ちょっとしたコラム      
               
05.7.30付


打点

 通算記録では王貞治(巨人)が2170打点でトップ。本塁打で一気に打点を稼げる長距離打者に有利な記録であり、通算打点ベストテンは通算本塁打ベストテンと長嶋茂雄(巨人)以外は同じ顔ぶれとなっている。王は100打点以上が14度で打点王が12回。野村克也(西武)もパ・リーグの雄としてそれぞれ王に次ぐ歴代2位の100打点7度、打点王7回の記録を残している。

 現役1位の清原和博(巨人)は100打点以上は01年の1度きりだが、70打点以上は昨年まで19年中13度とコンスタントに積み重ねてきた。昨年時点ですでにベストテン入りしており、今季は51打点を追加して通算1490打点と歴代8位に進出。1500打点も間近となっており来年にはベスト5入りも有望である。
 現役で1000打点以上は他にいないが、3年以内で達成出来そうな候補選手は多い。最も近いのが996打点まで来ている田中幸雄(日本ハム)。2000本安打に注目が集まっているが、こちらの大台が先に達成されるのは確実だ。4月に2000本安打を達成した古田敦也(ヤクルト)も993打点まで来ている。前半戦での達成が期待されていたが、故障などで例年よりペースが遅く後半戦にずれ込んだ。

 987打点まで来ているローズ(巨人)が外国人選手初の1000打点打者となりそう。10年目での達成は年平均100打点というハイペースで、王の11年目、長嶋・落合・清原の12年目を上回る最速記録となる。昨年初めて100打点を突破した金本知憲(阪神)は今季も好調に78打点で通算976打点と、こちらも今季中の1000打点が確実視される。927打点の立浪和義(中日)も来季には達成しそう。今季に800打点を突破した前田智徳(広島)は844打点、小久保裕紀(巨人)も848打点まで数字を伸ばしており、2007年には1000打点達成が有望である。

 これらの1000打点候補にしても、歴代ベストテン入りはまだまだ遠い。現時点の10位は衣笠祥雄(広島)の1448打点。田中幸37歳、古田39歳、ローズ37歳、金本37歳、立浪35歳と上位陣の年齢から考えても1000打点からさらに448打点も上積みするのは難しそうだ。江藤智(巨人)は31歳で848打点と順調だったが、ここ3年間で計112打点と平均37打点ペースに急激ダウン。今季も完全な代打要員でここまで4打点とあって、1000打点はまだまだ遠い。

 近年の充実ぶりが目覚しいのが城島健司(ソフトバンク)と松中信彦(ソフトバンク)である。城島は高卒3年目からレギュラーで、昨年まで10年間で642打点。これは同時点の江藤591打点、前田544打点、田中幸481打点などを上回るペース。03年に自己最多の119打点、昨年も五輪参加がありながら91打点と打点を稼いだ。衣笠の数字まであと806打点で、平均90打点ペースで今季も入れてあと9年。37歳のシーズンにはベストテン入りが現実的になる計算が十分に成り立つ。今季は46打点とややスローペースだが、通算688打点としており8月中には700打点を達成しそうだ。

 松中は03・04年と連続打点王で昨年まで通算641打点。ここ5シーズンの打点が合計551にも達し、今季も2位に14点差を付ける84打点で3年連続打点王にひた走る。プロ入りが遅く、城島と比べるとハンデがあるが現役随一の打点ペースで追い上げる。平均100打点ペースで行けば、39歳のシーズンには1400打点を突破して衣笠に迫っている事になるが、その年齢まで今の打撃を維持出来るか注目される。。

 日本人メジャー選手では松井秀喜(ヤンキース)が入団10年で889打点をマーク。王の10年目の906打点にわずか17打点足りないだけの歴代2位ペースだった。メジャー移籍後も本塁打は減ったが、2年連続100打点と打点ペースは変わらず。昨年まで12年で1103打点は王の同時点における1102打点をついに上回った。王の打点ペースに付いて行ける唯一の打者・松井秀には王に次ぐ2000打点を期待したい。

 日本では打点王にもなったイチロー(マリナーズ)はメジャー4年で242打点と、平均60打点ペースで昨年まで日米通算771打点。あと4年ほどで1000打点は達成するだろうが、1500打点は難しそうだ。日本でのラスト4年で3度80打点以上の松井稼頭夫(メッツ)は昨年44打点、今年も長期欠場があり21打点とペース半減。昨年まで29歳で613打点で1000打点も十分狙えたが、今のような調子ではメジャー生活そのものが危うい。今後の奮起に期待したい。

