このグローランサ世界についての古い文書はかなり古いもので、ある部分は修正されていますが、いまだに一部は極めて精彩を放つ説明を行っています。2000年現在、グレッグ・スタフォード氏の関心は東方世界に移っていますが、その中心の一つであるクラロレラは龍族の牙城です。
この訳文は著者であるグレッグ・スタフォード氏とグローランサ交易協会(Glorantha Trading Association)の許可の元に翻訳されました。管理の責任はしたがって全て訳者と利用者のものになります。原文はこちら

龍族の神殿Dragon Pantheon

グレッグ・スタフォード筆
この文書は元々ワームズフットノート誌14号に掲載されていた。

この文書は1998年のイサリーズ社に版権があります。自由にリンクしてかまいませんし、個人使用のために印刷することも可能ですが、映像面、電子的、あるいは他の手段による剽窃の手方での複写は禁じられています


内容の一覧
作者のノート
龍の詩
ウロボロスと宇宙ドラゴン
始祖Ancestralドラゴン達
真のドラゴン達True Dragons
ハイキム―動物の王
ドラゴニュート族の起源
ドラゴニュートの動機

ドラゴニュートの倫理規範
個性の特徴及びドラゴン存在への進展
ドラゴンの宗教

作者のノート
ドラゴニュートの種族はグローランサのほとんどの民にとって非日常的な存在であり、謎めいている。私自身のキャンペーンでは、わたしはいつも彼らを、外部の者(プレイヤーのキャラクター達)には理解することが出来ない奇怪な存在として扱う。同一のドラゴニュートでさえ二回会うと、その度に全く異なる生き物であるかのように振る舞う。その行動は予測できないし、しばしば不合理なもののように見えるのだ。

私はこういう振る舞いをする彼等を好む。そして彼等を建設的に、人生において絶え間なく現れるなんらかの理解し難い要素として扱おうと試みる。わたしは大枠の所、プレイヤーがキャラクターとしてドラゴニュートを遊ぶことを認めない。

彼等はドラゴニュート族を適切に演ずることが実際にどういうことか理解していないということを強く言っておく。わたしがプレイヤーキャラクターのドラゴニュートを認める理由がある場合、その事は常にプレーヤーが普通でない、異常なドラゴニュートを演じていることを理解させる。この者はドラゴン的でない道に魅惑されて仲間達に背教者とみなされているのだ。また、わたしはこのようなプレイヤーキャラクターのドラゴニュートが、その行動によって、自らの自然な生き方から無法者として外れてしまっていて、そのことのために、自分達の卵によって創造されるあたらしい肉体へと自然に蘇生する輪廻の輪を壊してしまっていることを主張する。プレイヤーキャラクターのドラゴニュートはあたかも通常のプレイヤーキャラクターであるかのように同じような動機を持った人間として一般には演じられる。

龍の詩
……..沈黙、無限
O……..ゼロ、叫び声
OU……..苦痛のうめき:エゴ(自我)
OUR……..集中した存在、複数の実現
OURO……..集中した虚無
OUROB……..創造(おしまいの"b"でまとめる)
OUROBO……..閉じられた絶対性、存在。
OUROBOR……..誕生
OUROBORO……..無、虚空
OUROBOROS……..S='声'(つまりこの音は蛇を形作る)

この不死者の詩はドラゴニュートの詠唱と祈祷で、世界の創造と関連している。この右腕による(訳注:right hand、ドラゴニュート族がみな左利きなのと関係があるか?)解釈は西方の学者(おそらく神知者、そしてランカー・マイの信者)によってなされた人間にとってのこの詩の解釈したかたちである。この詩の連句はその日人間的な魔術のシンボル的なイメージを説明する暗示と描写を秘めている。もちろんこれらはこの詩にこめられた龍の言葉(訳注:おそらくAuld Wyrmish)におけるニュアンスや秘密を表現するまではいっていない。しかしドラゴニュートの哲学が始まる孤高の領域を示すことには助けになる。一般的には、この詩は徐々に何らかの内向化を示して行き、「自己self」の概念を構築するものをもたらすのである。

この詩はドラゴニュートの儀式では逆転して繰り返され、詠唱者と宇宙を日常の状態では到達することが不可能な神秘的な祝福された境地へと連れて行くのだ。

龍族の神殿
ウロボロスと宇宙ドラゴン
ウロボロスは個性や人格を持たない。自分自身以外の何者とも相互作用を行うこともない。ウロボロスは哲学的な概念であって、時にシンボルの形式により、個性を与えられる。それが一般に言えば、知覚を排除したものであるがゆえに、この象徴シンボルはしばしば単独の生者には誤解される代物になっている。

