10d 美味しい野草 食べ方いろいろ
ギボシ類とギシギシの献立
両者共それぞれに美味であるが,この二つを混合しての各種の料理はお互いにそ
の味を生かして献立を工夫すると格段に美味しい山菜料理となる。特に酢味噌和え
は蔬菜類をはるかに凌ぐものである。
ギボシ類の若葉もギシギシの若芽も灰汁で茹で水を替えて浸しアク抜きをしてか
ら使う。山里の小川などにギボシ類の茎柄が晒されているのをよく見かけることが
ある。
佃煮として,ギボシ類の若葉の柄100g,ギシギシの若葉50gを粗いみじん切りにし
てさっと茹でて水に晒しアク抜きをする。それを堅く絞って鍋に平らに入れ,煮出
汁1dlに,塩,醤油,味醂少量を加え中火で煮きって火から下ろし,切り胡麻を混
ぜる。
炒め煮は,ギボシ類の若芽200g,ギシギシの若葉150gを5,6pにちぎり水洗いし
水を切る。鶏ガラのスープ5dlを熱し,塩,醤油,酒,胡椒を少量入れて味を整え
る。鍋を熱して油4gを入れて熱する。油から煙が立つ直前に,ノビルの根茎とニン
ニクのみじん切り少量を入れて強火で炒め,次にキクラゲ少量を入れて軽く炒めて,
それに先のギボシ類とギシギシを入れ,すぐにスープを加えて混ぜ,胡麻油を手早
く混ぜ入れて熱いうちに食べる。
ギボシ類(擬宝珠類,オオバギボウシ,ウルイ) ゆり科 分布 日本全国
ギボシ類は現在の食用野草の代表的なものであるが,それに関する文献が少な
い。
ギシギシ(羊蹄) たで科 分布 日本全国
若芽を茹でて,ワサビ醤油,ショウガ醤油,三杯酢,酢味噌和えとして美味し
いものである。
ギシギシの同類にスカンポの名で親しまれているスイバがある。
ワラビとゼンマイを上手に使った献立
ワラビとゼンマイは,それぞれに調理しても美味しくよく知られているものであ
るが,両者を混ぜて使うと更によい味になることを特記したい。
ワラビとゼンマイは桶に入れ,その上を木灰で被い,上から熱湯をそそぎ,しば
らくして引き上げ,直ちに冷水に浸すとアクが抜けるので,十分にアクを去った後
に調理することである。煮たり乾燥して貯えたり,また,生のものを塩漬として保
存し,使用する時に1,2時間水に浸し軽く茹でて料理してもよい。
浸し物,たたき,胡麻和え,辛し和え,胡麻味噌和え,サラダ,味噌汁の実,油
揚げとの甘煮,炊き込みご飯,てんぷらなどさまざまな調理法がある。
青煮は,アク抜きしたものを軽く茹で水気を去って適当な長さに切り,味醂に少
量の酢とトウガラシを加えて煮立たせた汁を冷やし,その中に浸す。
青漬は,沢庵漬のように塩と好みの量の砂糖を混ぜたものに漬けて貯蔵する。こ
れは正月料理の逸品。
砂糖漬は,アク抜きして半乾きにしたものを,しばらく水に浸した後,取り出し
て水気を去り,適当の長さに切って白砂糖をたっぷり加え,磁器製の蓋物に入れて
十分に目張りをして貯蔵する。
白和えは,アク抜きしたものを更に湯煮してザルにあげ堅く絞って適当の長さに
切り,生醤油,砂糖,味醂でよく煮つめる。炒り胡麻と豆腐をすり混ぜて和える。
豆腐に砂糖,味醂,塩で軽く味をつけておくと一層美味である。これは家庭料理と
いうよりも割烹料亭の超一流品なみである。
ワラビ餅は,ワラビ粉を水に溶かし強火でよく練って煮上げる。これは透明な程
上質であり,不透明なものはよく煮るとよい。煮上がったものを型に入れて冷やし
適当に切るかちぎって,キナ粉に砂糖,塩少々を混ぜたものをまぶす。
ワラビ粉の作り方は,秋から冬にかけてのワラビの根を掘り,水で洗い臼で搗い
て布袋に入れ,水を張った桶の中でよく振り出し,澱粉がでたら袋を絞り,再び臼
で搗きまた振り出し,この操作を2,3回繰り返して十分に澱粉を出す。澱粉の水
を度々替えてよく晒し,日乾しして貯える。
ワラビ(蕨)・ゼンマイ(銭巻) ぜんまい科 分布 日本全国
万葉集一四一八「石イワ激ハシる垂水タルミの上のさ蕨(和良妣)の萠え出づる春になりけ
るかも」
シイタケのスープとアカザ
干しシイタケ5,6本を水に戻して2,3片にそぐ。干し海老少々をぬるま湯に20
分間ほど浸して戻す。鶏ガラのスープ5dlに干し海老の戻し汁を加え,先のシイタ
ケと海老,ショウガ少々を入れて熱し,沸騰する前に,塩,酒,胡椒を少しずつと,
醤油,胡麻油各数滴を加えて好みの味に整える。アカザの若葉100gを適当にちぎっ
て器に盛り,スープを混ぜながら食べる。
加工して美味しい野草(抜粋) 資料:自然食 山海の野草
T ジャムにして美味しい野草
1 作り方
野草100gに対して砂糖300g塩少々の割合とする。作り方は,よく洗った野草をみじ
ん切りにして塩をふり,鍋に入れ,砂糖とその砂糖を溶かすだけの水を加え火にかけ
る。ゆっくりと弱火で煮込み,すっかり汁のなくなるまで煉る。材料植物は2種類以
上を混ぜる方が良い。
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