下半田川・花川橋(瀬戸市下半田川町) 瀬戸MENU

舟形高54p 一面二臂 立像

   
【左】文久2年の馬頭観音          【右】花川橋(西詰から東を望む)

   橋のたもとの馬頭観音
下半田川(しもはだがわ)の集落の中で,県道205号下半田川春日井線が蛇ヶ洞川を渡るのが花川橋です。この橋の西詰に馬頭観音がありました。花川橋は車道橋の脇に歩道橋がかかっているのですが,その二つの橋の隙間の,転落防止用と思われる白いパイプの柵のなかで,県道標識の柱に隠れるよう立っていました。現在の橋は昭和31年に架けられたしっかりしたものですが,昔は川を渡るといえば浅瀬を歩いたり,せいぜい丸木橋やそれに土をのせた土橋程度だったりしたため,事故が多かったのでしょう。橋のたもとに馬頭観音が建立される例は少なくないそうですが,瀬戸と尾張旭ではあまり見ません。

   文久二年の建立
全体に簡素なつくりで,舟形の頂部は欠けていますが,保存状態は悪くありません。目を吊り上げた表情や,額に頂いた馬頭の耳の様子までよく分かります。銘も読みやすく,向かって右側には「村中安全」,左側には「文久二年八月十八日」と刻まれています。文久2年は1862年,生麦事件が起きた年ですね。一面二臂の立像は穏やかな顔をしたものが多いのですが,これは厳しい顔。大き目の頭部が表情を強調しているようです。不安定な世相を表しているのでしょうか。

※ この馬頭観音は,瀬戸の山上様から情報を頂きました。