歴史小説

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前田利家(全三巻)


書  名:前田利家(全三巻)
著者名 :津本 陽
出版社名:講談社
登場人物:前田利家、まつ、豊臣秀吉


戦国の武将、前田利家の半生を描いた大河小説。

主君であった信長に勘当されたところからはじまり、加賀百万石の大名への立身出世を、時勢とともに語られてます。

前田利家は織田信長、豊臣秀吉に仕え、徳川家康とは、秀吉の死後の豊臣家の中で対等か、それ以上の実力を持った。

この三英雄(?)と同時代を生き、天下取りとは行かないまでも、大きく歴史を動かした人物である事が、この書によって再認識させられた一冊です。


★ ★ ★ ☆ ☆ 3 stars
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前田利家(全二巻)


書  名:前田利家(全二巻)
著者名 :戸部新十郎
出版社名:光文社
登場人物:前田利家、まつ、豊臣秀吉


織田家の戦国武将、前田利家の生年時代からの半生を綴った物語。

織田家に仕えていた若かりし頃、まつを妻に娶るが出奔。
友人である羽柴秀吉との交流を加えながら、織田家に帰参して出世して行く。
しかし天正一〇(1582)年に起きた本能寺の変にて周りの状況は一変する。
直属の上官である柴田勝家は自刃、その勝者である友人の秀吉は天下人へ。

そして利家は天下人秀吉の良き片腕として、人生の華を咲かせてゆく作品です。


★ ★ ★ ☆ ☆ 3 stars
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まつと家康-明日を築く闘い-


  著  者:祖父江一朗
  出版社:ハルキ文庫
  登場人物:まつ、石田三成、直江兼続、本多正信、徳川家康


「加賀芳春記」の続編にあたる作品である。

前作で石田三成の謀によって殉死させられた片山延高。
戦国の世を終わらせようと奔走していた延高の意思、前田家の存続の為に「徳川を本尊とし、加賀前田を脇侍」を実行に移すこと。
この意志を受け継いだのは徳川家康の懐刀である本多正信。
しかし戦乱の火種は未だに燻っており、ついに石田三成と徳川家康の対立は避けられないものとなっていた。

三成は決戦を美濃関ヶ原の地と定め、家康を彼の地へ誘い込む策略を練る。
さらに会津上杉家の宰相である直江兼続が抱く野望をも利用して、日本という国をふたつの陣営に隔て、最終決戦へと歩んでゆくのであった。

延高の全てを受け継ぐ者や、本多正信の嫡子である政重などの活躍も見逃せない。

混乱が続いた戦国時代末期,明日を築く闘いの幕が開かれる。


★ ★ ★ ★ ☆ 4 stars
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幻の城


  著  者:風間真知雄
  出版社:祥伝社文庫
  真田幸村、根津甚八、宇喜多秀家


大阪の陣を舞台にして、真田幸村という武将が躍動する活劇。

こう書けば幸村とそれを慕う忍び、十勇士が縦横無尽に戦場を駆け巡り、宿敵である徳川家康の首を狙う物語に思えてしまう。
しかしこの「幻の城」はそうではない。

大阪城に入城した幸村は、徳川軍を迎え討つにあたり、総大将に成り得る人物が居ないことに不安を覚えた。
そこで幸村は八丈島に流刑に処せられた宇喜多秀家を、大阪方の総大将として迎え入れることを決意し、配下の根津甚八を向かわせるのである。

真田幸村という現在でもその人気は衰えることが無い武将を主人公に据え、脇を固めるのが老将の後藤又兵衛。
さらには真田十勇士を彷彿とさせる人々を登場させることで、読者にサービスを提供してくれている。

