02d 魅惑の植物世界
【海からきた勝利者】
海で発生した植物は陸へ上がって勝利者となりました。植物は全ての生物のうちで,
砂漠から両極へと最も広い地域に分布し,数も多く,逞しく生育しています。しかし,
植物に最も簡単な形の茎や葉や根が進化してできるまでには,幾百万年もの年月が必要
でした。現存する約37万5000種の植物の中にも,まだ非常に原始的で植物とは思えない
ものも多くあります。
〈進化の追跡〉
地球上に最も早く出現した生命は,知られている限りではカナダで化石として発見さ
れた藍藻で,20億年前と推定されています。
1 古生バクテリア(カンブリア紀前−20億年以上)
最初の組織的な形をした生物 化学バクテリア 50種
発光バクテリア 50種
ブドウ状球菌,杆状菌など 2000種
2 原始藻類(カンブリア紀前−約20億年)
最初の酸素を生産する植物 藍藻 1500種
紅藻 3500種
3 緑藻類(カンブリア紀−6億年)
最初の組織的な形をした葉緑体 緑藻 6500種
双鞭毛藻 1000種
ユーグレナ類 450種
菌類 4万種
褐藻 15000種
黄金藻など 11000種
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蘚類 14000種
苔類 8000種
4 マツバラン類(シルリア紀−4億2000万年)
最初の真の茎 マツバラン類 3種
ヒカゲノカズラ類 1100種
トクサ類 25種
5 シダ類(デボン紀−3億9000万年)
最初の真の葉 シダ類 1万種
6 裸子植物(石炭紀−3億4500万年)
最初の真の種子 ソテツ類 65種
松柏類 65種
7 被子植物(白亜紀−1億3500万年)
最初の花 双子葉植物 20万種
単子葉植物 5万種
各植物の進化の段階は,代表的な化石になった種とか,理論的に再現された種によっ
て裏付けられています。但し,最初の藻類である"原始藻類"だけは,その進化の段階が,
殆ど解明されていません。これらの植物の祖先ともいうべき化石植物が属するグループ
は,同一とされており,その各々の段階から進む線を辿れば見事に分化していったかが
分かります。
上記の区分において,古代植物の研究家は次のように想像しています。
即ち,一つのグループが進化して行くときには,少なくとも一つの新しい支脈が生ま
れ,それはまた次の進化の大きな素材となるだけの遺伝的変異を十分内に秘めていまし
た。新しいグループが作られている間も,古いグループは進化を続けてきました。こう
して各植物のグループの分化が次第に進む反面,それ以上に大きく進化して新しい植物
になる可能性は次第に失われる傾向にあります。
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