三河雑兵心得シリーズ
著者名 :井原 忠政
出版社名:双葉文庫
登場人物:植田茂兵衛、寿美、丑松、辰蔵、本多平八郎、徳川家康、他多数
update by 2026/03/03
三河雑兵心得 足軽仁義
大名でも、武将でも、陰で操る軍師でも無い、名も無き足軽が主人公の物語。のちに天下人となる徳川家康を支える足軽の、汗臭く血なまぐさい、戦場を駆け巡った一兵卒から語られる戦国絵巻を彷彿とさせる題名である。
茂兵衛は村の暴れ者であり、周囲からも疎まれる存在である。しかしそれは気弱でうすノロである実弟の丑松を守る行動から出たものである。ある時、ひょうんなことから村を出て行く羽目となった茂兵衛と実弟の丑松。茂兵衛は夏目家に足軽として仕え、そして丑松は寺に奉公することとなった。
さて時は戦国、その地は三河。まさに一向一揆が勃発する時分の頃。いきなり一揆方の城兵として籠城することとなった茂兵衛。実戦を経験していない茂兵衛はそこで、上官や同胞とともに悪戦苦闘する姿は、命を賭しての場面であるにも関わらず、時に滑稽に読めてしまう。けっしておふざけでも、笑い話として書かれているわけでは無いことは追記しておくので誤解の無いように。
茂兵衛と丑松は、三河での一向一揆の騒動という巡り合わせに翻弄され、今後起こるであろう数奇な一歩を踏み出すこととなるのだろう。本書は今後へと続くプロローグであり、「三河雑兵心得シリーズ」として続編が楽しめである。
★ ★ ★ ☆ ☆ 3 stars
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三河雑兵心得 旗指足軽仁義
「三河雑兵心得」の続編となるシリーズ第二弾。
戦国時代の名のある武将でも無く、エピソードが豊富な人物を描く、歴史小説とは様相が異なる作品だ。本書の主人公は乱世の時代、その末端でありながら命を懸けて、泥臭くとも生き抜いていく茂兵衛。
今作では徳川家康に仕えている茂兵衛が、本多平八郎の旗指足軽へと出世したところからはじまる。
場所は遠州。今川方の城、掛川城攻めである。
前作では籠城の苦労を強いられていたが、今度は攻城方となって苦難を乗り越える姿を読むことができる。しかし敵は攻めている城の兵だけではない。三河の北方の信濃そして甲斐を領する武田家。一応、今川家という敵に対して共同戦線を張っていても、いつ何時、徳川家に刃を向けられることかわからない。
また命を狙われる茂兵衛、そしてヒロインが登場して場を和ませようとしているのだが。この先の展開については、茂兵衛の出世と合わせて次巻以降のお楽しみといったところだろうか。
★ ★ ★ ☆ ☆ 3 stars
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三河雑兵心得 足軽小頭仁義
「三河雑兵心得」の続編となるシリーズ第三弾。
前巻の最後において一〇年で出世してみせることを宣言した茂兵衛。次に襲ってくる強敵は甲信地方を統治する、甲斐の虎こと武田信玄。
出世するのも楽ではなく、苦難の道はまだまだ茂兵衛に近寄ってくるのは今までの展開通りである。
しかし今回は明らかに、これまでの展開とは違っている。茂兵衛は植田茂兵衛として、足軽小頭と少しではあるが出世している。人数は少ないながらも部下を持つほどの身分となったのだ。今度は部下を持つことの責任感をも問われることになる。現代における中間管理職といったところだろう。
さらに徳川家の血筋に繋がる少年、松平善四郎のお守りを命じられるという展開。驚くべきことにその善四郎は初陣というから、手柄のお膳立てもしなくてはならない。
さらに息つく暇も無く、武田家との戦は始まってしまう。今回は二俣城に籠城して、武田の猛攻を防ぐことになるのだが。果たして茂兵衛はいかにして立ち居振る舞うのか。そして徳川家の命運を賭した「三方ヶ原合戦」へと向かってゆくことになる。
はてさて茂兵衛は生き延びて、そして手柄を立てられるのか。
