書写山東坂                   姫路科学館自然観察会に参加   
 姫路科学館の自然観察会「播磨の地質・岩石を調べよう」が、書写山東坂で行われた。21名が参加、講師は兵庫県立歴史博物館の西影裕一先生である。私も、中2の息子と一緒に参加した。
 今から、およそ1億年前(白亜紀)にこのあたりでは大規模な火砕流が起こった。書写山には、その火砕流でできた広峰層が分布している。スレートやチャートなどの基盤の岩石をレキとして多く含む溶結凝灰岩が主な岩相である。
 東坂は、岩石の露出が良く地質観察には適している(ただし夏は暑いので覚悟が必要)。準備された13のポイントで、講師の西影先生から説明を聞き、岩石を観察した。溶結凝灰岩の他に石英斑岩が分布していたり、流紋岩や安山岩の岩脈や小さな断層が観察されたり、変化があっておもしろかった。
 参加した子供たちも、持ってきた金槌で岩石をたたき、手にした標本を袋に入れて大事そうに持ち歩いていた。感心、感心……。暑さに喘ぎながらも、楽しく充実した半日でした。
 

1,石英斑岩の露頭で標本採集

 ポイントごとに説明を聞き、標本採集を行った。採集の仕方や整理の仕方を教えてもらい、子供たちも夢中になって石をたたいていた。
 この石英斑岩の下を山陽自動車道のトンネルが走っている。石英斑岩はまわりの岩石より硬いため、トンネルの工事に予想外の時間と費用を費やしたということである。
 採集した石英斑岩は薄い褐色で、かなり風化が進んでいた。3mm前後の石英、白く変質した長石、それに少量の黒雲母が斑晶として含まれている。

2,小断層

 溶結凝灰岩の岩体中に、小さな断層の断層面が見られた。岩石のすべった跡である一定方向の線が、断層面に観察される。

3,流紋岩の岩脈

  溶結凝灰岩中に貫入した流紋岩の岩脈。貫入面に平行に節理が発達している。このように、数カ所で流紋岩や安山岩が石英斑岩や溶結凝灰岩中に貫入していた。

4,岩石標本2つ

 左は溶結凝灰岩。スレートやチャートのレキを多く含む。基質は暗灰色、ガラス質緻密で硬い。多くの石英や長石の結晶片や少しの黒雲母の結晶片を含む。
 この標本中のスレートのレキは2cm程度であるが、この溶結凝灰岩はときには10mもあるスレートの巨レキを含んでいることがある。当時の火砕流を引き起こした火山活動がいかに激しいものであったかが想像される。
 右は、溶結凝灰岩中に貫入している流紋岩。薄く緑がかった白い岩石で、風化が進んでいる。中に、長さ1cmの短冊状の角閃石(仮晶となってる?)の斑晶が含まれている。

5,広嶺山の準平原

 ロープウェイ山頂駅から東を望む。書写山の東には夢前川を隔てて、広嶺山塊が位置している。稜線は標高300m〜350m程度で、写真から分かるようにほぼ水平である。また、広峰神社周辺には、標高250m程度の広い平坦面がある。
 このような平坦面は、かつての平野面が隆起してできた「準平原」であると説明されている。この書写山にも、ロープウェイ山上駅から上の標高250m〜330mあたりに広い平坦面が広がり、この部分に円教寺の多くの伽藍が建っている。
案内して下さった講師の西影先生、お世話をして下さった姫路科学館の青野先生に感謝いたします。ありがとうございました。

登山記録のコーナー 「建ち並ぶ伽藍とシイ・カシの森、書写山」へ

■岩石地質■ 白亜紀 広峰層 溶結凝灰岩
■ 場 所 ■ 姫路市書写山 25000図=「姫路北部」
■ 交 通 ■ 山陽自動車道「姫路西」 IC 車15分
          JR姫路駅(北口)姫路市営バスA「書寫ロープウェイ」行き 終点下車(25分)
■探訪日時■ 2000年7月9日

TOP PAGEに戻る地質岩石探訪に戻る