福田昌範の吹奏楽講座

第8章 音質と音色について考える

 

 音楽を考える時に、「音質」と「音色」の2つはよく使われる言葉です。

しかし、実際には、意外にこの2つの言葉はまちがって混同して使われている事が

多くあります。

 ここでは、「音質」と「音色」の定義と作り方ついて考えてみたいと思います。


ポイントその1

 

「音質」=tone quality

 

 音質とは英語で「tone quality」と書きます。つまり、音そのものが持っている質のことをさします。

音質がよい演奏者とは「その演奏者の持っている基本的な音が良い事」をさします。

 

 

「音色」=tone color

 

 音色とは英語で「tone color」と書きます。つまり、フレーズなどに使われている音の感じ(色)のことをさします。

演奏者がフレーズによって音の色を作ることによって、楽曲(フレーズ)は様様に変化してきます。


ポイントその2

 

良い「音質」の作り方

 

 良い音質を作り為には、様様な研究が必要です。これは、楽器の種類によってさまざまなので、

画一的なことは言えませんが、僕は一般的には、

・ロングトーンの練習。(アンブシュアーを整える。豊かなブレスをする。)

・リード選び(木管)やリップスラー(金管)などの基礎練習。

良い演奏(CD/演奏会)をたくさん聴く。

 この、3点に集約されると思います。

 しかし、音質は楽器のタイプ(メーカーなど)によっても違いますし、マウスピースによっても左右されます。
選択肢は何万通りとあるわけで、良い音質作りは演奏者にとって永遠の課題といっても過言ではありません。

 

適した「音色」の作り方

 

 楽曲(フレーズ)適した音色の作り方は第2章でも述べたとおり、その楽曲の雰囲気を感じ取る事

が大切です。

 やわらかいフレーズの曲では「やわらかく吹こうと思う事」。はっきりとしたフレーズの曲では「はっきりと

吹こうと思う事」が、音色つくりの重要な決め手となります。これは、一人で演奏している時にはよく感じられる

事なのですが、合奏のような大人数になってしまうと、意外に意思の統一が出来ず、転々ばらばらの音色が

一つのフレーズに混在してしまう事があります。この為、指揮者(指導者)は、合奏などではこの「音色」の統一

を図る必要があるのです。

 

     ワンポイントアドヴァイス

「良い音質」=奏者自身の持っているサウンド(音)が良い事です。

「悪い音色」=フレーズに適した音で吹いていない事です。

 


ポイントその3

 

   「音色」の作り方

(応用編:楽器のブレンド)

 

 先ほど述べたように、楽曲ではいろいろなフレーズが出てきます。そのフレーズフレーズに応じて

いろいろな「音色」つくりが重要になってきます。ここではいろいろな音色作りについてのいくつかの例

をあげてみます。

 

楽器の組み合わせ バランスの取り方 音色(tone color)
Tp+Hrn Tpを大きめ 明るい
Sax+Hrn Saxを大きめ 艶がある
Fl+Cla Flを大きめ やわらかい
Trb+Euph Euphを大きめ 温かい
木管低音+Tuba 木管低音を大きめ 芯のある響き
  
 などなど、「音色」は楽器の組み合わせによっていろいろな色が醸し出されます。つまり、「音色」は

楽曲のフレーズに応じての意思統一とバランス調整で、フレーズの色はどのようにも変化するのです。

 ぜひ、皆さんもいろいろなフレーズで、楽器の音を絵の具のように混ぜ合わせて、いろいろな音色を

研究してみてください。

 

 

(C)2017 Masanori Fukuda

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