今回は、終わり良ければ総て良し、とは行かない。茂兵衛にとって今までに無い苦渋の決断を迫られ、そして深い悲しみを味わうこととなる。
★ ★ ★ ★ ☆ 4 stars
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三河雑兵心得 弓組寄騎仁義
「三河雑兵心得」の続編となるシリーズ第四弾。今度の舞台は長篠の戦い。
遂に戦国最強と言われた武田軍との激突であり、徳川家からすれば苦渋を強いられて来た宿敵との決戦である。
長篠の戦いと言えば、織田信長と徳川家康による同盟軍と、武田勝頼が率いる最強軍団との衝突だ。昭和時代は織田徳川の鉄砲vs武田の騎馬隊という構図も語られたが、現在はその様相も怪しまれいる。
それはさておき、騎乗の武者となった茂兵衛の活躍が、三方ヶ原での屈辱を晴らすリベンジが見所でもある。単なる槍の突き合いだけで無く、そこは三河雑兵心得シリーズ。単に腕力が強いだけでは武将は務まらない。その活躍については読んでみてのお楽しみ。
また、今作では長篠の戦いの英雄である鳥居強右衛門が登場し、物語の重要人物として描かれていた。
強右衛門との茂兵衛の絡み合いはもちろん、同じ徳川家臣である乙部八兵衛や、弟の丑松、そして辰蔵といった面々に加え、新たに加わる配下達。
憎まれても、嫌われても、茂兵衛の奮闘ぶりを応援しつつ、その活躍を親の様な気持ちになってしまう。
本シリーズもこれで四巻目。そしてついに本書で茂兵衛が妻をめとり、妹のタキにも縁談話がでてくるなの明るい話題がちりばめられている。
今後、さらなる困難に立ち向かうであろう次巻以降が待ち遠しい。
★ ★ ★ ★ ☆ 4 stars
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三河雑兵心得 旗指足軽仁義
「三河雑兵心得」の続編となるシリーズ第五弾。
今回も植田茂兵衛の活躍を読めると楽しみに手に取った読み始めた。
さすがに第五弾となれば、初期の茂兵衛と比べて大人となり、出世の階段も登り始め部下も増えてきている。
現代でいうところの中間管理職とでもいおうか。
当初の頃の悪童から比べれば大変な出世であり、成長した姿を追う楽しみも増してきた。
さて今回は遠江が舞台となる。茂兵衛が務めるのは山賊の様にして、敵方である武田家の輜重隊が運ぶ小荷駄を奪うという任務。
その姿は成長著しく、やっぱり応援したくなってしまう不思議な物語だ。
今回では大きな(有名どころの)合戦に槍を持って参じることは無い。
宿敵武田方の油断ならない動きに対して、兵糧を運ぶ小荷駄を襲撃するのだが、ここで茂兵衛のリーダシップが発揮された。
戦禍を挙げることはもちろんであるが、思いもよらぬ徳川家の秘密を垣間見てしまう茂兵衛。
やがてこれが主君家康と、その嫡男である信康という青年との関わってくることになるのだが。
さてさて、歴史を知っているものからすれば、今後の成り行きについて、茂兵衛がどう絡んでくるのかが気になる。
そして茂兵衛は徳川家康に認められ、小さいながらも山間部の砦の番人を任されるのであった。
砦とはいえ一城の主とでも言っても過言はないだろう。茂兵衛はついにここまで出世したのである。
それはともかく最期はちょっと切ない終わり方をしている。これも乱世であればこそか。
今回のことでさらに成長を見せる茂兵衛。
さてさて次はどんな困難に打ち勝ち、そして出世を果たしていくのだろうか。
★ ★ ★ ★ ☆ 4 stars
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三河雑兵心得 鉄砲大将仁義
「三河雑兵心得シリーズ」の第六弾。
言い方に気をつけなければならないが、第一巻を手に取った時点で、ここまで長編になるとは思わず、少なくとも続編を楽しみに待つなど想像も出来なかった。
それがここまでで六巻であり、つづけて七弾目も用意されているという。
「痛快娯楽戦国時代小説」と漢字を並べて表現したくもなる、戦国時代を舞台にした気軽に読める小説だ。