さらに極めつけは宇喜多秀家。彼の描写が特筆であり、まさに狂気であるその性格がこの物語の本質ではないだろうか。 物語の鍵を握る重要な人物であることは間違いない。

読む前に期待度を設定したとすれば、良い意味で裏切られた気分である。


★ ★ ★ ☆ ☆ 3 stars
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まぼろしの城


まぼろしの城

  著  者:池波正太郎
  出版社:講談社
  沼田万鬼斎、ゆのみ、金子新左衛門


戦国群雄の時代、上州(群馬県)の沼田城の主である、沼田万鬼斎を中心に描いた作品。

戦国乱世、小さな勢力はやがて、大きな勢力に飲み込まれていくのが世の流れ。
特に沼田の地は、北関東における交通の要所として重要視されていた。

相模の北条氏、甲斐の武田氏、そして越後の上杉氏といった三大勢力から狙われることになるのは必然であった。
このような乱世で万鬼斎は己の領地はもちろん、城や城下に住まう領民、そして家臣を外敵から守る義務を果たす必要があった。
地方の国人領主である万鬼斎と、その家臣である金子新左衛門を主にしてその奮闘を描く。

彼らは無事に領地を守ることができるのか、そしてその運命はどうなるのか。


★ ★ ★ ☆ ☆ 3 stars
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見知らぬ海へ


見知らぬ海へ

  著  者:隆 慶一郎
  出版社:講談社文庫
  登場人物:向井正綱、本多正信、徳川家康


海を舞台にして、戦国時代を描いた歴史小説です。

向井正綱を主人公に据え、正綱が向井水軍を継ぎ、水軍から戦国時代を描いています。

まさに戦国を生き抜く武将の一人です。
また海に生きる人は、陸に生きる人との価値観の違いなども読みとれます。

これは徳川の水軍として天下統一への事業を達成していく物語。になるはずだったと思います。
というのも、この「見知らぬ海へ」が未完の作品であるからです。

オランダのリーフデ号が臼杵へ漂着したところで幕を閉じています。


★ ★ ★ ☆ ☆ 3 stars
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三成の不思議なる条々


  著  者:岩井 三四二
  出版社:光文社
  登場人物:石田三成


関ヶ原の合戦で敗将となり、斬首された石田三成。それから三十年が過ぎ去った太平の世となった時代に、当時の生存者を訪ね歩き、三成の軌跡をまとめる物語。

筆紙商いの文殊屋が、さる筋の者から内密に依頼されたのが、「ありし日の石田三成」について作成せよと言う依頼であった。
そもそも関ヶ原の合戦とはどんな戦であったのか。どんな大名方が参陣していたのか。
また三成という人物について、なぜ軍勢を率いて戦う必要があったのか。疑問を胸にして江戸から上方へ旅へ出たのであった。旅先で人々から話を聞くうちに、石田三成という人物の実像にせまり、素顔が垣間見えている。

なぜ関ヶ原から三十年という時間を経て、わざわざ敗将となった三成の軌跡を追っているのか。それは読んでからのお楽しみであるのでここでは語らない。

また主人公と三成について語る人々との会話はまるで、昔話を読み聞かせてくれているかの様であり、岩井氏の世界へ引き込まれてしまうことだろう。

定説で語られる三成像とは異なる解釈は、読み手を飽きさせる事無く、なぜ三成は家康率いる東軍と真っ向から戦いを挑み、そして敗れたのか。その一端を垣間見ることが出来る一冊である。


★ ★ ★ ★ ☆ 4 stars
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水の城~いまだ落城せず~


  著  者:風野真知雄
  出版社:祥伝社文庫
  登場人物:成田長親、甲斐姫、石田三成


関東の武蔵に蓮の沼に浮かぶ城があった。忍城という。人々はこの城を「水の城」とも呼んでいた。この城が歴史的に名を刻んだのが、本書の物語でもある豊臣秀吉による小田原北条攻めである。関東の北条方の城は豊臣方の諸将により、陥落していく中で忍城は持ちこたえていた。さらに本城の小田原よりも戦い続けていたのである。この忍城で采配を振るったのが城代であった成田長親。そして城攻めを慣行した大将は石田三成であった。攻城軍がおよそ五万の兵をそろえるのに対し、籠城兵は百姓兵を合わせても三千ほどの人数。この劣勢の中でその様に城方の武将は采配を振るい、足軽達は戦ったのだろうか。成田長親と石田三成の相反する人柄が,物語を一層おもしろくしている鍵がなのかもしれない。


