08 こんにちは昆虫たちよ〈その他の害虫〉
 
         こんにちは昆虫たちよ〈その他の害虫〉
 
〈家畜害虫〉
 △双翅目
 ・アブ類
 アブの昆虫は,わが国では約60種が知られていますが,家畜害虫として主要なものは,
メクラアブ,ヨスジメクラアブ,ウシアブ,アカウシアブ,キンイロアブ,キスジアブ,
シロフアブなど30種ほどです。出現期間は5~9月の間で,成虫の寿命は10~30日程度,
産卵は一般に幼虫の生息に適した湿地帯に自生する植物の葉裏になされ,約1週間で孵
化した幼虫は,地中に潜って小型のミミズ,昆虫,貝類を捕食して成長します。幼虫期
間は数ケ月から1~3年を要するといわれます。成虫の体長は種類によって異なります
が8~26mm,開張12~48mm,雄成虫は植物の密や汁液を吸って生活しますが,雌成虫は
吸血性で,昼間に人畜を襲います。吸血時間は3~10分間,家畜の周囲を執ように飛び
回るので,尾や脚でアブを追い払って刺咬を免れようとするため,焦燥して食欲減退や
泌乳量減少などの結果を招きます。媒介する病気としては,伝染性貧血病,炭疽病,ト
リパノゾーマ病,肺胞性口内炎などが重要です。
 ・ハエ類
 人畜共通の衛生害虫が多く,主要なもの30余種がありますが,サシバエ科,ウマバエ
科,ウシバエ科が重要です。
 サシバエ科はイエバエに似た外形を有しますが,口器が硬く,吸血のため細長い管状
を呈し,しかも休息時にも頭の前方に突出する特徴をもつています。
 サシバエは,家畜,時には人も刺す世界共通腫で,日本各地に生息します。体長6~
8mm,開張12~14mm,体は灰黒色,老熟幼虫の体長10mm,最大部の幅約1.6mmで前方が
細まります。馬糞や堆肥から発生し,蛹で越冬,成虫は昼間活動性で,特に日当たりの
良い場所に集まります。畜体の吸血部位は下腹部と四肢が多いです。十分吸血するは3
~5分を要します。
 ノサシバエは,全北区に広く分布し,わが国では本州以北に生息します。成虫の体長
4~5mm,開張7~9mm,暗灰色で黒色又は黄色毛を疎生します。老熟幼虫の体長約7
mm,最大部の幅約1mm,年数回発生し,蛹で越冬します。牛,馬,緬羊,犬などから吸
血します。特に放牧中の黒色和牛を好みます。吸血部位は肩と胸側が多いです。吸血時
間はサシバエより短いですが,頻繁に来襲するので搾乳作業に困難を伴い,かつ泌乳量
が減少します。また鞭毛症を媒介します。
 ウマバエ(ウマバエ科)は,幼虫が馬の胃に寄生する特異な種で,ほとんどが世界共
通種です。成虫の発生期は7月上旬から10月上旬まで,馬の周辺を飛翔し,被毛の先端
に1粒ずつ産卵します。馬は神経過敏となり,凶暴な動作をします。孵化した幼虫は,
馬が皮膚をなめたときに経口的に胃や腸に移り,消化管壁に口器を刺入して寄生します。
胃壁に寄生する形状が筍に似るため俗にタケノコムシと呼ばれます。寄生体内で越冬し
た幼虫は,初夏の候に排糞とともに体外に出て,地中浅い所で蛹化します。寄生を受け
た馬は慢性的な栄養不良に陥ります。
 ウシバエ(ウシバエ科)は,ヨーロッパ,北米に広く分布し,牛,馬,その他の家畜
皮膚下に寄生して皮膚に穴を穿つ著名な害虫です。わが国では輸入牛にしばしば発見さ
れましたが定着の可能性はないものとされてきましたが,1966年以来北海道十勝地方の
国内牛への寄生が認められて以来,各地からの発生の報告がされており注意を要します。
 ・カ類
 一般に大家畜を好んで吸血するものは,シナハマダラカ,コガタアカイエカ,キンイ
ロヤブカなどで,泌乳量の減少や肥育日数の延長などが見られます。シナハマダラカは
マラリアの,コガタアカイエカは日本脳炎の媒介昆虫として知られ,豚や馬は日本脳炎
ウイルスの増幅動物と目されています。
 ・ブユ類
 ブユ科に属する微小昆虫で,俗に東日本ではブヨ,西日本ではフトと呼ばれ,古くか
ら吸血性害虫として知られています。世界で約800種,日本では40余種が明かなされて
います。成虫の体長は2~7mm,幼虫は主に急流のなかの岩や植物に付着して生活しま
す。幼虫期間は20~40日,吸血するのは雌成虫で,主に夕刻,時には早朝に野外で人畜
を吸いますが,屋内に侵入することは少ないです。刺咬された傷口は少量の流血を見,
その周辺部は著しく腫れて激しい痒痛を覚えます。家畜は落ち着きを失い,乳量低下,
肥育日数の延長をきたします。
 ・ヌカカ類
 名前の示すように微小な昆虫で,成虫の体長0.6~2.0mm内外,一般に黄褐色ないし褐
色,水辺の石や草に卵塊として産卵され,4~10日に孵化した幼虫は,湿地,池,緩流
などで3~5ケ月,種類によっては11ケ月の幼虫期を経て孵化,ついで羽化します。成
虫は一般に昼間活動性で,雌は朝夕の低照度時に盛んに吸血活動を行います。また各種
の家畜の疾病の媒介をします。
[次へ進んで下さい]