さて今回は武田家の滅亡から、その張本人でもある織田信長が、本能寺で明智光秀に襲撃されるという激動の期間が描かれている。
主人公の茂兵衛は百姓上がりであるが、その努力と人柄から、天正十年の時点で鉄砲五十丁、槍足軽四十人、寄騎三人などなど、総勢一〇〇人を指揮する足軽大将にまで出世していた。
徳川の家中で出世するということは、本多忠勝のコトバを用いれば、「徹底的にこき使われる」ということだという。
血反吐を吐く様な、損にも得にもならない事であっても、命を賭けて達成せねばならない。
そして本作で茂兵衛に与えられたミッションは、武田家を裏切りを決断した穴山梅雪に関連してのものである。
史実では徳川家は甲州攻めの際、駿河より甲斐へ攻め入るのだが、その際に道案内を務めたのが梅雪だと言われている。
なので甲州へ攻め入る先手として茂兵衛は出陣していくのであったのだが。
内容についてはネタバレになるので割愛するが、あらゆる危機に直面しながらも仲間と友にそれを突破していく茂兵衛。
配下の者からも慕われて、もう立派な中間管理職といったところだろうか。
そして今回は綾女との再会があるが、その後の進展はどうなるのか。
また実弟の丑松、義弟となった辰蔵といったいつもの面々の活躍も見逃せない。
★ ★ ★ ★ ☆ 4 stars
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三河雑兵心得 伊賀越仁義
今回のドタバタ劇は、徳川家康の逃避行として世にも有名な「伊賀越え」だ。
明智光秀の謀反により織田信長が死して、京畿に居場所がなくなる家康は急ぎ故郷である三河へ帰りたいのだが、そう易々とはことが運ばない。
もちろん植田茂兵が大活躍する珍道中となるわけです。
歴史を知らなくても十二分に楽しめるがの「三河雑兵心得」シリーズの良いところ。
史実として結果を十分にわかっていても、それでも高揚感を得ることができるのも魅力な本書。
さて本作の主題になる伊賀越えだ。
史実通りに本能寺の変がおき、混乱する気ないから本拠の三河までの脱出劇となる。
その道中には数々の難関が茂兵衛らを待ち受けている。
恩賞目当ての落ち武者狩り、天正伊賀の乱における反信長の精神に満ちた伊賀の人々、天然の要害となる山深い道。
立ちはだかる数々の苦難を乗り越え、時として思いもよらない事態に遭遇するのが茂兵衛。
持ち前の強靱な武芸と頼りになる仲間達、そして強運によって前途を切り開いてく姿は今作でもそこはシリーズを踏襲。
後半では武田家滅亡後の甲斐侵攻への道筋を立てるべく、茂兵衛は武田家旧臣達と共に一揆征伐への赴くのだが。
さてさて無事に切り抜けられるのか。
なお本作では名前しか出てこないが「マサユキ」という名が幾度か登場する。
もちろん真田昌幸のことであることは容易に理解できる。
続編への布石として名前だけ登場させ、そして昌幸に翻弄される徳川家康の姿が描かれると勝手に予想してしまった。
「たァけ」という家康の叱責が茂兵衛に降り注がれ、そして厄介な任務を茂兵衛に押しつけられるのか。
頑張れ、茂兵衛。
と声援を送りたくなる戦国時代絵巻である。
★ ★ ★ ★ ☆ 4 stars
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三河雑兵心得 小牧長久手仁義
今回の舞台は本作のタイトルにもある通り、織田信雄と徳川家康がタッグを組んで羽柴秀吉に対峙した「小牧長久手の戦い」である。
もちろん今回も、茂兵衛とその仲間達が大いに活躍する場面が見所となる。
そんな期待を持って読んでみると前半で絵がガレテイルのは、信濃惣奉行となった大久保忠世がの寄騎として派遣された信濃が舞台。
鉄砲大将である茂兵衛は、鉄砲隊と松平善四郎の弓隊を率いて、浜松から遠く信州小諸までを向かう。
しかしそこには大きな合戦もなく、華々しい戦功は挙げる機会も訪れない。
ここで満を持して登場してくるのが、前巻で名前が挙がっていた真田昌幸とその子息達。
