曽野橋のバス停(瀬戸市曽野町) ▲瀬戸MENU
舟形高48p 一面二臂 立像
【左】珍しい煉瓦の祠 【右】やさしい馬頭観音バス停横の煉瓦の祠
曽野口の交差点から水野川に沿ってカーブした県道208号(上半田川名古屋線)を300mほど西に進むと,曽野の集落に入る前に,水野川に注ぐ支流に架かる曽野橋をわたります。橋の手前にはJR東海バスの「曽野橋」停留所。そのバス停の脇,低い自然石の石組みの上に,煉瓦で造られた祠がありました。古びて一部が欠け落ちてしまっていますが,陶器の焼き窯を思わせるような造りです。なんだかキリストの像でも祭られているようなたたずまいの,祠らしからぬ祠でした。頭上の馬頭
中には優しいお顔の馬頭観音が立っていました。やや磨耗が進んでいるものの,三日月型の眉や半眼に閉じた目を見て取ることができます。頭の上には,これも欠けてはいるものの,馬頭がはっきりと見られます。普通,かぶりものに浮き彫りになっていたり,頭の上に平らに置かれたりするケースが多いのですが,これはまるで,後ろにいる馬が頭のてっぺんに噛み付いているよう…。腕などのつくりに稚拙さが感じられる彫り方ですが,裳(も,裙ともいう)の裾が大きくひるがえり,体の後ろの天衣(てんね)がリボンのように見え,可愛らしい印象がします。舟形の向かって右側には「明治十年□正月十四日」,左側には「加藤市助・□十」と刻まれています。もちろん建立者の名前でしょう。祠の奥には「南無大慈大悲馬頭観世音菩薩」と書かれた木札が置かれていました。また,祠の隣りに置かれた自然石の碑には「愚翁了道信士・所窓智光信女」と,夫婦の戒名らしいものが彫られていました。もしかしたら,馬頭観音の建立者の戒名なのでしょうか。
「愚翁了道信士・所窓智光信女」の碑※ この馬頭観音は,瀬戸の山上様から情報を頂きました。