塁打
通算記録ではまたまた王貞治(巨人)が5862塁打でトップ。安打数もさることながら、長打の多さがものを言う記録だけに、長打数・本塁打数1位の王がここも2位を500塁打以上引き離して断然の1位である。他に野村と張本が5000塁打を達成。この3人は通算試合・本塁打・長打・塁打でも上位ベスト3を占め、まさに通算記録の御三家である。
5000塁打は年間250塁打で20年、200塁打では25年もかかる数字だけに高卒入団・即レギュラーというレベルでないと困難。現状では3000塁打がひとつの大台という印象であるが、5000塁打はまさに超大台である。
こちらも長打記録同様、歴代ベストテンにはスラッガーの名が並ぶ。10人全員が400本塁打を達成。さらに全員が300二塁打と2000本安打も達成している。
現役でこの3つの記録を達成しているのは清原和博(巨人)ただ一人。となれば清原の通算塁打ベストテン入りも有望なわけで、7月15日現在3956塁打で4000塁打にあと44、ベストテン入りまであと74としている。
現役ベストテンで4000塁打が狙えるのは金本知憲(阪神)、前田智徳(広島)あたりだろうが、それでもぎりぎりかと思われる。金本は今季終了時で3000前後、その後に250塁打ペースでもあと4年かかる。前田は今季終了時で2800前後。200ペースで6年、250ペースでも5年かかる。
そうなると、去る6月21日に20代で2000塁打を達成した城島健司(ソフトバンク)の方が歴代10傑入りの期待感はありそうだ。7月15日時点で2039塁打。平均250塁打ペースで今後8年でさらに2000塁打を上積み出来、トータル4000塁打に到達する計算で、その時まだ37歳。今季の金本と同年齢であり、さらに上積みが期待出来そうだ。ちなみに2000塁打到達は金本が34歳、前田が31歳のシーズンである。
現在26歳の岩村明憲(ヤクルト)は昨年まで1256塁打。今季も含めて4シーズンあるため、20代での2000塁打到達は確実視される。昨年は311塁打と大台を突破して今後が楽しみである。
この他、1875塁打の新庄剛志(日本ハム)、1771塁打の小笠原道大(日本ハム)、1726塁打の高橋由伸(巨人)、1718塁打の仁志敏久(巨人)、1703塁打の谷佳知(オリックス)、1686塁打の大村直之(ソフトバンク)、1678塁打の清水隆行(巨人)と松中信彦(ソフトバンク)ら現役バリバリの選手が続く。この中で唯一20代の大村は長距離打者ではなく、今季は138塁打。一方、両リーグ最多の209塁打をマークする松中はプロ入りが遅く今年で32歳。彼らにしても4000塁打は難しい数字と言えそうだ。
今季成長が目に付く今江敏晃(ロッテ)、西岡剛(ロッテ)だが、今江は二塁打そして西岡は三塁打でリーグトップを誇るものの、本塁打がそれぞれ4本と3本と塁打記録的には寂しい。従って今江122塁打、西岡133塁打はベスト15にも入らない。まだ若い二人だけに今後の期待組と言える。交流戦で活躍した中村剛也(西武)は169打数で107塁打と長打率は6割を超える。調子も下降気味だが、将来的にはリーグを代表する長距離打者となる可能性十分で塁打記録面でも楽しみな存在である。
日本人メジャー選手では松井秀喜が10年目まで2663塁打。史上4人目の5000塁打ペースだったが、日米通算での達成となりそうだ。現在3413塁打まで伸ばしており、今季中の3500塁打は確実。5〜6年後には日米通算5000塁打が達成されそう。イチローもすでに3252塁打と3000ラインは突破。単打の多い打者なので塁打記録的には苦しく、400安打以上少ない松井秀の通算塁打数を下回っている。それでも日米通算4000塁打は問題なく達成するだろうし、40歳近くまでプレーすれば5000塁打も見えてくる。
歴代 | 選手名(最終所属) | 記録 | 現役 | 選手名(所属) | 記録 | 04年実績 | |
1 | 王貞治(巨人) | 5862塁打 | 1 | 清原和博(巨人) | 3835塁打 | 61塁打 | |
2 | 野村克也(西武) | 5315塁打 | 2 | 立浪和義(中日) | 3201塁打 | 201塁打 | |
3 | 張本勲(ロッテ) | 5161塁打 | 3 | 田中幸雄(日本ハム) | 3191塁打 | 25塁打 | |
4 | 門田博光(ダイエー) | 4688塁打 | 4 | 古田敦也(ヤクルト) | 3005塁打 | 243塁打 | |
