日本語の教え方
名詞をよく覚えて、何かを伝えたい意志があるのに、「会話ができない。」「何を言いたいのか判らない。」という段階の子供達に有効な方法を紹介します。
ただし、人と係わろうとしない、要求があっても言葉ではなくクレーン現象(人の手を取って必要なことをさせる)で用事が済んでしまっている段階では、言葉を有益なものとして利用する動機づけができていないと思われます。
その場合でも、人に触れられるのをいやがらない子供なら、くすぐる、ひざの上に抱きかかえる、胎児の姿勢にして抱っこする、馬になって乗せてあげるなどの「ふれあい」遊びを十分にして、信頼関係を作るところから始めます。
(1).『外国人向けの日本語会話教本』を利用する。
なるべく挿し絵の多いものを選びます。日常のあいさつや、「〜に」「〜から」「〜へ」といったやりとりなど、必要なもので使えそうな「絵」を探してください。
しかし、下のような「絵」が必要な子供もいます。
(A) (B)
こんな「絵」のどこが? と思われるかもしれません。
ものの位置関係が把握できていない子供は、(A)を見て、「つくえ」、「ノート」と言います。二つの関係をまとめて表現することができません。
部分に目がいく子供は、(B)を見て、花やイヤリング、じょうろの先の黄色い部分についてお喋りを始めるでしょう。
また、主語がぬけていることもあります。上の絵にはありませんが、暗闇を表わす背景の斜線の意味などを聞いてくることもあります。他にも、普通なら自然に気づくこと、暗黙のうちに了解していることなどを、教えられるまで「気づかない」ことがよくあります。
(2).絵本を利用する方法
五味太郎さんの『言葉図鑑』シリーズ、3〜5才向けの知育絵本(ただし、「かず」・「ことば」ではなく、「せいかつ」中心のもの)など、使える本はたくさんあります。「動詞」「表情」を表わす言葉の意味を確かめるのに有効です。
こういう本を使う時には、できればコピーして、ひとつひとつをカードのように切り離して見せます。カードにすると、どれとどれが似た言葉で、どれとどれが正反対かというように応用できて便利です。
参照:使える画像集