10c 美味しい野草 食べ方いろいろ
 
ムカゴとハコベご飯
   米200g,ムカゴ50gの割合で塩少々を加えて炊きあげ,蒸らした後,飯びつに移す
  時にハコベ50gを茹でてみじん切りにしたものを混ぜる。
 ムカゴ(零余子) やまのいも科 日本全国
  1 ナガイモ,ヤマノイモ,ツクネイモ,カシュウイモ,マルバドコロのやまのい
   も科の植物に生ずる肉芽の俗称(オニドコロ,ヒメドコロ,タチドコロには生じ
   ない)である。熱灰に入れて焼いたり,蒸かしたり,煮たりして食べる。
  2 みたらし団子は,ムカゴ50gを茹でて潰し,小麦粉20gと塩少量を加えて十分に
   こねて小さい団子に丸め,3,4個ずつ小さい串にさして焼き,砂糖醤油をぬる。
  3 ムカゴを塩茹でし軟らかくなったら茹で汁を捨て,粉ふきいもの要領で熱い中
   にふり塩をして鍋に火をかけ,揺り動かしながら水気を去る。
 ハコベ(繁縷) なでしこ科 分布 日本全国
    茹でてゴマ和えにしてもよく,三杯酢で和える場合は,ほぐして乾魚をあしら
   うと味が増す。また,よく洗って生のままマヨネーズをかけて食べるのは大層美
   味である。漬物も可。
  同種:ミドリハコベ,サワハコベ,アオハコベ,ウシハコベ
                                       
  春の七草:芹(セリ),なずな(ペンペン草),すずな(カブラ),すずしろ(ダ
   イコン),仏の座(タビラコ),御形(ハハコグサ),はこべら(ハコベ)
                                       
ツルナとツユクサの酢味噌和え
   ツルナとツユクサを同量,重曹を入れた熱湯でさっと茹で手早く水で晒してしぼ
  る。味噌と砂糖と酢を好みの分量だけ煮出汁でとき,先の材料を和える。ツルナの
  ほろ苦さのクセが味噌で消され,舌ざわりのよい溶けるような味はたまらない。視
  覚に訴える新鮮な緑色が一層食欲をそそる。
 ツルナ(蔓菜,ハマジシャ) つるな科 分布 日本全国(太平洋岸砂地)
    若葉と若茎の酢味噌和えがよく,味噌汁の実にも結構である。
 ツユクサ(露草) つゆくさ科 分布 日本全国
    葉と茎が食用となる。葉だけを酢味噌和えにして小鉢に盛り,ツユクサの花一
   輪をあしらえば風趣のある料理となる。
  同種:マルバツユクサ,ホウライツユクサ,オオボウシバナ,シマツユクサ
  万葉集第七巻一二五五「鴨頭草ツユクサに衣ぞ染むる君がため 綵色イロドリごろも摺らむ
  と念モいて」
                                       
イタドリとクローバーの胡麻和え
   イタドリの若茎とクローバーの葉を同量,茹でてしぼっておく。炒り胡麻を適量,
  油の出るまですり,味噌と砂糖で味をつけ先の材料を和える。胡麻の代わりにカボ
  チャ,キウリ,スイカ,シロウリなどの種子を干して貯蔵しておき,必要に応じて
  炒って用いるのも美味しい調理法である。
 イタドリ(虎杖) たで科 分布 日本全国
  1 蓚酸が含まれているので,生を食べ過ぎると下痢をおこす場合がある。通常は
   若茎を茹でて料理する。
  2 若茎を茹で,ミカンの皮少量を細かく刻んだものに味噌と砂糖を合わせて和え
   る。
  3 塩漬は若茎を手早く茹で,3,4pに切って容器に入れ,塩を振りかけて軽い重
   石をする。若芽100gに対して塩4gが適量である。
  4 甘酢漬,糠漬,納豆和え,酢の物,浸し物,カレー煮,田楽,米麦飯に炊き合
   わせるかてもの(飯の上において炊き込む),味噌汁の実
  古事記履中天皇の御歌「多遅比タヂヒ(イタドリ)野に寝むと知りせば立薦タツゴモも 待ち
  て来コましもの寝むと知りせば」
 クローバー(詰草) まめ科 日本全国
  1 ヨーロッパ原産で,シロツメクサは徳川時代初期,アカツメクサは明治維新頃
   渡来し野生状態となっている。
  2 葉を茹でて胡麻和えにするか,てんぷらにするのがよい。
                                       
レンゲソウとハゲイトウのてんぷら
   レンゲソウの若芽とハゲイトウの若芽を適当量混ぜ,水溶きした小麦粉をつけ,
  よく煮立った油で揚げ,塩と胡椒を振って食べる。茹でて食べるより美味しく食べ
  られる。
 レンゲソウ(蓮華草,レンゲ) まめ科 分布 日本全国
    徳川時代中期に中国から渡来し,野生化した。
 ハゲイトウ(葉鶏頭) ひゆ科 日本全国
    レンゲソウよりやや早く熱帯アジアの南方から中国を経て渡来した。
                                       
オオバコとタンポポの煮つけ等
   煮つけには,オオバコの若葉100g,タンポポの若葉80gの割合で茹で,細かく切
  って鍋に入れ塩,醤油,砂糖など好みの量の調味料を加えてゆっくりと煮込む。
   同じ割合の若葉を塩茹でにして二杯酢をかけるのもよく,塩茹でしたものを油で
  炒めた料理は特に美味しい。
   オオバコもタンポポも老葉を使うときは,苦味が強いから重曹か灰汁で茹で,よ
  く水に晒してから用いるのがよい。
 オオバコ(大葉子) おおばこ科 分布 日本全国
 タンポポ(蒲公英) きく科 分布 日本全国
    タンポポを食べるのは若葉のときがよく,花が咲くと葉も花も蕾も苦くて食用
   には適さない。若葉は生のままよく水に晒してからソースをかけたり,サラダの
   中に入れても美味しい。バター炒めもよい。
 タンポポの見分け方:西洋タンポポの外総包片はつぼみのときから外側に反曲するが,
   日本のタンポポの外総包片は反り返らない。
                                       
ミヤマイラクサとタラノキの味噌しめ
   ミヤマイラクサの若芽とタラノキの新芽を同量,刻んで混ぜ,生のままを味噌と
  砂糖を適量に混ぜたもので和える。約30分間そのままにしておき,のち食べる。山
  菜料理としてまさしく王者の味を持つ調理である。
   両者とも味にくせがなく,ひなびた佳香があるので茹でないで生のまま使うのが
  よい。
 ミヤマイラクサ(深山蕁草,アイコ) いらくさ科 分布 日本全国
    これだけを調理しても美味しい。煮つけ,煮浸し,ひやし汁,卵とじなどに,
   またクルミ,ゴマ,カラシ,マヨネーズ,納豆などで和え物にすると一層よい。
 タラノキ(太良木) うこぎ科 分布 日本全国
    生のままの若芽はどのようにしても美味しい。サンショウの若芽を混ぜて酢味
   噌和えもよい。
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