5 | 衣笠祥雄(広島) | 4474塁打 | 5 | 野村謙二郎(広島) | 2833塁打 | 134塁打 | |
6 | 長嶋茂雄(巨人) | 4369塁打 | 6 | 江藤智(巨人) | 2769塁打 | 38塁打 | |
7 | 山本浩二(広島) | 4361塁打 | 7 | 金本知憲(阪神) | 2690塁打 | 307塁打 | |
8 | 落合博満(日本ハム) | 4302塁打 | 8 | 初芝清(ロッテ) | 2607塁打 | 79塁打 | |
9 | 土井正博(西武) | 4178塁打 | 9 | T・ローズ(巨人) | 2585塁打 | 302塁打 | |
10 | 大杉勝男(ヤクルト) | 4030塁打 | 10 | 前田智徳(広島) | 2546塁打 | 220塁打 |
年間記録は50年藤村富美男(阪神)の376塁打が依然としてトップ。1950年前後に多くの打撃記録が誕生したが、小鶴誠(松竹)の51本塁打や85長打、藤村の191安打は後に破られた。しかしこの376塁打は以後54年間で、01年にローズ(近鉄)が364まで伸ばしたのが最高でいまだに破られていない。
現役ベストテンを見ると、試合数の増えた01年以降の記録ばかりである。また、01年以後打撃上位のシーズンが続いたパ・リーグの記録が多いのも目に付く。90年代は98年までは300塁打は稀で、両リーグ合わせて延べ5人しかいなかった。それが99年以降は、300塁打の打者が誕生しなかったのは01年のセ・リーグのみとなっている。
今季の記録では金本知憲(阪神)が注目される。昨年307塁打で自己初の300塁打を達成したが、今年はそれを上回るペース。86試合で202塁打は146試合では342塁打ペース。現役選手ではトップクラスの数字だが、それでも歴代ベストテン入りにはあと一歩足りない。数字では松中の209塁打が両リーグ1位だが、パ・リーグはセより10試合少なく、チーム試合数で換算すると323塁打ペースと金本よりも低くなる。
年間塁打ベストテンでは7人までが45本塁打以上(うち5人が50本塁打以上)で、残り3人も50年藤村が39本塁打191安打、02年松井稼頭央(西武)が36本塁打193安打、03年ラミレス(ヤクルト)が40本塁打189安打とバランス良く打っている。逆に安打数が少なくも170安打未満のケースは85年落合博満(ロッテ)の169安打と02年松井秀喜(巨人)の167安打。しかしこの二人は共に50本塁打はクリアしている。これらのデータからは大まかなベストテン入りの目安として40本190安打ないしは50本170安打が必要となりそうだ。
参考 年度別リーダーズ(塁打)
歴代 | 選手名(当時の所属) | 記録 | 年度 | 現役 | 選手名(当時の所属) | 記録 | 年度 | |
1 | 小鶴誠(松竹) | 376塁打 | 1950 | 1 | T・ローズ(近鉄) | 364塁打 | 2001 | |
2 | 藤村富美男(阪神) | 366塁打 | 1949 | 2 | A・ラミレス(ヤクルト) | 349塁打 | 2003 | |
3 | T・ローズ(近鉄) | 364塁打 | 2001 | 3 | 松中信彦(ダイエー) | 342塁打 | 2004 | |
4 | 松井稼頭央(西武) | 359塁打 | 2002 | 4 | A・カブレラ(西武) | 338塁打 | 2002 | |
5 | R・バース(阪神) | 357塁打 | 1985 | 5 | 小笠原道大(日本ハム) | 335塁打 | 2001 | |
6 | 藤村富美男(阪神) | 355塁打 | 1950 | 6 | 城島健司(ダイエー) | 327塁打 | 2003 | |
7 | R・バース(阪神) | 352塁打 | 1986 | 7 | A・カブレラ(西武) | 322塁打 | 2003 | |
8 | 落合博満(ロッテ) | 351塁打 | 1985 | 8 | 小久保裕紀(ダイエー) | 321塁打 | 2001 | |
9 | A・ラミレス(ヤクルト) | 349塁打 | 2003 | 9 | 福留孝介(中日) | 319塁打 | 2003 | |
10 | 松井秀喜(巨人) | 346塁打 | 2002 | 10 | T・ローズ(近鉄) | 318塁打 | 2002 |
※ランキングの記録は2004年まで。今季の記録は今季の記録は7月15日まで。