旅日記2013

4月3日初日の3

このホテルの建物は古いけれど、天井が高く(3mはある)シャンデリアまで付いている。設備の改装は済んでいて、Wi-Fiは使い放題、水栓は全て自動だ。ただシャワーは2m位の所に付いていて外せない上に、一定時間で勝手に止まる。確かに湯の使い過ぎにはならないだろうけれど、使い勝手は悪い。それ以外に韓国製のスマートテレビとドイツ製のコードレス電話が付いていた。デスクのスタンドにナイトスタンドが2つ(ツインの部屋だったので)、シャンデリアを含めて全て白熱球だったのは面白い。取り敢えずLEDにする気はないのだろう。

さて、落ち着いた所で相棒を誘い、最初の食事に向かう事にする。ドイツだもの何より、ビールが飲みたかった。そして行く先は旅立つ前に決めていた。ビスマルクプラッツのイタリア料理店DA MARIOだ。ここのイタリア料理は旨い。二年前に入りたかったが果たせなかったので、楽しみにしていた。ホテルからは徒歩で5分ほどだ。専用のエスカレータで上がり、店内に入ると雰囲気は昔と変わらない。しかし、店員同士がイタリア語でぺちゃくちゃ。これは戴けない。とはいえ、料理はやはり旨かった。私はラザニアをK君はシュニッツェルを頼んだ。シュニッツェルはドイツ料理だが、内容的にはミラノ風カツレツと同じなのでイタリアでも珍しい訳ではない。早速ヴァイツェンビールを飲み、食べる。ブロイラー状態で飛行機に乗っていたので、食欲はさほどなかった。いつもなら3杯は飲むのだが、これでお仕舞い。

とにかく疲れたので、戻って寝る事にする。本館と違い建物と部屋の鍵は自分で管理するシステムなので、面倒が無くていい。シャワーを浴びてから、部屋のコードレス電話でKDDIスーパーワールドカードが使えるかチェック。しかし、何度試してもどう言う訳か繋がらない。諦めて寝る事にしたのだが、トラブル発生。部屋の「SAVE」というセーフティーボックスがあるのだが、扉が開きっぱなしなので何気なく閉めたらロックされてしまった。あわててマニュアルを見ると、扉の裏にあるリセットボタンを押してから閉めてセットするとある。時、既に遅し。見るとキーを挿す穴があったので、これで開けられるのだろうとは思ったが、少々焦った。「今日は厄日だ」とリゴレットの様に呟いて寝る。

4月4日 二日目

朝になった。昨日家に連絡出来なかったので、電話を掛けに出かける。しかし、歩いても歩いても電話が無い。結局昨日晩飯を食べたビスマルクプラッツのDA MAIROの近くで見つけ、掛ける。飛行機が遅れた事や、ホテルの様子なども知らせた。日本は何時もと変わらない様子で、何時もの様に飼い猫のタミが電話口で騒いでいた。私と同じで、電話が嫌いなのだ。

連絡が付き一安心してホテルに戻り、朝食の切り盛りをしているお姉ちゃんにSAVEの件を話したところ、やはりキーがあるから大丈夫だとの事。安心したらK君が来たので、飯にする。所謂ビュッフェ形式で、素朴だが食材は充分に取り揃えている。4種のハムとソーセージ、ゆで卵、トマトのサラダ、牛乳とジュース二種等々。コーヒーはヴェンダーで好きな物を選ぶ。昔は持ってきてくれる所が多かったが、最近は人手の削減でこれが主流の様だ。ネットの書き込みでは、ここHOTEL ELITEを貶すものと誉めるものがあった。「ここの飯は不味くて食えたもんじゃない」と言うのまであったが、私は悪くないと思う。他のホテルに比べて料金も安い。ハイデルベルクの他のホテルでは10ユーロを越す所も多いのに、ここは6ユーロだ。食堂(Fruetucksraum)も中庭に通じていて、アトリウム(余り手入れされていないが)になっている所もあり、それなりに雰囲気がある。さて、今日はシュヴァルツヴァルトに行く。カールスルーエとフライブルクだ。天気も良いし、いざ出発。

カールスルーエはオーボエのインダミューレがいて、日本からも留学生が多いのだが行った事が無かった。マンハイムからICEで30分程度なので直ぐに付いた。

駅前の電話で漸くオペラの件の確認の為に長谷川さんに電話。すると何と明日見る筈のGPが日延べになったと言う。この日の夜に最後の練習(Letztes Probe)があるけれど、これを見るかと訊かれて、一も二も無く行くと答えた。昨日今日と端から計画の変更を迫られた旅行は初めてだが、もう「なる様になれ」である。こういうのもそれなりに面白いし。さてカールスルーエの話に戻ろう。

駅前には動物園があり、公園が広がっている。それに沿って歩いて行くと公園を渡る橋があり、中央から象が見えた。前にフランクフルトのオペラのある駅のホームで、その時の演目を流していた事があった。多分、何時もそうなのだろう。もちろん客寄せの戦略に違い無い。それを聴いて興味を持ち、行く人もいるだろうと思ったが、ここでは同様に動物園の一部が見える訳だ。なるほど、これを見れば入って見たくなると納得。

そのまま渡り大通りを進むとホールが立ち並ぶ場所があった。ここにはホール(Konzerthaus)、会議場と展示場(Kongress und Messe)などがあり、催し物広場(Festplatz)という一角らしい。

さて目標はSchloss(城)だが、そこに至るまで商店街もあり、マルクトプラッツもある。しかし、町は工事中だ。地下鉄を作っている。マルクトプラッツなど掘り返されて出店のスペースも無い。ここには砂岩で作られたピラミッドがあり、地下鉄の駅になっている。案外古くからあるもので、1823年から25年にかけて街が大きくなった頃に作られた様だ。最初は木製だったとの記述がある。ドイツにピラミッドですか、と言う感じ。前の戦争でも壊されなかったと言うが、ピラミッドパワーのお陰か...。そこから城はすぐ近くだった。思っていた以上に素晴らしい。広い敷地に雄大な建築物。ミュンヘンのニンフェンブルクほどではないが、静謐を楽しむには充分だ。余り期待していなかったが、来て良かったと思えた。

帰りは少し歩くコースを変えたのだが、これが間違いだった。来る時より早いと思って選んだ道は思惑と逆だった。地下鉄工事で回り道せざるを得なかったり、意外に待ち時間の長い信号が多かったり。残念な事に駅に着く頃には予定の列車は出ていた。しかし、これも一興と動物園前のカフェにでコーヒーを頼み、暫し休憩。お喋りをしたり、景色を眺めたりして過ごすと時間になったので駅に。プラットホームに登ると、またしても列車が遅れているではないか。乗り遅れた一つ前のは定刻だったくせに!仕方なく待つが、その所為でフライブルクにいられるのは1時間も無い。

フライブルクの駅に着き、ホーム直結のエスカレータで市電の乗り場へ。この町はLRT(Light Rail Transit/トラム)で有名なのだ。走っているのは低床式の市電で、マンハイムも導入している。町と大聖堂(DOM)を見てそそくさと列車に。

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