恐怖の日常会話

今となってはただの「謎」のひとつにすぎないことに、「日常会話の怪」があります。子供の頃に人とどんなやり取りをしていたのか、全然覚えていないし、両親にも聞ける状態ではないので、やはり「謎」のまま、この一致は何なんだろう? で終わってしまうかもしれません。けれど、謎解きの方はどんどん進んで行きます。

私の両親ときたら、父の方は軽度の発達障害なんてもの自体を認めようとせず、ただ「躾がなっていない」「甘やかしすぎだ」の一点張り。母の方は、最近熱心にLDの新聞記事をスクラップしたりなんかしているけれど、実物の子ども(孫)たちを見ても、「どこがおかしいの?」「普通じゃん」と言っている。

普通の子どもが、あんな風に興奮するかね? 毎日毎日ぬいぐるみやミニカーを一直線に並べるかね? ポテトチップの袋が自分の方に向いていないというだけで「食べちゃいけないんでしょう」と言って泣くかね? 3才児でもあるまいし、プンプン怒っている人や熱出してウンウンうなっている人に平気でゲームの話しをするかね? 巻き舌ができるようになったからと言って、一日中当たり構わずルルルルやるかね? 頭の中に電車が走り始めたからと言って、自分が電車になってしまうかね? メチャメチャで無目的な行動をするかね?

そもそも、あんたたちが普通だと言って育てた二人の子供(私と弟)は、確かに有名私大を卒業したけれど、社会的には半人前じゃないか! しかも、ふたりとも友達が一人もいないことに気づいてさえいないなんて!

そんなわけで、客観的な証拠は取りようもありません。せめて、ドナさんのように明確に記憶していればとは思うけれど、人に言われた事と自分が言った事を思い出せないのだから、仕方ありません。誰かが、似たような事を言ったとか本で見たりすれば引き出せるのに…。

でも、未だに時々やらかす失態について書いちゃいけないなんて法律は無いから、私にとっては「恐怖の大王」より恐い「恐怖の日常会話」について、分かった事を書きます。

 

1、オウム返し

どう答えてイイか分からないけれど、とりあえず何か言わなきゃと焦った時に使う手。無難なのは相手の言ったことを、イントネーションを替えて疑問文にしてしまうパターン。あいさつならば、そのまま返す。でも、「おばさん、どうして僕の言ったことを繰り返すの? 普通そうは言わないよ。」と、4年生に言われてしまった。ばれちゃってはしょうがない。それで、次からは言うことを決めました。こちらは、まだバレていない。

2、思考内語を口にしてしまうこと

普通なら、頭に浮かんだことを全部口に出して言いはしない。喋るのは、人に何かを伝えることで、人に聞かれたら困るような考えがい〜っぱいあってもバラしたりしない。そうすると損することを知っているから。中には、悪いことを平気で人に言うヤツもいるけれど、普通の人でこれをやるのは、自分をワルに仕立てようと意図して誇示しているとか、所属集団の価値観だったりするので、全然違うものなのです。息子の方は、まだまだ自分で判らないから、私が「それは頭の中で黙って考えることだ」と教えます。私は、周りのしら〜っとした雰囲気を察知して、やめます。

3、屁理屈

自分の中で理屈が通っていれば、人になんといわれようと、人がどう思おうと、どんな影響があろうと、お構いなしに押し通す。このHP全体が屁理屈のカタマリ?

4、突拍子もない、"秘密のつながりグランプリ"

自分の中で連想されるものは、人にも通用すると思っているけれど、どうやら自分だけの"秘密"みたい。例えば、「そろそろ大地震が来るかね?」という話題に対して、「小さい地震もないし、台風だって避けて通るくらいだから、大地震しかないね」と言った時のキーワードは"しばらく来ていない"。「ぞっとするようなこと言わないでよ」と言われて、「これはもう、地震が起きるか、テコドンが落っこって来るかのどちらかだね」と駄目押しした時のキーワードは、"どっちも近くをかすったけれど、前回は何とか免れたもの"なんだけど、分かる訳ないよね。

5、やたらと多い引用

何か考えが浮かぶと、「そういえば、OOに書いてあった」「××がこう言っていた」とイモズル式に出てきて、説得力を持たせるために引用します。誰かの言葉でも、自分の考えと同じならそれでイイと思うんだけれど、違うの? でも、確かに、「先生がそう言っていたよ」では、まるで先生の言うことを良く聞くイイ子で、自分の考えはいつも保留にしているみたい。そもそも、そのコトバを聞いて自分が感じるように人も感じるわけないのにね。

6、どもり

何かちゃんとしたことをちゃんと人に分かるように説明しようとすると、必ずどもります。状況説明から始まって、何が・どうして・どうなったか、ということを言おうとするとこうなるのは、何故? だから、いつも言いたいことはちゃんと筋立てを考えて、紙に書いて、一気にまくし立てます。

7、冷たい印象

予期しないことを言われた時の態度、気分が乗らない時や何か(たいていは服か体か書くことかゲーム)が気になって仕方ない時の態度・人から向けられた好意にビックリしてついつい拒絶してしまう時の態度・好意的でないと思っている人がそこにいるだけで世の終わりを感じてしまう時の態度。きっと、冷たい印象を与えているだろうな。そんな時に言ってしまったコトバは、きっと人を傷つけているだろうな。

8、「自閉症」かモンスター

このことを語り出すと止まらない。何でもかんでも、話題をこっちに持っていってしまう。私は、視覚的要素の強いモンスターのデータは覚えられないから、本を見なければ喋れないけれど、経験と実物と本からの知識で成り立っている「自閉症」については、いつでも・どこでも対応可能。息子の方はこの逆で、視覚的な情報は、よくぞこんなにと思えるほどよく覚え、いつまでも記憶している。

まあ、何でも、「自分から」か「予め」ならいいんです。その場合でも、つい最近まで、他人が迷惑そうにしていても気づきませんでした。

日常の世間話で、私が何か喋るとよくないことが起きます。怒られるか・笑われるか・あきれかえられるか…、いずれにしろ、会話はそこでストップ。だから、だんまりを決め込みます。その場にいないようにします。

でも、一度やってしまった大ポカはもう消えないので、今住んでいる地域の中で、私に会うと迷惑そうにする人とイヤな顔をする人は、増えていく一方です。よその地域になら、解ってくれる人や同じ境遇の人はいるのに。いや、利害関係がないからなのかな? それとも、そもそも解ってくれる人の数が少ないのかな? どちらにしても、こういうことにハンディがあると、自分のとりえが全く活かせない状況に置かれた時にはとっても辛いのです。

それで、すべてを消してしまいたいから、今日の壁紙は消しゴムです。「日常会話の恐怖」から逃れるために「恐怖の大王」が降りてこなかったことにガッカリしているのは、私だけ?

話しの解る人や、私の発想についていける人に会った日には、ニンゲンなんか何でもないのに。そう言えば、さっき盛りあがった会話、まるで漫才!


         

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