18c 植物の見方2
 
●花冠の形
 花弁が放射状に配列する花を放射ホウシャ相称花ソウショウカ又は放射ホウシャ整正花セイセイカといい,
キク花,ナデシコ花などに見られます。花の中心で2分したとき,それぞれの半分が同
形である花を左右相称花又は左右整正花といい,スミレ科,マメ科,ラン科,シソ科な
どに見られます。何れにも含まれない非相称花には,花冠が捻れるカンナ,シオガマギ
ク属などがあります。
@放射相称花
 十字形花冠:4個の輪生リンセイした花弁が2個ずつ相対して十字形をなすもので,アブ
ラナ科に見られます。
 車形クルマガタ花冠:花冠の筒部は短く,裂片レツヘンは放射状で水平に開出するもので,ム
ラサキ科,ヤエムグラ属などに見られます。輻状フクジョウともいいます。
 高杯形コウハイケイ花冠:細長い筒部があり,上部が開出した花冠です。食物を盛る高杯タカ
ツキに似た形で高盆形コウボンケイ,高つき形ともいいます。サクラソウ,キョウチクトウ,チ
ョウジソウなどに見られます。
 鐘形ショウケイ花冠:釣鐘又は風鈴に似た形でキキョウ科,ジギタリスなどに見られます。
 漏斗形ロウトケイ花冠:下部は細長い筒状,上部は次第に広がり,その形が漏斗ジョウゴに似
るもので,ヒルガオやアサガオに見られます。
 壷形ツボガタ花冠:花冠の筒部は膨らみ,口の部分が狭くなった壷に似た形で,ドウダ
ンツツジ,スノキ属,カキノキなどに見られます。
 管状カンジョウ花冠:花弁が癒着して管状となるもので筒状トウジョウ花冠ともいい,キク科
に見られます。
 ユリ形花冠:3個の外花被片ガイカヒヘンと3個の内花被片が同形同色で放射状に広がるも
のです。
 バラ形花冠:5個の離れた花弁が浅い皿状サラジョウをなし,放射状に広がるものです。
A左右相称花
 唇形シンケイ花冠:花冠は合弁で先が上下2片に分かれ,唇クチビルのようになるもので,シ
ソ科,キツネノマゴ科,クマツヅラ科などに見られます。
 舌状ゼツジョウ花冠:5個の花弁が癒着して下部は筒状となり,上部は扁平な1個の花弁
状をなすもので,キク科に見られます。
 蝶形チョウケイ花冠:5個の離生リセイした花弁が蝶の形をしたもので,上の1片は大型で旗
弁キベン,側方の2片は翼弁ヨクベン,下方の2片は合着して舟弁フナベンといい,マメ科に見
られます。
 かぶと形花冠:トリカブト属にみられるもので,2個の細長い花弁と5個の花弁状に
色付いた萼片ガクヘンがあり,上の萼片は烏帽子エボシ形をなします。
 仮面形カメンケイ花冠:唇形花冠に似たもので,上側の花弁と下側の花弁との間に突起がで
き,喉ノドの部分を塞いでいます。キンギョソウやタヌキモ科などに見られます。
●子房の位置
 子房シボウは他の花葉カヨウとの関係から,次のように3型に分けられます。
 子房上位:子房が花被や雄ずいより上にあるもので,アブラナ科,リンドウ科,イネ
科などに見られます。
 子房中位:花被や雄ずいが子房の中間に付くもので,ユキノシタ科,ジャノヒゲ属な
どに見られます。
 子房下位:子房が花床カショウや萼の筒部に包まれ,花被や雄ずいが子房の先に付くもの
で,キク科,アヤメ科,ウリ科などに見られます。
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