★ ★ ★ ★ ☆ 4 stars
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光秀の定理


  著  者:垣根 涼介
  出版社:角川書店
  登場人物:明智光秀、愚息、玉縄新九郎


「定理」とは、公理や定義をもとにして証明された命題で、それ以降の推論の前提となるもの。

題名からして明智光秀を描いた物語であり、本能寺の変を扱った歴史小説であろうと思い込み、手に取ってみたのだが、読んでみると見事に期待は裏切られた。
本能寺の変を追求し、その様相については描かれていない。物語の大半は博打の勝率についてであり、「モンティホール問題」として作中の人物が語っているのだ。これが実に面白く読み込んでしまう。
物語は、剣の達人である浪人の新九郎と博打の坊主である愚息、そして明智十兵衛光秀が出会うところから始まる。この三人の生き様は三者三様であり、どれを肯定するでも否定するものでもない。その中で出世する光秀を中心として物語は進む。
そもそも明智光秀という武将が、主君である織田信長を討った「本能寺の変」は大概の人にとっては既知のことである。しかし光秀がその様な行動をなぜ起こしたのか、その事実については現在まで謎のままであり、その答えはだれも正解を導き出していない。
解答例として考えるのであれば、著者の考え方は大変面白く興味を持たせてくれた。


★ ★ ★ ★ ☆ 4 stars
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密謀(全二巻)


密謀

  著  者:藤沢 周平
  出版社:新潮社
  登場人物:直江兼継、上杉景勝、石田三成


これまた関ヶ原の合戦を含んでいる作品です。

とはいうものの直接、徳川家康が率いる東軍と石田三成の率いる西軍の大軍が、関ヶ原の地で直接干戈を交えた戦いを描いている訳ではない。

羽柴秀吉による天下統一は目前に迫り、秀吉の軍門に下った越後の上杉家。物語はそこから始まる。

秀吉方の使者となった石田三成は、上杉家との交渉の赴く。そこで上杉方の将である直江兼継と出会い、やがては天下に名だたる謀を巡らすこととなる。

本作では上杉方からの視点でもって、徳川家康の天下取りが描かれている。

また武将以外にも裏で活躍する忍びの者や、幼くして母を亡くした剣豪なども登場し、なかなか読み応えのある関ヶ原モノである。


★ ★ ★ ☆ ☆ 3 stars
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夢幻


著者名 :上田 秀人
出版社名:中央公論新社
登場人物:徳川家康、織田信長


「夢幻」とは「ゆめとまぼろし」の事であり、はかないことの例えとして用いられる。

読んで納得な題目であった。

本作も題目の通りに「天下人」とは「夢」のまた夢である徳川家康と、天下人まで手が届きかけながらも「幻」と消えた織田信長を波瀾万丈な人生を2部構成で描いた作品。 第一部となるのは徳川家康。

幼少期より人質生活を余儀なくされ、独立したと思えば領内の和は収まらず、武田という大きな難敵に脅かされるなど、数々の苦難を乗り越えていく。 その中でも嫡男である信康や、正妻である瀬名姫との確執など身内に潜む難事も家康を襲う。

一方で、第二部は織田信長となる。

第一部の家康とは対照的に信長の半生は美濃を併呑し、近江の浅井家の協力得て上洛を果たすなど、まさに天下統一へ向けて順風満帆な道。
また嫡男として誕生した奇妙丸に対しては、後継者として英才教育に勤しむこと、前半の家康とは対照的な人生設計を送ることとなる。

