05a 天麩羅の基本技術
 
〈揚げ方〉
△エビ
 @エビは新しい油を使い,180〜200℃の温度で,七分通り火を通す。
 A揚げ油の泡が細かくなれば出来上がり。
 A冷凍エビは水気を良く取り去る。
 
△キス
 @多めに衣を付け,180〜200℃の温度で揚げる。
 Aキスは良く揚げると,素材の水分が抜けて魚の味わいが凝縮され,旨味ウマミが増す。
 
△イカ
 @イカのように水気の多い素材は,薄力粉(生粉)を良くまぶしてから衣を付ける。
 A高温で揚げ,途中で裏返して1分少々で取り出す。
 B七分揚げとする(このため鮮度の良いものを用いる)。
 
△アナゴ
 @アナゴは1本丸ごと揚げる。
 A衣をしっかり付け,5分間火を通す。
 
△小柱(掻き揚げ)
 @掻き揚げは数種類の素材を混ぜるよりも,1種類の方が素材そのもの旨味が出て美
  味しい。
 A小柱1粒ずつに薄力粉を満遍なくまぶす。
 B衣は卵水を多めにゆるくする。
 C玉杓子で鍋肌からそっと入れ,周りが固まったら形を直す。
 D更に上から小柱を少し足し,箸で軽く押さえて揚げる。
 
△稚鮎
 @尾頭付き小魚を揚げるときは,ある程度魚の肌が見えるように余分な衣は落とす。
 A頭や骨まで十分に揚げる(泡が少なくなったら良い)。
 
△小茄子
 @表面がツルツルする茄子や椎茸などは,衣,薄力粉,衣の順に重ね付けする。
 A衣は魚介類より硬めにする。
 B140〜150℃で揚げ,箸で持って軽くなったら揚げ上がりです。
 
△薩摩芋
 @焦げやすいので,衣はタップリ付ける。
 A低温でゆっくり揚げる。
 
△ごぼう・人参
 @衣はゆるめに溶く(衣が濃いと重くもったりして,素材の味や歯応えが楽しめない
  )。
 A揚げ過ぎると素材(身)が痩せるので良くない。
 
△三つ葉
 @葉ものは140℃の低温で揚げると,色良く揚がる。
 A葉の部分には衣を付けない。
 
△たらの芽
 @低温で,中まで柔らかくなるまでじっくり揚げる。
 A薄力粉は付けない。
 
△豆腐
 @薄力粉をまぶして衣を付け,高温で狐色に揚げる。
 A揚げ過ぎると割れてしまう。
 
△鶏笹身
 @薄力粉,衣の順に付け,高温でサッと揚げる。
 A中まで火を通し過ぎない(新鮮なものを用いる)。
 
〈天汁テンツユの作り方〉
 天麩羅の味を活かすには,水の割合を多くして薄味の天汁を作る。鰹節は血合の入っ
たものでも良く,出来れば厚く削ってたっぷり用いると,出汁ダシの味が活きて来る。
材 料:鰹節適量,水4.5に対して,味醂1.3,濃口醤油1の割合
作り方:@鍋に鰹節と味醂を入れ,火に架けてアルコールを飛ばす。
 A水を加えて沸騰させ,アクが出て来たら丁寧に取り除く。
 B醤油を加えて,一度煮立たせ,再度アクを取り除く。
 C布に通して漉す(布は絞らないこと)。
 D天汁は,常温で冷まして使うのが美味しい食べ方。
 
〈丼汁の作り方〉
 天汁に清酒と砂糖を加えても作れるが,揚げ玉を入れるとより酷コクが出て味が良くな
る。揚げ玉は天麩羅を揚げているとき,油に浮いた天滓を利用すると良い。
材 料:鰹出汁3に対して,味醂4,清酒3,砂糖1,醤油4の割合,揚げ玉少々
作り方:出汁に調味料を入れて味を整え,揚げ玉を加えて一煮立ちさせて漉す。

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