このイメージは自らの尾の先を呑み込んでいる一体の龍の姿である。このイメージは、見る者が、最後まで呑み込みを終わらせて、自分自身の頭を呑んだら一体どういう事になるのか惑わせることを意図して描かれている。これにはいかなる解答も与えられず、実在として与えられるのみである。このイメージはまた、∞の形で時々表される。

有力な解釈によれば、「宇宙ドラゴン」は'S'の姿をしており、これはウロボロスの詩の終わりを表している。この形は一つの音としても、また無限を表す視覚シンボルを欠けた形で表すこと双方でウロボロスにけりをつける。したがって、「無限」の代用として、我々の知覚は他の異なるイメージに向かい合うのである。これは我々に把握が可能な「宇宙ドラゴン」である。

宇宙ドラゴンはその神秘的な先立つ存在より、理解しやすい存在であるとは言い難い。しかし少なくとも、宇宙ドラゴンは理解することが可能なイメージの産物としばしば交叉するものである。それはほとんど個性をもっていないとしても、他の事物と相互作用を行い、固有の信条と行動に応じるものである。しかし、その行動は創造に向けられたものを理由としていて、また宇宙ドラゴンは全てのドラゴニュート族がそのために奮闘する哲学的な規範としても存在する。

クラロレラと「ワームの友邦帝国」における堕落した信仰形態では、宇宙ドラゴンは全ての不老不死である神々の中で最高の存在として捉えられていて、唯一諸世界のあらゆる創造に責任を負っている者である。神知者達はこの者により男性としての特性を付け加えて、全世界の女神であり、全く神秘主義的要素を持たず、彼女自身の世界体系ではいかなる配偶者も連れ合いも持たないグローランサ女神を補足する役割を付け加えている。この対照化は興味深いし、扱い易いものだが、本質的な所で、彼等は本来のイメージを修正し、貶めている。

宇宙ドラゴンの最初の行動はオルクシーリOrxiliと呼ばれる怪物との闘争である。後代の人間達はオルクシーリを混沌と関連付けている。それとももしかするとこの存在は数ある混沌の形態の哲学的存在であり、いかにこの形態全てが一つのものとしてまとめられるのかを示しているのかも知れない。貴方がなぜ全ての形態における混沌が単独の存在として活動するか、一つのものとして認識することが出来るか理論付けを今までずっと試みてきたのならば、貴方はこの概念をより良く理解する事が出来るだろう。

この古代の神話においては、この怪物は六本の肢を備えており、頭部を欠いていた。(訳注:グローランサのより古いバージョンにおいて、混沌の形態は大きく分けて六つに分類されていた:虚空、エントロピー(カージャボール)、飢餓(アンデッドと関係?)、ゴープ(ポチャーンゴ)、邪悪(ワクボス)、そして誘惑(グバージ)である。しかし、これらの定義は最近のグローランサの細分化、地域人類学化、構造主義化で意味を弱めている。)これらの肢にはそれぞれさまざまな形の手や、指や、器官が付いていた。それは瞑想を行っている宇宙ドラゴンを襲い、つかみかかってドラゴンの静かな心を乱そうとした。一時、宇宙ドラゴンは邪魔をされたが、この龍の力は「虚無」と同様に不動の力であり、オルクシーリに勝ち目はなかった。宇宙ドラゴンはそれぞれに伴う詠唱と共に、「六つの原理Principle(訳注:沈黙、秘密、存在、経験、思考、精神)」を立ち向かわせたので、それぞれの肢が引き千切られて虚空へと放り込まれた。これらのオルクシーリの肢は後に戻ってきたが、その時は他の守護者達に迎え撃たれた。

オルクシーリの胴体は世界の中心に据えられて、宇宙ドラゴンに糸巻きのように捻じられてそれ自体が胴体を包むようにされ、外部の、より神秘的な領域から切り離された。内側にあるオルクシーリの胴は変化して成長していき、「宇宙卵」と呼ばれるようになった。(訳注:AvalonHill版Lord of Terror、Who is Gbaji?のPseudo Cosmic Eggの記述と比較してみると面白い。)


始祖Ancestralドラゴン達
宇宙卵は孵化して、「大いなる始祖ドラゴン」が生まれた。この存在はうずくまって宇宙の神秘を秘蔵する「沈黙の虚無」について瞑想した。二つに割られた卵の殻は「大いなる始祖ドラゴン」の僕に仕立てられて、「内部」と「外部」と呼ばれるようになった。

大いなる始祖ドラゴンは彼よりも偉大な全てのドラゴンと同じく目に見えないうえに、遍在する存在である。彼は創造された世界に責任を持ち、哲学性と相互作用をもたらす者としてより、個性と実在性をあらわす龍としての最初の存在である。彼は「存在」の全てを体現する。彼は個性を与えられる時には、敵意を持っているか超然としているかのいずれかであるが、彼の信者達にとっては、彼の行動はその結果が観察者にとっていかなるものに捉えられようとも、あくまでも中立を旨としているものだということである。