子息というのは、源三郎と源二郎の兄弟。
この兄弟について改めて説明をする必要はないだろうが、後年の真田信之と真田信繁こと幸村である。
茂兵衛からすれば、悪党の類いである昌幸、病弱として描かれた源三郎。
真田家と親交を深めてゆく茂兵衛。
即に源三郎には好印象だが、これは後々の伏線となるのだろう。
また真田家、そして上田城をも紹介している姿は、次巻以降で茂兵衛が鉄砲隊を率いて・・・に繋がるのか。
それはそれ、今後のことであるのであまり関係ない。
そんな折りに茂兵衛にとって、いや徳川家としては緊急事態が勃発。
上方では豊臣秀吉が天下人になろうと、旧主筋でもある織田家を凌駕しつつあり、それに対抗して織田信雄が立ち上がった。
それも徳川家康を巻き込んで。
後世にも語り継がれ、本作のタイトルにもある小牧・長久手の合戦の幕が上がった。
直接、秀吉とは争いたくない茂兵衛。
しかし家中はそんな弱腰、臆病な者は許されない雰囲気の中、決戦場へと徳川家康は軍勢を進めた。
本作は戦いの結果は求めていない。
すでに後世の我々は大まかな結果はしっているのだから。
唯一知りたいのは、茂兵衛がどんな活躍をして、怒鳴られ、蹴散らされ、そして手柄を立てるのか。
読んでいて楽しくなる「三河雑兵心得」でありました。
★ ★ ★ ☆ ☆ 3 stars
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三河雑兵心得 上田合戦仁義
徳川家中では、対秀吉への戦略について、「和平」か「戦」かの考えが対立していた。
我らが茂兵衛はといと、秀吉との軍勢との戦うことに無意味さを感じ、平和的な解決をと考えていた。
これは主君である徳川家康とも一致した考えであったが、本多平八郎をはじめとした家中の重臣連中とは真逆の思想だった。
それでも茂兵衛は考えを頑なに曲げずに、平八郎からは距離を置かれつつも任務遂行にいそしむ毎日である。
さらに本作では茂兵衛に対する家康の態度にも変化が。
周囲を気にし、一定の距離を茂兵衛との間に作っていた家康であったが遂に・・・!。
そして今回の舞台は大阪、そして信州上田だ。
大阪へは家康の子息、於義丸を護衛して自ら鉄砲対を率いて向い、上田へは「表裏比興の者」と揶揄される真田昌幸の身辺調査である。
本編では題名にもある通り、「上田合戦」が主となるが、やはり真田の家名は偉大だと感じてしまう。
この家名を目にすると、勝手ながら胸の奥からこみ上げてくる何か不思議な感覚がある。
とくに本作では真田昌幸でも、真田信繁でもなく、真田源三郎として信幸がきちんと描かれているからだろうか。
少々病弱な若き武将として登場するも、茂兵衛との関係から今後も楽しみな展開を深読みしてしまう。
さて今回は上田合戦。
歴史を知っていれば、この合戦が徳川と真田の両家にとって、どんな意味を持っているのか。
今後の展開は歴史年表に照らせば理解できるだろう。
しかしここに茂兵衛がどう関わってくるのか。
真田との戦いで手柄をさらに重ね、さらなる出世への足がかりになるのか。
まだまだ茂兵衛の活躍は続きます。
★ ★ ★ ★ ☆ 4 stars
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三河雑兵心得 馬廻役仁義
「ところがどっこい―茂兵衛は生きていた。」
第一章はこの様な文言から物語ははじまる。
前作の最後において不慮の変事により、真田方に捕らえられてしまい、徳川方としても茂兵衛一行はすでに亡いものと覚悟していた。
しかしそう簡単には茂兵衛は死なない。
真田源三郎の計らいで上田城の北方にある砥石城の一角に、郎党と共に囚われの身となっていた。
いつもの和やかな雰囲気はなく、今回は危急の場からの幕が開いた。
このまま真田の幕下として生きながらえるのか、それとも主君徳川家康が救いの手を差し伸べてくれるのか。
勝手ながら気になってしまう書き出しである。