それでも歴史は証明している。最後に笑うことになるのは家康であり、信長は天下まであと一歩まで進むも、遂に果たす事かなわず、幻と消滅してしまうのだった。

さてさて本能寺の変により二人の人生に大きな変革をもたらすであるが、その首謀者とされるのが明智光秀だ。
毎度の事ながら、なぜ明智光秀は本能寺で信長を弑さなければならんかったのか。

この本能寺の変に対して、光秀を突き動かす動機は本書の魅力といえるだろう。また、信長と家康の人生を端的に、一冊で読むことができるのは誠に贅沢な事である。


★ ★ ★ ★ ☆ 4 stars
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武者始め


  著  者:宮本 昌孝
  出版社:祥伝社
  登場人物:北条早雲、武田信玄、上杉謙信、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康、真田信繁


「武者始め」。あまり聞き慣れない言葉である。

武者の始まり、武者として武士としての第一歩を踏み出すと捉えれば、初陣や元服といった儀式的なことを思い手に取ってみた。

しかし読んでみると、少々様子が異なる。
というよりも勘違いをしていた様だ。つまり命を賭して、物事を成し遂げることが「武者始め」ということの様に思えた。
本書では北条早雲から始まり、武田信玄や上杉謙信といった戦国大名。さらに織田信長、豊臣秀吉、徳川家康の三英傑。そして真田信繁という伝説的な武人の武者始めが描かれた全部で七つの話からなる短編集となっている。

ちなみに一つ推奨するとれば、真田信繁を描いた「ぶさいく弁丸」の物語だろうか。武将としての功績などは、増幅して語り継がれることが多い。
特に武将については、多くが美丈夫に描かれ、そして語られること間違いなし。しかし本書での信繁の容姿は、題名の通りに描かれている。そして信繁の武者始めはどの様なものであったのか。

結末については知られていることだが、武者始めについてはあまり知られていない事が多く、伝説的に後世に語り継がれることも否定できない。 本作品についても史実の様でいて、実際に資料や文献に書かれている描き方だ。疑うことなく読むことに没頭してしまった。

歴史小説として手に取った一読者からすれば、史実だろうが創作だろうが、そんなことは関係無い。楽しく納得ができる内容であるのであれば、それだけで満足を得られるのだから。


★ ★ ★ ★ ☆ 4 stars
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村上海賊の娘(全二巻)


  著  者:和田   竜
  出版社:新潮社
  登場人物:村上景、村上元吉、村上景親、真鍋七五三兵衛


大阪本願寺から兵糧要請が毛利へ向けられた時、運命の扉を押し開く事になったのが、瀬戸内海の海賊である村上武吉の娘であり姫様である景。

日頃は領内での海賊家業に勤しみ、合戦に憧れを抱く乙女。
しかし彼女の容姿は醜女であり嫁の貰い手も無いというのが父武吉の悩みであった。

そんな彼女が本願寺を目指す信者等と出会い、そして舟で向かったが和泉国。
そこで出会ったのは真鍋七五三兵衛ら泉州侍。
そして本願寺と織田家との間で繰り広げられていた本物の合戦。

物語は毛利家が本願寺へ兵糧の搬入を完遂させる木津川沖合戦を主にしてるのだが、そこへ至るまでの時流を景の視点で語っている。

堅苦しい歴史小説とは異なり、少々軽い漫画風な娯楽小説とでも言えようか。

特に泉州侍が合戦でのその姿は滑稽である。血なまぐさい戦場である現実から逃避し、合戦場であることを忘れてしまうほどだ。

その独特で無遠慮な雰囲気を漂わせる世界観を受け止めることができるかどうか。


★ ★ ☆ ☆ ☆ 2 stars
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村上武吉-毛利を支えた水軍大将-


