秋の月は限りなくめでたきものなり。
いつとても月はかくこそあれとて、
思ひわかざらむ人は、
むげに心うかるべきことなり。
兼好法師
四季の移り変わりが、気温の変化の他、感じることが少ない都市生活です。しかし、エアコンの中での生活でも、秋を感じることができる「お月見」は、多くのご家庭で簡単に楽しめる貴重な年中行事といえるでしょう。
ここでは、お宅でもできる「お月見」の方法をご案内します。
家の中で東から南を望める窓・ベランダ・屋上などを探します。月見の醍醐味は地平線や建物の陰などから月が出るときです。その大きさは空の真ん中に登ったときの大きさ(勿論見かけの大きさですが)とは比べものになりません。
そのような場所に祭壇(単純にお供えを乗せる台なので何でもかまいません)を用意します。
その祭壇の前に、月をくつろいで眺められる場をしつらえます(マットでもイスでも、勿論宴会場でも結構です)。
部屋の明かりは暗めに設定します(特に室内の場合は、明るいとガラスの向こうのお月さんが見えにくくなります)。できればロウソクの明かりのように自然の暖かい照明がグーです。籠提灯は最適の道具立てとなるでしょう。
セレモニーは、強いて言うとその灯りに点灯するときと、月が顔を出して自然とみんなの中に歓声が上がるときでしょう。
後の趣向はご自由に・・・・・・・。秋の夜長をお楽しみ下さい。
空きの月は、美しい故か、十五夜以外にも楽しむことが出来ます。
●十五夜=陰暦八月十五日(今年は九月十二日)の月 望月(もちづき)ともいう。待ちこがれた気持ちのあらわれか。
●待宵(まつよい)=陰暦八月十四日の月 万一、十五夜の月が雲に隠れたりした場合を思って、手回しよく前夜に月を賞しようという心であろう。
●十六夜(いざよい)=陰暦八月十六日の月 既望(きぼう)ともいゝ、すでに望月が来たこと、やはり観月の夜とした。
●立待月(たちまちつき)=十六の月、居待月(いまちづき)=十七日の月、寝待月(ねまちづき)=十八日の月。だんだん月の出るのが遅くなり、立って待つのがつらくなり、十八日にはくたびれて(酔いつぶれて?)寝っ転がって待つ頃に月が出る様子からこのように呼ばれた。
●十三夜 陰暦九月十三日(今年は10月10日)の月 十五夜に次いでの名月とされ、「片月見はするものではない」等と言われるように、十五夜とともに楽しむものとされている。
お月見のお供えには、月の神様の依代(よりしろ・神様が降り立つ場所)としての「すゝき」を飾り、神酒を供え、白い大きな団子に添えて、くり、枝豆、かきなどを上げます。特に、十五夜には里芋をお供えするので、「芋名月」とも呼ばれるくらいです。十三夜では特に豆や栗が重視され「豆名月、栗名月」ともいわれます。飾り方の例えとしては、こちらをご覧下さい。
ご家庭で月見団子を作るときは、上新粉を使うと良いでしょう。分量や団子までの作り方は袋等に書いてあるので省きますが、おにぎりや土の団子と違い、握りしめたり、コロコロしても上手く仕上がりません。親指と人差し指でOKのように丸をつくり、その中を押し出すように、押し出すように段々に形を作っていくと綺麗に仕上がります。
お供えは普通「三宝」という台に乗せて供えますが、無い場合には、白めの大皿に右図のように折った半紙を、二枚づつ敷き詰め、その上に乗せると良いでしょう。
いずれにしても、秋の草花や秋の実りを飾ります。団子の代わりに中国風に「月餅」を供えるのも一つの趣向です。御神酒は神様とともに楽しむものですから、日本酒でも洋酒でも貴方の飲みたいお酒が一番神様に喜ばれるのかもしれません。