福田昌範の吹奏楽講座

第27章 「九月のある日」について

 

この章では「九月ある日」について述べてべてみたいと思います。 

 


2011年9月11日。
アメリカで起きた同時多発テロはニューヨークだけでなく世界中にに甚大な被害をもたらしました。
私は、テレビでまるで映画を見ているかのようなその出来事を、食い入るように見ていました。
 
私はすぐに曲を作り始めこの曲を完成させました。
しかし、当初この曲を出版するにあたって、自分の中にかなり葛藤がありました。
それは、あまりにこの曲の内容が生々しかったからです。
 
 
冒頭はニューヨークの事件が起こる前の夜明け前を表しています。
B〜はニューヨークの朝の騒々しい街の風景です。
朝になり、街が動きだす様子と思っていただければ幸いです。
D〜は事件が起こる場面です。94、97、100小節目は飛行機の激突が三度起こります。
E〜は、ビルが崩れ落ちたニューヨークで人々が暗闇の中で彷徨う場面です。
F〜は、復興の場面です。人々が希望の光を胸に、一人二人と立ち上がってきます。
そして、166小節目で人々の期待を一心に集めたアメリカ国家が力強く鳴り響きます。
そして、再びニューヨークは朝の喧噪を迎え、コーダでは、人々の心の叫びを描きました。

 
あれから10年が経ちました。
あの忌まわしい出来事が二度と起こって欲しくないと思います。
また、あの悲惨な事件を永遠に記憶に留め、愚かな歴史を次の世代に伝えていかなくてはならないとも思います。
 
この曲を通して、人々が憎み争う事のない平和な世界が訪れることを願って止みません。
 

 

 

(C)2011 Masanori Fukuda