ネタばれは慎むため、これ以上は書くのはやめておくが、歴史は茂兵衛という人物に相応しい立ち位置を与えてくれた。
なお今回は三河徳川家で大事件が勃発するが、これは読んでからのお楽しみ。
★ ★ ★ ★ ☆ 4 stars
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三河雑兵心得 百人組頭仁義
鉄砲百人組の組頭となった茂兵衛。
もう立派な一端の大将ともいえる、足軽大将である。
侍大将という微かな望みもあったそうだが、家中でのバランスを考慮した結果としてのこと。
文句などあろうはずがない。
また大きな手柄を立て、周囲を見返すほどの勲功があれば、誰も文句は言わないだろう。
さて、今回の話は宿敵である真田家と、徳川家との和睦である。
後世に生きる我々にとってはよく知ることだが、本多平八郎の娘である於稲をもって、真田源三郎との婚姻がここに成る。
そんな大役を仰せつかった茂兵衛であるが、今度はどんな知恵を絞って功を立てるのか。
武辺一辺倒ではない、バカおやじっぽい本多平八郎の姿が本書の魅力であるのだろう。
そして時間はすすみ、ついに名胡桃事件が起き、ついには北条征伐でと動いてゆく。
★ ★ ★ ★ ☆ 4 stars
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三河雑兵心得 小田原仁義
さて出世した茂兵衛の活躍の場は、関東の雄である小田原北条征伐へと移っていた。
小田原の北条氏といえば、堅固な小田原城を頼りに籠城することで、伝説的な大名である武田信玄や上杉謙信を撃退している。
その再現を目論む北条氏に対し、豊臣秀吉は天下人としての大号令を発し、全国から集った兵で攻めようとしていた。
だか本書の楽しみは、北条の反骨心ではなく、大軍勢による城攻めでもはない。
茂兵衛の活躍、いや主君である徳川家康から押し付けられた無理難題に立ち向かう姿。そしてどう知恵を絞って手柄を立てるのか。
読者が気になるところといえば、この点だと勝手に想像してしまう。
今回は城攻めを軸にして物語は展開していく。
小田原城を守る支城の一つであり、東海道を防備している山中城。
そして北条氏の祖となる伊勢新九郎が拠点として、関東進出の足掛かりとなった韮山城だ。
茂兵衛の鉄砲隊はどんな活躍をみせ、手柄を立てるのか楽しさいっぱいである。
★ ★ ★ ★ ☆ 4 stars
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三河雑兵心得 奥州仁義
書 名:三河雑兵心得 奥州仁義
著者名 :井原 忠政
出版社名:奥州仁義
登場人物:植田茂兵衛、綾女、蒲生氏郷、井伊直政、徳川家康
update by 2026/03/28
今回の『奥州仁義』での見どころは、戦場から離れた茂兵衛の「父親としての日常」です。
一人娘の綾女(あやめ)は、あろうことか父親を「もへえ」と呼び捨て。
近所の男子には愛想よく振る舞うくせに、家では父を振り回して困らせる……そんな綾女の奔放さと、二人のコミカルなやりとりは本書前半の大きな魅力です。
剛毅な武士である茂兵衛も、娘の行く末となれば話は別。
婿候補として近所の男子を見る目は、もはや名将のそれではなく、心配性な「ひとりの父親」そのものです。
果たして、綾女の婿に名乗りを上げるのは誰なのか? その行方にも注目が集まります。
しかし、時代は彼を平穏な日常に留めてはくれません。。
天下が静まりつつある「惣無事令」の最中、奥州で九戸氏による謀反が勃発。。
討伐軍の派遣が内々に決定し、徳川家も例外ではない。
徳川家康に呼び出され、未完成の江戸城へと登城した茂兵衛。
嫌な予感を抱えながら彼が受けた指令は、あまりにも過酷な「無理難題」でした。
・愛娘との関係に頭を悩ませる父親としての顔。
・家康からの難命に挑む武士としての顔
二つの難問を前に、我らが茂兵衛はどう立ち振る舞うのか?。
戦国サバイバル、待望の新展開。その結末は、ぜひ本書でお確かめください!
