花を観賞する植物,食用に栽培するのは日本や中国などの東アジアだけで,
中国においてその改良がなされました。わが国へは室町時代に朝鮮半島を経て渡来し,
江戸時代末期頃から各地で栽培が始まりました。
 葉の大きさや切れ込みの程度によって大葉種,中葉種,小葉種に分けられ,全国的に
は香りの強い中葉種が主流です。中葉種には茎が立ち上がって分枝する株立ち系と,茎
が立たずに脇芽を盛んに出す株張り系とがあり,生長は株立ち系が早い。
 大葉種は主に西日本で栽培され,葉が大きく切れ込みが浅いのが特徴,香りがやや少
ないが,味に癖がないためサラダなどの生食にも利用されます。
 小葉種は最も香りが高く,以前は関東地方で多く作られていましたが,収量が低いの
であまり栽培されていません。
 
 △シュンギクの主な品種
 @株立ち中葉:関東地方を中心に栽培される品種,株立ちした枝を摘んで利用し,そ
  の後も次々に出る脇芽の茎葉も摘み取って利用します。
 A株張り中葉:株が立たず,広がり気味の草姿を持ち,根毎引き抜いて出荷されます。
  香りが高く,関西地方において用いられることが多い。
 B大葉(お多福菊菜とも):切れ込みが浅い箆ヘラ状の葉を持ち,アクが少ないので生
  食にも向きます。九州において多く栽培されます。
 
 △食べ方と効能
 シュンギクの旬は11月から3月,冬に美味しくなる野菜です。傷みやすい野菜なので,
葉が瑞々しいか,色が濃くて艶があるかなど手に取って良く確かめて選んで下さい。茎
が太過ぎず,茎の下の方にも良く葉が付いているものが良質,葉が萎れていたり,黄ば
んでいたり,茎が硬いものは避けて下さい。
 菊のような独特の香りを楽しむ青菜なので,香りを大切にすることが料理のポイント
です。生でも食べられますので,加熱するときはくたくたになるまで火を通さないよう
に注意して下さい。香りが逃げたり,葉触りも悪くなります。茹でるときは,面倒でも
茎と葉を分けて,茎が茹で上がる直前に葉を入れてさっと火を通して下さい。
 鍋の具にするときも,茎から入れて火が通ったところで葉を入れて下さい。和え物で
は,ごま和えやピーナッツ和えなどのやや酷コクのある味付けが合います。そのほか天麩
羅にしたり,生のままサラダにしても美味しい。
 特にカロチンの含有量は多く,ホウレンソウやコマツナを上回り,ビタミンB2,ビタ
ミンC,カルシウム,鉄なども豊富,またアミノ酸の一種であるリジンも多く含まれて
います。
 
◎ハクサイ 白菜
 アブラナ科 原産地:中国
 プロフィール:ハクサイの葉は淡緑色ですが,生長すると白い葉柄が伸びるため白菜
と名が付きました。元は中国においてカブとツケナが交雑して出来たものと考えられて
います。
 わが国おいての歴史は意外に浅く,明治8年東京博覧会のとき清国から山東ハクサイ
が紹介されたのが最初です。その後日清・日露戦争のとき中国へ出征した人々が持ち帰
った種子がきっかけで普及し始め,全国的に栽培されるようになったのは昭和に入って
からです。
 中国においては山東サントウ地方,北方,南方の3型に大別されます。気候と風土の関係
から,わが国においては山東型のみが定着しました。株の形態では結球性,半結球性,
不結球性に分けられますが,主体は結球性です。
 結球性のものには上部の葉が重ならない抱合型と,葉が重なる包被型があります。包
被型のものが主流で,中国系のタケノコハクサイ(中国野菜の項参照)やヘアレスハク
サイなどもこのタイプです。不結球性はツケナ類に分類されることが多い。
 かつては球の内部が真っ白なものが良品とされていましたが,1980年代に入ってから
は球内の葉が黄色を帯びるもの(黄心系)が好まれるようになり,現在の品種は黄心系
が主体です。
 
 △ハクサイの主な品種
 @抱合型ホウゴウガタ(砲弾型):秋から冬に出回る結球ハクサイで,主に漬物に利用さ
  れます。頭部の葉が重ならず,砲弾型になるのが特徴です。
 A包被型ホウヒガタ(円筒型):上部の葉は重なり,球頭部は丸くなります。わが国では
  最も多く出回っているタイプです。
 B半結球山東サントウ:胴が締まり,頭部が開いた形の半結球ハクサイの品種の一つで,
  東京や埼玉を中心に栽培されていてが,戦後は花心カシンが主体となりました。
 C花心カシン:現在では半結球ハクサイの主体で,胴部がよく締まり,頭部は開き,中心
  部は黄色です。関東地方において漬物に利用されていますが,近年は栽培が減って
  います。
 
 △食べ方と効能
 ハクサイは通年出回っていますが,矢張り旬は冬で,霜に当たると繊維が柔らかくな
り,風味も増して美味しくなります。外葉が大きくしっかり巻いているもの,白い部分
に瑞々ミズミズズしさと艶があり,緑の部分に黄ばみのないものが良質です。白い部分に
黒い点のあるものは,病気が発生している証拠です。切り口に割れ目のあるものも劣化
が進んでいます。また,半分に切って売られているもので,真ん中の芯が盛り上がって
いるハクサイは,切ってから時間か経過しており鮮度が落ちています。保存の効く野菜
なので,冬場は新聞に包んで寒い処(凍らない処)に立てて置きますと2〜3週間は保
ちます。横にしますと柔らかい葉の部分に重みがかかり,傷みやすくなります。夏場は
ラップにきっちり包んで冷蔵庫に入れて下さい。
 鍋物,炒め物,煮物,お浸し,汁の具,漬物などどんな料理にも合う野菜ですが,特
に冬は鍋物に大活躍します。芯と葉は火の通りが違うので,面倒でも別々に切り分け,
芯は薄く削ぎ切りにする位の配慮をして下さい。炒め物をするときは,水気が出やすい
ので,強火で一気に炒めることがポイントです。茹でたり煮たりするときは,汁を少な
くし,蓋をして蒸すように加熱すると甘味が出ます。生のままグレープフルーツなどの
柑橘類と合わせてサラダしてる美味しい。
 ダイコンと並んでビタミンCが多く,成分はキャベツに似ています。
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