大いなる始祖ドラゴンは、六つの行為を行ったが、これらの行動は自発的に執り行ったものである。この行動のそれぞれが一頭の始祖ドラゴンを創造することになった。始祖ドラゴン達は自分達の創造者達がみずから行ったこれらの束縛により生み出されたのだし、他方では、これらの束縛は始祖ドラゴン達の誕生によって生み出されたのである。この逆説的な創造の考えはドラゴニュート的説明において典型的なものである。この事についての理解がいかなるものになろうと、この事が「龍の神々」の認識しうるパンテオンを創り出す源となったのである。六頭の始祖ドラゴン達の名は:「沈黙の守護者」、「秘密の守護者」、「存在の守護者」、「経験の守護者」、「思考の守護者」、「精神の守護者」(訳注:クラロレラ暦の各月と照応)であった。

この創造の間もしくは少し後に、大いなる始祖ドラゴンは複数の強力な敵に攻撃された。オルクシーリから切り離された肢のいくつかが戻ってきたのである。「無秩序」の穏やかな波が「虚無」を押し戻して包み込み、「泥状の混沌」が生み出されて、今やなされた創造を失敗させて、虚無へと戻すために自らの占有権を主張したのである。最初の鈍い混沌の波は瞑想している龍の足元を洗い流し、その完全な計画に邪魔を入れた。この引き起こされた混乱に対抗するために大いなる始祖ドラゴンは「無秩序」の力を手に取って、それを混沌に対して用いた。このことでまた、混沌を排除し、打ち寄せる岸の向こうに保っておく新たな力が作り出されたのである。これが「暗黒」の種族であり、「龍」の脚から生み出された。

瞑想が完成されると、大いなる始祖ドラゴンは自らの腰を切り開いた。そしてその血潮から迸ったのが「大洋」、海、全ての液体の存在から成る諸力であった。

その腹からは「大地」の力とその中に横たわる万物の力が生み出された。

この龍の頭部からは「天空」とエーテルに属する力である燃える存在が現れた。そしてこの龍のそれぞれの目がこの領域における一体の高貴な神に変化した。

諸世界の内側と外側の奥に隠された大いなる始祖ドラゴンの頭脳は、他の生まれ立ての若い神々の中で目立たないように卵から孵った。これらの頭脳が始祖なるドラゴン達であり、神々の賢明な教師であった。彼等は一度ドラゴンパスと今日呼ばれている場所でつがいを行うダンスをした。彼等がその謎めいたダンスを達成すると、最初のドラゴンの卵をここで産み、世界から姿を消したのである。

この龍の分解は、ドラゴニュートの哲学で「ウツマUtuma」と呼ばれる行為であり、大いなる始祖ドラゴンの意志がこの束縛による義務を受け入れることに決めたのである。この行為は彼の完全なる世界への没入を引き起こすものであり、また結果を出すものであった。死ぬことによって、義務を果たすために世界へと再び参加したのだった。彼がこのようにしなければ、それは致命的な弱さへと導かれる結果になり、ドラゴン的な存在の根本を破壊することになっていただろう。この事はしばしばドラゴニュートの「名誉」の観念と同一視されるか、または混同される。

始祖ドラゴン達は姿とエッセンスを備えており、なおかつ世界のいかなる部分をも完全に支配することが出来ると信じられている。彼等は互いに似ていて、他の者の秘密に通じている。彼等はエレメント的には特殊化された存在ではなく、実質的かつ到達することが出来る存在であるがゆえに信仰の対象として受け入れられる。ドラゴニュートの信仰はこれらの存在の純粋な原理について瞑想することで成り立っている。これらの原理に到達し、没入し、そして経験して理解しようと試みるのである。

これらの宇宙的な存在は多くの者には到達し得ない存在である。彼らが他の種族の神話体系に侵入する場合、常に畏敬と恐怖を与えられる存在とされる。これらの宗教における龍殺しの神話はこれらの不老不死の存在までには行き着かない。そうであっても、彼らは世界を越えた所に好む住居を構えていて、ある者は単一の元素エレメント、もしくはその他のエレメントの世界にいかなる義務があるというわけではなく、単なる個別的な好みから住み着いている。


真のドラゴン達True Dragons
始祖ドラゴン達は宇宙ドラゴンが「宇宙卵」を産んだのとちょうど同じように、自分たちで卵を産み落としていることで知られる。彼らが好んだ巣作りの場所は彼らが神秘的な交配の踊りを行ったドラゴン・パスであるが、何頭かは世界の他の場所にも産んだ。