  著  者:岳   真也
  出版社:PHP文庫
  登場人物:村上武吉、小早川隆景、毛利元就


瀬戸内村上水軍の頭領、村上武吉の半生を描いた作品。はじめて読んだ水軍モノでした。世にも有名な厳島の合戦で、毛利方に就くかのか、それとも陶方に就くのか?迷いに迷って村上家の命運を預かる村上武吉。海に生きる武士の姿を垣間見た気がします。


★ ★ ☆ ☆ ☆ 2 stars
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村を助くは誰ぞ


  著  者:岩井 三四二
  出版社:講談社文庫
  登場人物:斎藤道三


尾張の織田弾正忠が美濃へ軍勢を差し向けた時、美濃を事実上統治していたのは斎藤道三。

さてその勝敗は如何に。

いやいやどちらに転がろうと、その地に住む者にとってはどうでも良い話。
とにかく勝つ方へ味方すればよいのだから。
それではどちらが優位なのか。
様々な立場の人が奔走する姿を描いた短編集である。

全部で6作品が治められいる。

これらの大半の話は、実際に存在している古文書からその題材を引っ張り出してきており、さらに滑稽で人間味が溢れるスパイスを加えた、物語として仕上がっている。

殺伐とした戦国時代、こういった小説を読んでみるのも良いものです。


★ ★ ★ ★ ☆ 4 stars
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名将 大谷刑部


  著  者:南原  幹雄
  出版社:新潮文庫
  登場人物:大谷吉継、石田三成


戦場で武功を挙げることを夢見た平間こと、のちの大谷吉継。豊臣秀吉に仕えその才能をいかんなく発揮していた。しかし戦場での槍働きよりも、事務官としての才覚が認められ、同僚の石田三成と共に豊臣政権下での行政を司っていた。やがて敦賀を与えられるほどの出世を遂げたが、不治の病に掛かり志し半ばで、表舞台から退いた。そんなおりに、隠居の身である石田三成が兵を挙げる。そして事態は関ヶ原の戦へと向かうのであった。吉継は勝算の見込みは薄いと頭では理解しつつも、ひとかどの武将として最後の采配を振るうことを選択する。


★ ★ ★ ★ ☆ 4 stars
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名将 佐竹義宣


  著  者:南原 幹雄
  出版社:角川文庫
  登場人物:佐竹義宣、石田三成、直江兼続


北関東の大名佐竹氏。北からは奥州の伊達氏に押され、南からは小田原北条氏から攻め寄せられ、奥州と関東の狭間で四苦八苦している時、転機が到来したのが天正一〇年のこと。天下制覇を目指す豊臣秀吉による小田原攻めである。佐竹義宣は、天下人の軍勢である豊臣方にいち早く馳せ参じ、石田三成から厚い信頼を勝ち得た。これにより常陸一国を支配することを天下人よりお墨付きを頂き大名へと躍進する。これによりいつしか、百万石の大名への出世を目論む義宣であった。自より豊臣家の石田三成に接近し、関東へ移封された隣国大名でもある徳川家康とは、意識して距離を置くようになった。そして自らの知恵に奢り、石田三成や上杉家宰相である直江兼続と謀り、密盟を結ぶことになる。これはやがて天下を賭けた決戦を仕掛けるにいたるのであった。この佐竹義宣を名将として語ろうとしているのはよく理解できた。しかしそれがかえって、時に凡将に見えてしまうのは気のせいだろうか。


★ ★ ☆ ☆ ☆ 2 stars
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毛利は残った

書  名:毛利は残った
著者名 :近衛 龍春
出版社名:角川文庫
登場人物:毛利輝元

update by 2025/04/27


明治維新という近代日本へ生まれ変わる革命を成し遂げたのは、長州藩や薩摩藩といった西国の諸藩を中心とした侍たちであろう。
その中で長州藩の殿様は遠くは鎌倉時代まで遡るという毛利家。

