福田昌範の吹奏楽講座

第4章 呼吸法(ブレス)について考える

 ブレスは管楽器奏者にとっては、絶えず考えなくてはいけない問題です。ひとえに、

「ブレス」といっても、多くの方法があり、最終的には行き着くところは同じでも、なかな

か、習得できないものでもあります。ここでは、私が行っている「息の吸い方、はき方」

について、ご紹介します。

 


息の吸い方について 

 息の吸い方については、大きく分けて2種類あります。それは、「胸式呼吸」と「腹式呼吸」

の2種類なのですが、ここでは「腹式呼吸」についてお話します。

レッスン1 体のウエストの部分にぎゅっと!手をあててください。

       そして、おへその周りが膨らむ感覚で、息を吸ってみましょう!

(横隔膜が下がって)わき腹が膨らむ感覚がつかめましたか?

もしうまくいかなかったら、鼻から息を吸ってみてください。

レッスン2 肩の少し下の部分(胸骨の少し上の部分)を押さえてください。

(ぎゅっと、押すと少し痛い?箇所です。)

そして、もうこれ以上息が吸えない!というところまで息を吸ってみましょう。

手で押さえた部分が、膨らんだのがわかりましたか?

そこが膨らんだら、息が満タンになった証拠です。

(体育の時間に「深呼吸」するときに、腕を広げるでしょう?

それはその部分が広がっているのです。)

レッスン3 口から息を吸ってみます。その時、「ハ」という音をわざと立てて思いきり吸ってみてください。

のどが涼しいのがわかりますか?

それは、のどが絞まっていて、息が通過するときに

ぶつかっている証拠です。

それでは、「ホ」という風に、こんどは音をたてないでは吸ってみてください。

今度は、口の中が涼しい?(のどは涼しくない)のがわかりますか?

どうですか?肺に息が「ドン」と入ってきたでしょう?

*この練習の際には、アンブシュアー(楽器を吹く時の口の形)を壊さないで、行う必要があります。

 

息の吐き方について

レッスン4 上記の方法で息を、めいっぱい吸ってください。そして、「もう吸えない!」と思ったら

体(腹筋)に思いっきり力を入れて、息を吐いてください!?

どうですか?吐けないでしょう!?(笑)

(体に力が入っていては、吐けませんよね!)

それでは、もう一度上記の方法で、息を満タンにしてください。

そして、息を吐かないで体の力を全部抜いてください。

どうですか?とても苦しいでしょう(笑)

それでは、もう一度息を満タンにして、体の力を抜いたのを確認して息を吐いてください。

どうですか?今の状態は「深呼吸」の状態になってませんか?

そうなのです。息は「力を抜いて吐く」事が大切です。

(もしよくわからなければ、5qくらい走ってきて下さい。(笑)

そうすれば、いやでも深呼吸と同じ状態になります。)

 


トレーニング 

それでは、トレーニングです。

1 紙(七夕のたんざくのようなもの)を用意します。
2 目の前にぶら下げ(もっていても良い)ます。
3 上記の方法で、息を吸います(留意点:「おへその周り」「ホ」「肩の下」)
4 力を抜いて、紙に息を吹きつけます。

*その際に、紙が「同じ角度でなびく」ように息を吹き付けてください。

(これは息がなくなるまで、「最後まで」がんばってください。)

または、

1 上記の方法で息を吸います。
2 もうこれ以上吸えないと思ったら、息を吐かないで体の力を抜きます。
3 「スー」という、音を立てながら吐きます。

*その際に、「同じ方向」「同じ量」「同じスピード」で吐きます。

(息がなくなるまで、苦しくても吐きつづけてください。)

4 全部吐き終わったら、お腹が痛くても(4秒くらい)そのまま我慢します。

(これは腹筋の練習になります。)

上記の方法で、1日20回ぐらい練習してみてください。(僕は、下記の方法でやっています。)

他にも、方法はたくさんあるようですが、「たくさん吸うこと」「力を抜くこと」「まっすぐ吐くこと」が

この練習のポイントです。(*「酸素過多」で目の前がくらくらすることがありますので、何回か

に分けて練習しても効果的です。ただし、浴場の中などでは決してやらないようにしましょう。)

 


豊かなブレスが豊かなサウンドを作る源になります。

ブレスは「豊かに吸う」、サウンドは「豊かに響かせる」を目標に行う事で、
サウンドは変わってきます。呼吸こそ管楽器演奏の原点であることを認識し、
実践してみてくださいね。

 

(C)2017Masanori Fukuda

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