治療教育の方法
−「ペンギンくらぶ」で行っている治療教育の方法です−
原 則 年齢相応の環境におく。 指導方針 できるところは伸ばし、できないところは補助しながら待つ。 できそうなことは、訓練・強化・練習によってがんばる。
できそうにないことは容認して補助し、代用できるものを探す。
指導方法 教えるよりも、教わること。信頼関係を作るところから始める。 ひとりひとりを把握して、相手に合わせる。
理解できるもの・興味を持っているものを知り、一緒にやってみる。
相手の世界に入り込んで、同じ地平に立つ。
解らないものは、理解可能なものを利用して説明する。
ステップを踏んで、一歩一歩進んでいく。
焦らずに、待ちの姿勢で臨む。
教 材 興味のあるもの・好きなものを何でも利用して教材にする。 教科書や問題集は、最後の仕上げ程度に使う。
設問内容の理解よりも、問題の答え方を優先する。
〈計算〉 数と数との関係を理解させるためには?
- 具体物を使って、数と物の関係に置き換えて教える。
- 位取りの理解には、お金を使う。
- 「ふえる」「へる」といった概念を、解る言葉に置き換える。例えば、「来る」「生む」「呼ぶ」「合体」と「消える」「行く」「帰る」というように。
- 数の概念を"理解"させることと、計算の方法を"覚える"ことを、切り離して考える。
〈言語〉 意味の理解のためには?
- 実物を使ったり、実際に動作をさせたりして、経験と「ことば」、感覚と「ことば」を結びつける。
- 「ことぱ」の意味が解るまで、「ことば」を絵に置き換えた「絵言葉」を使う。
- 書き言葉(文章)の理解ができない場合は、話し言葉(日常会話)に代えて、説明する。
- 重文や複文は、分かるところまで分解して短文や単語にし、矢印などを使った図にして、関係を説明する。
参考図書
- 『学習能力の障害』−心理神経学的診断と治療教育−ジョンソン&マイクルバスト著/日本文化科学社
- 『学習障害』−発達的・精神医学的・教育的アプローチ− 齋藤久子監修/ブレーン出版
- 『LD児の指導の実際』−能力開発から自力学習へ− 鈴村健治編著/川島書店
- 『LDの領域別指導事例集』−集団参加から教科指導まで− 上野一彦編/学習研究社
- 『LD児サポートプログラム』LD児はどこでつまずくのか、どう教えるのか 竹田契一監修/日本文化科学社
- 『親と子で考える学習障害 LD』 メル・レビィン博士著(研究社出版)