長い毛利家の歴史の中で、家名存続の危機に瀕したのは、おそらく慶長5年の大戦となった関ヶ原の戦い後ではないかと勝手に思っている。

徳川家康と(ここでは東軍と呼ぶが)石田三成(こちらは西軍)の軍勢が、美濃関ヶ原で衝突しているが、結果は誰もがご存じの通り、徳川家康が率いる東軍の大勝利に終わる。

この時、西軍の総大将として形だけだが指揮を執っていたのは(戦場には赴いてないが)、まぎれもなく毛利家の当主であった毛利輝元である。
敵対した家を潰してしまおうと画策するのは勝者の徳川家康と、それを裏で支える本多正信という謀将。

ここで書名となっている「毛利は残った」についてだが、取り潰しの危機が迫りながらも耐え抜き、そして江戸時代を通して生き抜くことになる長州藩"毛利家"誕生秘話となる。
この毛利家の存続危機に直面しながら、先頭を切って舵を切り、そして逆境へと立ち向かうのは、敗軍の総大将となった毛利輝元、その人だ。

個人的な感想となるが毛利輝元という人物は、叔父の小早川隆景や吉川元春に操られ、もしくは毛利家の旗印として担がれた武将といいう印象が濃い。
しかし本書を読み進めるうちに、輝元という武将に対しての印象がガラリと変わる。

戦国時代というと、"生き抜くこと"、"家名を残すこと"が大事であり、まさに毛利輝元はそれを武将として行動をして、毛利家を存続させている。
これだけでも偉業を成し遂げた名将といえなくはないだろう。
国を統治することの難しさを克服した初代藩主となった毛利輝元の英雄伝説の出来上がりである。


★ ★ ★ ★ ☆ 4 stars
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毛利元就(全五巻)


書  名:毛利元就(全五巻)
著者名 :榊山  潤
出版社名:富士見書房
登場人物:毛利元就、浄現坊


安芸郡山の国人でありながら、中国地方一帯に勢力を拡大させた覇を唱えた戦国大名、毛利元就の半生を描いた物語。
山陰の尼子氏と周防を中心として力を持つ大内氏。毛利氏はこの両氏の狭間で、なんとか生き延びる術を探る日夜であった。
あるときは尼子氏へ頭を垂れ、次の日には大内氏へ手をさしのべてもらい、毛利の家を守っていた。
大勢力に飲み込まれず、乱世ならではの困難に遭遇しながら、生存競争に勝ち抜いた毛利元就の姿が描かれている。
力が無くとも謀略で勝負。また歴史に名を残す武将だけではなく、弱者である女性の不遇という視点から、読者を戦国という乱れた世を知らせてくれる。
主人公は間違いなく毛利元就であろう。しかし物語は浄現坊という元就の隠密であり、僧侶の視点により進行している。
やや読みづらい気もするが、読み終えると毛利がなぜに覇者と呼ばれる様になったのか、その源がわかった様な気になってしまう。


★ ★ ☆ ☆ ☆ 2 stars
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もののふ莫迦

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書  名:もののふ莫迦
著者名 :中路 啓太
出版社名:中公文庫
登場人物:岡本越後守、粂吉、加藤清正

update by 2025/12/26


「本屋が選ぶ時代小説大賞」を受賞した、中路啓太氏の『もののふ莫迦』。
受賞から少し時間は経過したが、ようやく手に取る機会を得た。

本作は、自身の信念を貫き通す異様に強い戦国武将・岡本越後守(おかもとえちごのかみ)という「もののふ」を描いた物語だ。
馬鹿正直というか、単なる融通の利かない頑固者とも違う。己の信念を違える者であれば、たとえ生殺与奪の権を握る相手であっても反抗するその姿勢は、まさに「かぶき者」と呼ぶにふさわしい。

戦国時代のかぶき者といえば、前田慶次郎(利益)を彷彿とさせる。 特に加藤清正と対峙するシーンは、慶次郎が叔父の前田利家や豊臣秀吉に見せた不敵な態度そのものだ。
合戦シーンにおいて味方を鼓舞しながら死中を切り抜ける姿も、読みながら二人の姿を重ねて見てしまう。

