砥峰高原L(800m) 神河町 25000図=「長谷」 初夏の木道から見る動植物 砥峰高原は、「県下有数のススキ原が広がる雄大な高原。高原内には各所に湿地が見られる。ススキ草原の 維持のため春に山焼きを行っており、春から夏、秋のススキまでの季節変化も楽しめる。」として、兵庫県レッドリスト自然景観のAランクに指定されています。 草原と湿原に生きる貴重な生物を保護するために、歩道以外には立ち入らないで下さい。また、生物の採集を行わないでください。
緑のススキが一面に広がる初夏の砥峰高原。ススキ草原の中には、小さな湿原が点在している。高原の木道を歩き、草原や湿原に生きる植物や動物を観察した。
木道を歩くと、足元から小さなバッタが音を立てて逃げていく。ツマグロバッタやコバネイナゴ。前へ前へと少しずつ逃げるものだから、しばらくその群れを追いかけることになった。
トンボやチョウも飛んでいた。トンボでは、シオカラトンボが圧倒的に多い。
モンキチョウが、ひらひらと飛んでいた。
木道の幅は、人一人が歩くのが精一杯。人とすれちがうために、ところどころが広くなっている。ススキの葉は大きく伸びている。背丈ほどの高さにもなったところがあった。
ノハナショウブが、ところどころにポツンポツンと咲いていた。砥峰高原のシンボル。かつてのような群落はもう無くなってしまったが、毎年花を咲かせている。花期が終わろうとしているこの時期に見られたのがうれしかった。
道を渡って、木道をそのまま進んだ。水音が聞こえてきて、小川に出会った。ここで、砥峰高原をつくっている岩石を見ることができる。 小川に転がっている石はすべて花崗岩(花崗閃緑岩)。これは、ここより上の流域はすべて花崗岩でできていて、他の岩石が分布していないことを示している。 石の表面は、酸化鉄によってどれも茶色っぽい。7,8年前にハンマーで割った石がそのまま残っていて、その割れ口だけが砥峰高原の花崗岩のつくりを見せていた。 砥峰高原の花崗岩には、磁鉄鉱がふくまれている。花崗岩が風化して真砂(まさ)になると、そこから磁鉄鉱が砂鉄として採れる。この砂鉄からたたら製鉄によって、鉄がつくられた。 砥峰高原に残るいくつもの不自然な形の小丘は、真砂を掻き出したあとに残された花崗岩の硬い部分だと考えられる。 水の流れのゆるくなったところでは、アメンボが泳いでいた。行ったり来たりをくり返し、ときには猛烈なスピードで石の間を抜けていく。アメンボの動きは見飽きない。 小川の上では、流れに沿って涼しい風が吹き抜けていた。
高原には、観光客がちらほらと見えた。木道の木陰になったところに、一組のご夫婦が座っている。なかなかいい感じ・・・。地元のガイドさんが、数人のツアー客を案内している。ツアー客の胸から上だけが、ススキの上を移動していた。
水の音がまた大きくなった。木道の近くを水が流れているが、ススキにかくされて見えない。再び小川を渡ると、高原真ん中の広い道に出た。
池に戻った。池の上を何匹ものシオカラトンボが飛んでいた。オスは、青白い粉をふいている。メスは、麦わら色。
池の近くに、花の白いウツボグサが一つ咲いていた。シロバナウツボグサ・・・、初めて見た。
ところで今回、思わぬところでカキランとミズチドリが見られた。二つとも絶滅危惧種で、兵庫県レッドリストでは、ミズチドリはBランク、カキランはCランクに選定されている。
山行日:2022年7月11日
砥峰高原木道入り口〜木道〜中央の広い道 |
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とのみね自然交流館の向かって左側、ヤマナシの木の先にある入り口から、高原内の木道に入る。木道を散策し、高原中央の広い道を下った。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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山頂の岩石 後期白亜紀 川上花崗岩 |
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砥峰高原や峰山高原の岩石の説明については、岩石地質探訪「砥峰高原の地質と地形」や、登山記録「銀の波揺れる砥峰高原から縦走路を峰山高原へ」をご覧下さい。 |
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