砥峰高原C(800m)  神河町   25000図=「長谷」


砥峰高原の秋に咲く花

展望台へ

 今年も砥峰高原のススキが見ごろを迎えた。天気に恵まれた三連休の初日、高原に咲く秋の野草を見つけながら歩いてみた。
 
 砥峰高原のススキは朝陽に光って揺れていた。高原の入口からゆるく下ったところにある池や小川では、子どもたちがイモリや小魚をすくって遊んでいた。
 初めに湿地に向かった。道端に白い花をつけているのはヒメジョオン。花弁に朝露が結んでいた。

ヒメジョオン

  砥峰高原にはいくつかの小規模な湿地があるが、ここはこの夏に見つけておいたところ。そのとき咲いていた、モウセンゴケやシロイヌノヒゲの花はもう見られなかった。
 湿地の周りの草原では、地を這う草が紅葉して地面を赤く染めていた。少し日当たりの良いところには、ヒカゲノカズラが広がっていた。

 高原の木道を歩き、途中から丸太階段の坂を登って小さな尾根に達した。ヨシノアザミが咲いていた。

ヨシノアザミ

 道は尾根を通らずに、斜面をトラバースするようにススキの中に伸びている。澄んだ空に、巻雲が浮かんでいた。道は細く、人とすれちがうときは、どちらかが脇によけて道をゆずった。

秋の空に穂を広げるススキ

 ススキの根元にリンドウが咲いていた。花の紫は濃かったり薄かったり。一株だけ咲いていることも、何株かまとまって咲いていることもあった。一株に何輪も花をつけた豪華なものもあって、そんなリンドウの花の変化は、一日中目を楽しませてくれた。

リンドウ

 道の脇の湿った黒土には、ウメバチソウが咲いていた。淡いクリーム色の花弁は、薄くて弱々しい。それでも、どの花も花弁をいっぱいに開いていた。
 黒土に、シシガシラが葉を広げていた。朝露に濡れたシシガシラの緑は鮮やかだった。
 

ウメバチソウ

 ススキの間から、下を見下ろせるところがあった。小さな池に、青空がくっきりと映っていた。岩の下に、アキノキリンソウを見つけた。そばには、センブリが咲いていた。
 

アキノキリンソウ センブリ

 高原を見晴らす展望台が近づいてきた。真っ直ぐに登る道もあったが、散策路をそのまま進んだ。
 ススキの背が高くなり、全身がその中に埋もれた。ススキを分けるように歩き、大きく曲がると展望台に達した。
 

展望台より

 展望台にいた人たちと一緒に、ここから砥峰高原を眺めた。高原には、一面にススキが広がっている。谷筋にわずかに残された木々の葉は黄やオレンジ色に色づいていた。ここまで歩いてきた道が、高原の起伏を反映して波打つように続いていた。

 展望台から散策路をさらに進むと、高原の外縁に達した。高原の外には林が広がり、その境界には土塁が残っていた。道はこの土塁に沿って続いていた。
 峰山との分岐を過ぎ、高原の一番高いところを越した。ずっと見晴しがよかった。高原の向こうに平石山の稜線が広がっている。交流館の上に立つ砥峰には、千町ヶ峰が重なっていた。

 高原の中にいくつかの小さな丘が見えた。一見不自然とも見えるこの丘は、花崗岩の硬い部分。かつて、ここからたたら製鉄のために砂がかき出された。これらの丘は、そのときに残された部分である。
 

高原の中の小丘

 やがて道はヒノキ林に入り、そこを抜けると高原のメインストリートともいえる広い道の上に出た。
 砥峰高原は、映画「ノルウェイの森」、NHK大河ドラマ「平清盛」、「軍師官兵衛」と、立て続けに映画やTVドラマのロケ地になり、観光客が増えてきた。今日は、ススキの間を観光客やハイカーやカメラマンが鈴なりになって歩き、交流センターの前には「あん巻き」の店まで出ていた。

 東屋で休んだあと、カラフルな服で華やいだこの道を下った。
 道の横の小さな流れに季節外れのミズタビラコが咲いていた。池に引かれた土管の先に一匹のキトンボが止まっていた。

メインストリートを下る

山行日:2013年11月2日


砥峰高原入り口〜展望台〜琢美鉱山への道〜東屋〜砥峰高原入り口
 砥峰高原内の散策路を歩いた。1周3.1kmの周回コースである。

山頂の岩石  後期白亜紀 川上花崗岩
 砥峰高原や峰山高原の岩石の説明については、岩石地質探訪「砥峰高原の地質と地形」や、登山記録「銀の波揺れる砥峰高原から縦走路を峰山高原へ」をご覧下さい。

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