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シンポジウム「三位一体改革で暮らしはどうなる」から
「三位一体改革で暮らしはどうなる」と題するシンポジウムが1月24日、富山市内で日本共産党富山県委員会が主催して開催されました。パネラーは木島日出夫前衆院議員、黒野嘉之富山県市町村課長、砂田喜昭小矢部市議でした。
入居待ちが百数十人も
「特養増床の頓挫が心配」
砂田市議が訴え
最初に黒野氏が「三位一体の改革について」、砂田市議が「三位一体改革の小矢部市における影響について」、木島氏は「三位一体改革の問題点について」報告しました。(写真)
三位一体改革のねらい
黒野氏は三位一体の改革のねらいについて、@国庫補助負担金を廃止・縮減し、Aそのかわりに税源を国から地方に移して、地方の自由度・裁量度を拡大しようとするものだと述べ、Bくわえて204兆円に上る地方の借金残高を減らすために歳出の見直しによる地方交付税の抑制をするものだと語りました。
小矢部市への影響は
砂田市議は小矢部市にとって深刻な影響が出ている問題として、特別養護老人ホームの増床問題を指摘しました。入居待ちの人が百数十名もいます。ところが国の補助金廃止に伴い、建設財源確保の見通しが不透明になっています。
また2004年度に公立保育所運営費に対する補助金削減の影響について、市の財政に深刻な影響を与えているが、財政調整基金の取り崩しで保育サービスや保育料など市民生活への影響を市として食い止めていること、しかし、このままではすまないと言うことで市が進めている行財政改革について紹介しました。(図参照)
補助金削減は国民生活の最低水準確保を困難に
木島氏は総額20兆4千億円に上る国の補助金について、国のひも付き補助金にあたる公共事業関係は25%にすぎず、あとは社会保障関係54%、文教関係16%で、福祉・教育の分野で国民の最低限の水準を維持するためのものだと強調し、共産党はこのような補助金削減には反対であると述べました。
「富めるものはますます富み、貧しいものはますます貧しくなる」
また木島氏は、税源移譲で国は所得税の一部を住民税として地方に委譲するが、都市と農村の格差が拡大し、東京都はますます富むが、過疎地の税収は大幅に少なくなること、住民税の税率を現行の5%10%13%から10%一本にするため、低所得者の税が増え、高額所得者には減税になることを告発しました。
会場からは「長生きするのが悪いかのような政治はおかしいのでは」などの怒りの声が相次ぎました。
福祉・教育の充実と財政再建は両立できる
小矢部市の経験を紹介
最後に砂田市議は教育福祉の充実と財政再建を両立させる努力してきた小矢部市の経験を紹介し、それは共産党の提案が実ったものであることを強調しました。小矢部市では介護保険で市独自のホームヘルパー利用料無料制度の存続、6小学校での学童保育の実施、小学1年生の30人超学級に市独自で支援講師配置など教育・福祉面を充実させてきました。この間に全国的には地方の借金残高がGDP比で91年の14.7%から2004年の40.7%へと増え続けているなかで、小矢部市では98年の150億円をピークに毎年減らし続け、04年には129億円にまで削減してきました。(グラフ参照)
現実政治を動かした共産党の提案
転機になったのが98年3月議会での砂田市議の提案(@クロスランドタワーのような無駄な公共事業は今後やらない、A必要な公共事業に伴う新たな借金であっても、元金返済額の範囲内に抑制する、Bそのためにたとえば消防庁舎建設を2年度にわたって行う)でした。その年に行われた市議選で共産党はこの提案を大々的に市民にアピールし、反響を呼びました。その結果、当初は「そんな約束はできない」としていた小矢部市当局も、新たな借金(起債)を元金返済額以下に抑えることをその後の財政運営の基本にしてきました。日本共産党は議会では少数でも、道理ある提案が世論の共感を広げると市政を大きく動かす力を持っていることを証明する出来事でした。
ムダなダムを止めると、人にやさしい施策が
このシンポジウムに参加され会場から発言された市内在住の阿尾多美さんに、その思いを寄せてもらいました。
鳥取県知事の決断に感銘
私は、チラシでこのシンポジウムのパネラーが砂田小矢部市議、木島前衆院議員、黒野富山県市町村課長であることを知り、参加することにしました。
最近、ある方から薦められた片山鳥取県知事の講演を主とした本「知事の決断」(日本居住福祉学会編)を読んで、感銘を受け、地方自治のあり方を深く考えさせられたこともあって、富山県は「三位一体」改革をどの方向で検討しているのか勉強してみたいと思ったのです。
2000年の鳥取西部地震では2000棟以上の家屋が全半壊する災害に遭ったのですが、片山知事のとった決断はスピーディーで、住宅再建には300万円、住宅補修には150万円の個人補償をするというものでした。
阪神大震災や中越大震災では仮設住宅は造られましたが、個人への補償は一切されておりません。仮設住宅は必ず2〜3年後に壊して元に戻すことが前提なのですが、一戸平均約3〜400万円かかるものだそうです。
そんなムダな使い方より元の家に住み続けることが大事だと、片山知事は国に対して補助金を要請したが冷たく突っぱねられ、県独自でやることを決断したそうです。
100億円かかるか200億円かかるかわからないまま決断したので不安だったが、実は震災の半年前に、計画していたダム建設を見直して無駄だとわかって中止していた経過があり、その費用が財源として200億円くらいあったのだそうです。
高齢者世帯の多い山間地では、お年寄りにとって生まれ育った土地で田畑や山を守る暮らし続けることは大切なこと。住宅というものは人間が生きる上で基本となるという考えから、無駄な公共事業を止めるとこんなにも人にやさしい施策ができるという実例です。
私は会場でこのことを話し、行財政改革をするにしても、無駄なハコ物やダムを見直して、県民のくらし福祉を切り捨てずに県民の幸せのために予算を使って欲しいと発言しました。
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