★ ★ ★ ★ ☆ 4 stars
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三河雑兵心得 豊臣仁義
書 名:三河雑兵心得 豊臣仁義
著者名 :井原 忠政
出版社名:奥州仁義
登場人物:植田茂兵衛、大久保彦左、久保七郎右衛門
update by 2026/03/28
冒頭、盗人石川五右衛門の生々しい釜茹による処刑からはじまる「豊臣仁義」。
もちろん茂兵衛は物見遊山で、石川五右衛門の最期を見に来たわけではなく、豊臣家における世間の評判を見聞を主より命じられたからだ。
豊臣家の評判はもとより、内部の情報も知りたい家康。
茂兵衛に下した次の指令は、余命幾ばくもない小田原城主である大久保七郎右衛門の見舞いであった。
もちろん単なる見舞いでは無いことは言うに及ばず。
北条残党の一揆を警戒して、鉄砲百人組を引き連れて京から小田原へと向かうのであった。
もちろん平穏無事に小田原へたどり着けるものではなく、途中箱根で襲撃を受け、あれもこれも失う羽目に。
さて今回の茂兵衛だが、少々老いを感じさせる場面が多々見受けれれる。
それだけではなく、現代風に置き換えると中間化離職としての気苦労も垣間見ることができた。
弱りつつある肉体、部下の育成などなど。
そんな茂兵衛が活躍する本作は、まだまだ続きそうだ。
★ ★ ★ ☆ ☆ 3 stars
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三河雑兵心得 関ヶ原仁義(全三巻)
書 名:三河雑兵心得 関ヶ原仁義(全三巻)
著者名 :井原 忠政
出版社名:奥州仁義
登場人物:植田茂兵衛、本多平八郎、福島正則
update by 2026/03/28
今回の「関ヶ原仁義」は、じつに1年に渡って3冊が刊行された長編(?)に仕上がっている。
そもそも「三河雑兵心得シリーズ」が大長編になっていることを考えると、これはすこし言い過ぎかもしれない。
ともあれ天下分け目の関ヶ原合戦がとうとう語られるところまで、時間は進んできたことになる。
並行して我らの茂兵衛も順当に出世しており、序盤では単なる足軽として、徳川家中でもその大勢の一人であったが、今では徳川家康に側近だ。
さて今回はどんな無理難題を押し付けられ、見事に捌くことができるのか、楽しみである。
関ヶ原という戦いとう言葉からは、軍勢同士の衝突した血なまぐさい戦場を想起させるが、実際に戦いはそれより前から始まっていた。
誰が味方で、敵となるか。
互いに疑心暗鬼から、敵方への裏切りをさせない様、せっせとご機嫌伺いを念頭に気を配るのが大切だ。
そこで茂兵衛に与えられた任務が、豊臣恩顧の大名である福島正則との交渉役。
正則の機嫌を損ねない様に気苦労は、徳川陣営の先輩格である本多平八郎の扱いと同様に茂兵衛を苦しめることになるのだが、
もちろんネタバレになるので、これ以上の内容は記載はしないでおきます。
福島正則との交誼は、後々の改易時への伏線となりそうな気がしてきたが、さてどうだろうか。
石田三成、直江兼続といった豊臣方の大名の挙動は独創的であり、徳川家の井伊直政と本多平八郎の対比は実に面白い。
また関ヶ原ということで、真田家の動向も気になるところだが、こちらも詳細は読んでみて、という一言を添えておく。
★ ★ ★ ★ ☆ 4 stars
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三河雑兵心得 関ヶ原仁義(上)
三河雑兵心得 関ヶ原仁義(中)
三河雑兵心得 関ヶ原仁義(下)