坊勢島 かしわの山 100m 姫路市家島町坊勢 25000図=「真浦」 夏の坊勢島をぐるりと一回り map 大小40余りの島々からなる家島諸島。坊勢島はそのひとつで、漁船の数日本一を誇る坊勢漁港を有する漁業の島である。夏の一日、地質を観察しながら坊勢島をぐるりと一回りした。
まずは、船着き場に近い弁天島へ。朱塗りの欄干がゆるいアーチを描く海神橋を渡ると、この島の伝説を伝える石碑が立っていた。その伝説とは、
弁天島をつくっているのはデイサイト溶岩。湾曲する流理や自破砕構造、海食台やタフォニなどの侵食地形などが見られた。
道は海辺を離れて、島の中をゆるく上っていた。ダキバアレチハナガサは、花が咲き上がって、どの花穂も長く伸びていた。
道の西は、「坊勢しまの森」として何本かの遊歩道がつくられていた。遊歩道の入口に案内板が立っていて、ここからかしわの山をめざすこともできるようだったが、この暑さ。そんな寄り道をする余裕はなかった。
かしわの山の登山口は、1本の桜の木の下にあった。ここにも「坊勢しまの森」の案内板が立っていてわかりやすい。登山口から入ると、すぐに分岐があって、「展望台160m」「海辺440m」の道標 。展望台へは、そこから丸太階段が上っていた。
丸太階段を登り切ってゆるくなった坂を進むと、物見やぐらのような展望台が見えた。標高およそ100m、この山頂が坊勢島でいちばん高い。
坊勢漁港が下に見えた。防波堤が港を囲み、岸や桟橋にたくさんの漁船がつながれている。漁港の向こうには、矢ノ島が浮かび、さらにその先には家島や男鹿島が横たわっていた。
かしわの山を下りて、島の道を東へとゆるく下っていく。コマツナギがピンクの花をつけ、キチョウが花に止まっては、すぐまたひらひらと飛んでいった。
道に戻り、小さな峠を一つ越して、護岸や民家の中の道を進む。
道ばたに「大亀之碑」が立っていた。どのようないわれがあるのだろうか。
帰りの船から、家島諸島の島々が順光にくっきりと見えた。上島・クラ掛島・太島が並んでいる。船のうしろには、家島や男鹿島や坊勢島などの島々、そして小豆島・・・。
山行日:2024年8月22日
奈座港~かしわの山~坊勢漁港~坊崎~恵美酒神社~奈座港 map |
|||||||||||||||||||||||||||||||||||
船の着いた奈座港から島の道を歩いてかしわの山へ。かしわの山から、島の道をぐるりと一周して奈座港に戻る。 弁天島の神権さん、かしわの山の展望台、坊勢漁港、波の化石、海守堂、波切不動尊、恵美酒神社など島の名所を巡るコースである。 |
|||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||||
かしわ山の岩石 白亜紀後期 家島層 流紋岩質溶結凝灰岩 |
|||||||||||||||||||||||||||||||||||
坊勢島には、丹波帯の地層や白亜紀後期の火山岩類などが分布している。かしわの山の登山口付近では、島の中部から南部を広くおおう流紋岩質の溶結凝灰岩が見られた。 褐色を帯びた灰色で、石英・斜長石・カリ長石・黒雲母・普通角閃石の結晶に富んだ流紋岩質の溶結凝灰岩である。石英以外は変質していることが多い。この岩石は、白亜紀後期の火砕流によってできたもので、家島層(佐藤大介,2016)に属している。同じ岩石は、坊勢島のほか西島全域、男鹿島南部などに分布していて、西島南西部から約9000万年前のジルコンU-Pb年代が報告されている(佐藤大介,2016)。 地質岩石を訪ねて『坊勢島 弁天島と島の地層』へ 引用文献:佐藤大介(2016)兵庫県姫路市,家島諸島に分布する後期白亜紀火山岩類のジルコンU-Pb及びFT年代.岩石鉱物科学,45,53-61. |
|||||||||||||||||||||||||||||||||||
「兵庫の山々 山頂の岩石」 TOP PAGEへ 登山記録へ |