これほど慶次郎の姿と重なるのは、私の中で『一夢庵風流記』や『花の慶次』の印象が強すぎるためかもしれないが、それほどまでに越後守のキャラクターが立っているということだろう。

本書は、肥後・田中城の攻防を描いた前編と、朝鮮の役(文禄・慶長の役)を描く後編で構成されている。
前編では、越後守の故郷である肥後が豊臣勢に蹂躙され、多くの仲間の命が奪われる悲痛な展開が描かれる。
田中城の攻防で九死に一生を得た越後守は、不本意ながらも仇敵である加藤清正へ仕える運命となるが、その根底にある「もののふの心」を忘れることはなかった。

そして物語は、越後守が朝鮮へと出陣する後編へ。
この戦に大義を見出せない彼は、もはや自身を縛るものは皆無とばかりに、己の信じるもののために半島で大暴れする……。そんな痛快歴史小説かと思いきや、後半は少々予想を裏切られる展開が待っている。

自由気ままに己の大義を想う岡本越後守と、組織の一員として大義を見出そうとする加藤清正。
この二人の心の対比は非常に興味深く、単なる活劇に留まらない、魂の叫びを描き出した傑作である。


★ ★ ★ ☆ ☆ 3 stars
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森蘭丸


森蘭丸

書  名:森蘭丸
著者名 :澤田 ふじ子
出版社名:光文社
登場人物:森蘭丸、八重、平太


本書では森蘭丸の青年時代が語れいる。森蘭丸といえば織田信長の寵童という印象が深く、多くの人が人物像を先行して想像することでしょう。しかし本書での森蘭丸は、織田家の官僚という役どころ。また戦国時代というと殺伐とした雰囲気が漂うなか、10代の少年である森蘭丸という若者の青春ドラマとして読むことができます。


★ ★ ☆ ☆ ☆ 2 stars
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もろびとの空 三木城合戦記


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書  名:もろびとの空 三木城合戦記
著者名 :天野 純季
出版社名:集英社
登場人物:加代、蔭山伊織、別所長吉、別所義親


いついかなる時代であっても、戦いで犠牲を強いられるのは弱者である領民である。
そこに一人の英雄は必要なく、欲するのは自由と平和と食料。

戦国時代における合戦の中でも、悲惨な攻城戦として現代にも語り継がれるいわゆる「三木城合戦」。

織田方の大将である羽柴秀吉は三木城を攻めるにあたって、徹底的な兵糧攻めを慣行。
別所家の武将はもちろん、織田方の兵から逃れた領民も併せて城に籠もって羽柴軍と徹底抗戦。

しかし城内に籠もった人々の敵は目の前に布陣している織田方の兵だけではなかった。
長期にわたる籠城により米蔵からはコメが消え、家畜も姿を消し、飢えが城兵や武器を持たない領民達を襲う。

「三木の干殺し」と後世に揶揄される。

小林村の農民加代も織田家の襲撃から逃れるため、弟と妹を伴い三木城に籠もった領民のひとり。

加代の目でもって城内の凄惨な生活を強いられる姿を描いている。
ある時は友人と語らう少女が、弟妹を守るために薙刀を手にして敵と斬り合う。
そこにあるのは功名心からでは無く、生き抜くために戦うという姿だ。

名のある英雄が活躍する戦国時代モノの小説は豊富に揃っており、また手に取って読む機会も少なくない。
しかし本書にはそんな英雄は存在いない。

最前線に立たされている人々の痛ましさが、心に突き刺さってくる。

物語の終盤、籠城戦を終わらせようと奮闘した人々。

爽快な気分にはならないが、敗者側からみた悲惨な籠城生活から、生き地獄を垣間見た気がする。


★ ★ ★ ★ ☆ 4 stars
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