参考 1000打点までのペース比較

<通算打点ベストテン>
歴代 選手名(最終所属) 記録   現役 選手名(所属) 記録 04年実績
1 王貞治(巨人) 2170打点   1 清原和博(巨人) 1439打点 61塁打
2 野村克也(西武) 1988打点   2 田中幸雄(日本ハム) 981打点 10打点
3 門田博光(ダイエー) 1678打点   3 古田敦也(ヤクルト) 968打点 79打点
4 張本勲(ロッテ) 1676打点   4 江藤智(巨人) 962打点 15打点
5 落合博満(日本ハム) 1564打点   5 T・ローズ(巨人) 923打点 99打点
6 長嶋茂雄(巨人) 1522打点   6 金本知憲(阪神) 898打点 113打点
7 大杉勝男(ヤクルト) 1507打点   7 立浪和義(中日) 892打点 70打点
8 山本浩二(広島) 1475打点   8 初芝清(ロッテ) 873打点 21打点
9 衣笠祥雄(広島) 1448打点   9 前田智徳(広島) 795打点 70打点
10 清原和博(巨人) 1439打点   10 小久保裕紀(巨人) 793打点 96打点

 年間記録は1950年小鶴誠(松竹)の161打点が不滅の記録として輝いている。前年の92打点が自己最多だった小鶴はこの年130試合で51本塁打、打率.355と爆発的な打力を発揮して161打点を叩き出した。99年にローズ(横浜)がハイペースで153打点をマークしたが歴代2位に終わっている。パ・リーグ記録は1985年に落合博満(ロッテ)がこれも52本塁打、打率.367と驚異的な打棒でマークした146打点。落合以後のパ・リーグでは130打点以上の打者は現れなかったが、01年に中村紀洋(近鉄)が132打点をマークして年間記録歴代10位に入った。

 同じ01年に131打点をマークしたローズ(近鉄)はその後も117、117、99とコンスタントに打点を稼いでいるが、全盛時は過ぎた印象もありむしろ03年に124打点をマークしたラミレス(ヤクルト)に期待が集まる。まだ30歳と若く、昨年まで在籍4年で414打点は平均100打点超と実績も十分。あとは上位打者がどれだけ塁に出てラミレスにチャンスを回せるかもポイントとなる。今季は2年目の青木が1番に定着し首位打者争いをするほどに成長、今後も期待出来るだけに年間打点記録へのラミレスの挑戦が楽しみである。

 日本人選手では前述の城島・松中のソフトバンク勢か。打順で前を打つ松中が有利そうだが、その松中は2年連続90四死球と勝負を避けられる事も多く、走者が溜まって城島というケースも多くなっている。今季は大村・川崎の1・2番が前半戦はあまり機能しなかった。このコンビが実力を遺憾なく発揮する時に城島・松中の打点も大きく伸びるのではないだろうか。

 今季のセ・リーグでは今岡誠(阪神)が打点レースのトップを走っている。一時は試合数を上回るペースで打点を稼いでいた。このところ打率が下がり、打点ペースも一時の勢いよりダウンしたがそれでも95試合で87打点と早くも自己ベストの数字となった。146試合に換算すると133打点で歴代ベストテン入りする数字である。史上5人目(6度目)の140打点なるかも注目である。

参考 年度別リーダーズ(打点)

<年間打点ベストテン>
歴代 選手名(当時の所属) 記録 年度   現役 選手名(当時の所属) 記録 年度
1 小鶴誠(松竹) 161打点 1950   1 T・ローズ(近鉄) 131打点 2001
2 R・ローズ(横浜) 153打点 1999   2 A・カブレラ(西武) 124打点 2001
3 藤村富美男(大阪) 146打点 1950   2 A・ラミレス(ラミレス) 124打点 2003
3 落合博満(ロッテ) 146打点 1985   4 小久保裕紀(ダイエー) 123打点 2001
5 藤村富美男(大阪) 142打点 1949   4 松中信彦(ダイエー) 123打点 2003
6 西沢道夫(中日) 135打点 1950   6 松中信彦(ダイエー) 122打点 2001
6 野村克也(南海) 135打点 1963   7 清原和博(巨人) 121打点 2001
8 青田昇(巨人) 134打点 1950   8 松中信彦(ダイエー) 120打点 2004
8 R・バース(阪神) 134打点 1985   9 城島健司(ダイエー) 119打点 2003
10 中村紀洋(近鉄) 132打点 2001   10 T・ローズ(近鉄) 117打点 2002
          10 T・ローズ(近鉄) 117打点 2003

ランキングの記録は2004年まで。今季の記録は7月29日まで。

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