23c 竹箆圏チクヒケンの人々と竹〈竹の諺コトワザ〉
竹の実が葉中にかくれる年は大風あり:全く事実に反します。
竹の水は風邪薬:若竹の一端から焼いて,切口から出る水を集めて飲みますと風邪の
特効薬です。売薬のフスモン液とは,竹の油の商品名です。
竹の容器は結核に効く:竹の笊,節間の節をえぐって作った容れ物などを使いますと
結核が治ります。
竹の楊子ヨウジを使うとさかしらごとにあう:竹の楊子は香がなく折れやすいところか
ら,粗末なことの代名詞で,使うものではないとの意です。
竹箸で食事をすると願いごとが叶わぬ:茨城県などでは,竹箸は火葬場の骨拾いなど
にすることから竹箸を忌みます。
竹八月に木六月:佐賀県小城郡における各伐りどきの諺です。「木六竹八堀十郎」参
照
竹は月夜に伐採:昔から月夜に伐採したものは材質が堅実であるなどといって高価に
売買が行われました。類語「竹は月夜に伐ると虫が入りやすい」
竹は鋸で伐ると絶える:竹を伐るのに鎌を使うか,又は鋸で伐ったときはその株を割
らないといつまでも養分を吸って薮が絶えますという,山口県での伝説です。
竹は孫に会えぬ(花傭月令):竹の寿命は古くは60年といわれました。なお,竹の寿
命は50〜120年ぐらいといわれています。
竹は三日月さんに伐れ:岐阜県揖斐郡では満月頃に伐ると虫がつくので,暗から三日
月ぐらいまでに伐れとの意ですが,事実ではないでしょう。
竹箒を担ぐと背丈が伸びない:山口県では,竹箒は身分の低いものが使うので,それ
を使うと出世しないとのことです。
竹や笹に実のなる年は飢饉だ:古くは山間の人々が笹,ことにチマキザサの果実を天
井に貯え,飢饉年に出して食べますので,「笹の実は飢饉年に食え」との類語でも
あります。
竹屋には結核患者がいない:竹細工をやる者には結核患者がいません。竹工が口にく
わえるので,竹に含まれているビタミン類などが効くためといわれています。
竹屋の火事:江戸っ子は喧嘩相手ばかりでなく,ごく親密な間でも,ちょうど竹屋の
火事のようにポンポンいいますので,勇ましいということです。
竹薮に矢を射る:弾丸や矢は竹を反ソれることから,無益の喩にいいます。
竹薮のある家は新家で,黒木の家は旧家:竹は生育が早く,安価ですので,新家など
の風除けや庭木として植えます。旧家は黒木,すなわちマツ,ヒノキ,アラカシな
どでも大木になっているということです。
竹薮の竹に絡んだものはない:林立した竹薮では暗過ぎて蔓がほとんど巻きつきませ
ん。同様に正しい心の持主にはどんな悪者も絡んできません。
竹薮は傘さして歩け:モウソウチクの筍畑は2mおきくらいに,すなわち傘をさして
歩くほどに間引いておきます。よく地面に日光をあてるほど筍が早く出て,儲けが
多いとの意です。
竹槍は切られても矢張り元の竹:不死身の喩にいいます。竹槍は,何回でも切り返え
しができるとの意です。
竹を植えると人が死ぬ:この諺の起源には,種々の説があります。
@わが国で最も広く栽培されていますモウソウチクは,その音が「亡葬」と同じで
す。
A竹は木と違って多くの節からなり,節間が短いです。この節と命を通わせて,「
節が短い」を「命が短い」に通わせたということです。
B徳川時代に初めてモウソウチクを栽培し,筍を売って法外な儲けをしたので,他
人に採られまいと逆宣伝したためといわれています。
C薮中で怪我がもとで死んだ故人の弔のためといわれています。
D竹は植えた人が死なないと一人前の竹林にならないという迷信によります。
竹を割った気性:「青竹を割ったような」参照
竹を屋敷内に植えると家族にふじが入る:山口県で,竹類が茂ると日陰になり,又は
カの棲息・発生になるといいます。
七夕竹は大根畑に挿せ:七夕竹を野菜畑などに挿しておくと,病虫害にかからないと
いう伝説があります。
七夕竹はマダケの若竹:七夕の初物食いというように,七夕の竹はマダケ(未だ毛に
あて娘竹と解く)の若竹が貴ばれます。
地下茎はネコの方向に伸びる(花傭月令):ネコの死体を土中に埋めると,地下茎は
ネコの方へ伸長するといわれています。
竹紙を貼ると止血になる:竹の節間中の竹紙を剥いで,怪我して止血しているところ
に貼ると,止血に効があります。
知久チクの一鎌:知久は信濃の地名で,この地に産するヤダケの2年を経たものは鎌で
一刈に伐り取られます。この一刈のものを,知久の一刈として矢の竹に用います。
竹馬の友:騎馬の交わり,又は鳩車竹馬の友に同じです。
ちくを抜く:栃木,群馬,埼玉,茨城,千葉などでは,嘘言をはくことをいいます。
竹鈴中で鉄砲を撃つな:竹鈴中で鉄砲を撃つと,弾丸が7日7夜,竹から竹へと弾き
わたりますので撃ってはなりませんと,山口県ではいいます。
竹林へ日暮に入るな:山口県では薮へ日暮時に入りますと,タケワランベエという化
物が出るので入ってはなりませんといいます。
月夜の竹:古くから竹は月夜に伐れ,月夜の竹は材質が固くて良質,闇夜の竹は軟ら
かいという迷信があります。
月夜の竹は堅実(堅くて良質)である:「月夜の竹」参照
土用に薮の竹の垂れるのは冬に大雪の兆:科学的な根拠は全くありません。
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