09 樹陰に苔生す岩やその仲間〈地質調査の方法〉
樹陰に苔生す岩やその仲間〈地質調査の方法〉
〈地質調査の方法〉
△地質調査法の種類
物理学的な調査法には次のようなものがあります。
@一般的な基礎地盤,地質構造などの調査は伝播速度による地質探査,A海底の基礎
地盤,地質構造などの調査は音響インピーダンスによる音波探査,B地下水,鉱床など
の調査は比抵抗による電気探査,C石油,石炭などの調査は密度による重力探査,D磁
性鉱床などの調査は帯電率などによる磁力探査,E放射能鉱床などの調査は放射能探査,
F地熱源,温泉などの調査は熱伝導度による地温探査などがあります。
地質学的調査法では,地質家による地表地質調査が最も重要です。
△地表地質調査
地表地質調査とは,地表で見られる岩石・地層の境界を追跡し,地下の地質を判断す
る一連の野外作業です。すなわち,調査地内を踏査して,地層に見られるところ(露頭
という)を観察し,記載しながら(点の調査),路線踏査図ルートマップをつくる(線の調
査)ものです。地表で見られる岩石・地層・割れ目・断層などの性状を,事実のとおり
観察し,色彩・記号で図面に表現していく作業です。
地質図とは,地表に露出しているいろいろな地質時代の地層・火成岩・変成岩の分布
や地質構造(断層や褶曲)などを,地形図上に図示したものです。
△空中写真地質調査
空中写真による地質判定の基本の一つは,実体鏡による地形区分です。
富士山のような火山は,円錐形の地形で,一目で火山だと判定できます。花崗岩から
なる山地は,山肌のヒダが細かく,崩壊地の数が多いことから地形的に区分しやすいで
す。
断層破砕帯は,地質が軟らかいため,風雨による侵食作用の影響を受けやすく,周囲
の地形に比較して低地形をなしています。断層線は,普通,直線状の谷地形や一列に配
列した鞍部アンブとなっているため,しばしば写真上でもその位置が明らかなときがあり
ます。
△地質状況の定量的表現
幅広い断層,急角度の断層,よく発達した節理なとどいった表現よりも,幅3mの断
層破砕帯,50度の傾斜をした断層,節理間隔10p程度などと表現した方が分かりやすく
実際的です。
△物理学的調査法
・地震探査(屈折法):火薬の爆発などによって人工的に起こされた地震波は,地中
を屈折し,反射しながら伝播していきます。地下の地層(速度層と呼んで,地質学でい
う地質と区別します)の深度・傾斜・伝播速度を知ろうとするものです。
・電気探査(比抵抗法):岩石や地層は,一般に固有の電気抵抗をもっており,単位
体積の抵抗値を比抵抗と呼び,地下の比抵抗分布を計算します。
参考 「やさしい地質学」築地書館株式会社発行
[次へ進む] [バック]