真のドラゴン達は自ら備える力において凄まじく強く、他の種族の神話にしばしば現れる。時々彼らは情け深い援助者であり、時々彼らは殺されたり、勝利を納めてしまう敵対的な者である。優先してあるエレメントに友好的な真のドラゴン達がいる。(したがって地獄Hellドラゴン、別名夜のNightドラゴンがいるし、大地のドラゴンもいて、アズリーリア女神を守護し、彼女の盟友と呼ばれている。)ある場合、真のドラゴンはその性質を説明する名前の代わりに称号を持っている。このため、ある龍は「英知の皇帝Emperor of Wisdom」としてのみ知られ、またある龍は「平和の帝国の泉Imperial Fountain of Peace」である。ある龍は真の名前をシュ’カハルジールSh'kaharzeel(天界を動かす者Mover of Heavensとも呼ばれる)のように出している。この龍はオーランスに殺された。

真のドラゴン達は他の神々、天宮の神々やエレメントの議会の輪や、バーテイBurtae(訳注:オーランスやイサリーズ等「若き神々」)の反逆者達には真似の出来ない行動や魔術を使う能力があると言われる。

また、真のドラゴン達は創造の曙において多くの叙事詩的な闘争を行ったことを記録として残している。彼らの敵は時々混沌の存在とされるが、多くの神話が暗示していることは、ある種の巨大な闘争が真のドラゴン達と一つもしくはそれ以上である数の種族の巨人族とのあいだで行われたということである。この事について誰も確信をもっていないし、龍達はこの事についてしゃべらない。一般的な言い伝えによれば、龍達が全てのこれらの闘争で勝者となっている。

したがってこれらの真の龍達は、神話に出て来る強大な力を持つ生物で、大抵は「時」以前に活発であった。しかしながら、彼らは「歴史」世界に介入する力を依然として持っている。好例が1120年のドラゴンキル戦争で起きた「真のドラゴン」を含む集団的なドラゴン達の介入である。

これらの真のドラゴン達はグローランサの歴史を通してありふれており、より良く知られているドラゴン達の祖先である。彼らは明らかに両性具有的であるが、子孫を増やすためには連れ合いを必要とする。彼らはいろいろな組み合わせで、他のドラゴン達やドラゴニュート族の祖先となった。もし神話が信じられるものならば、彼らはまた、ハイキムとミキューのように、時たま他の神々や存在と交わっており、新しい生物を生み出している。
真のドラゴン達は「時」の到来に影響されなかったと信じられてきたし、彼らはそれに圧倒される事もなかった。いかなる場合でも、彼らが「時」以降の時代の様相を撹乱することは彼らに対する熱狂的な信者を後援する場合ですら殆どなかった。彼らは眠っていると言われており、ときどき丘陵の一帯が彼らの休息している地域として目されている。土や森、時の経過によって覆われているのだ。ある山岳の地域全体がドラゴンキル戦争の間、実にこの通りであることが証明された。そしてこの時以来、ドラゴン・パスの地理は異なったものになっている。

常に哲学と魔術からドラゴンの存在を分離するのは難しいものがあった。歴史時代においてすら、これは真実である。なぜなら真のドラゴン達は眠っていても夢を見ていて、彼らの夢はほとんど彼ら自身と同じくらい恐ろしいものだからだ。幸運なことに、多くの夢は貪欲であったり下劣であったりするよりも、つかの間のものか奇妙なだけである。そしてある種の龍たちは定命の者に彼らの秘密を教育するか、人類に無害な事柄の夢を見る。
したがって障害を持つ「夢ドラゴン」達が生まれ、彼らは制限された生物の種類であって、総じて存在において不完全である。そして彼らの本当の実質は他の存在の眠りについた精神によって創られたものなのだ。彼らが人間によってしばしば最も良く見かけられるドラゴン達である。


ハイキム―動物の王
一つの全世界的な神話が「最初の動物」もしくは獣のルーンについて言及している。これは一頭のドラゴンか、少なくともドラゴンの姿を取っている。ある人々が言うには、この事はある真のドラゴンがある豊穣の神性と交わり、大いなる始祖ドラゴンの魂が世界のエッセンスに変容し、動物の諸種族となった結果か、あるいは非常に多くの神々が集団で自分たちに仕える者を創り出したのであり、創造の気まぐれなのだそうだ。他の者は、これは二つの存在によって作られ、二者の一方は男性であり(ハイキムと呼ばれる)他方は女性(ミキューと呼ばれる)だと主張する。ジルステラの神知者達は、この二者は決して一緒に姿を現すことが無く、普通のドラゴン的なやり方においては、単独の両性具有的な生物である可能性が大きいということを指摘していた。

この神の系統学はグローランサに住む多くの動物の分類的方法をそのまま現している。たとえば、「哺乳類の母」がいて、この者の子供たちは猫の神、熊の神、鹿の神、羊の神、象の神、などなど。そして猫の神はライオンの精霊や、虎の精霊、山猫の精霊などの父である。このような疑似Pseudo科学的説明は「因果関係学のAetological神話」と呼称される。そしてどうしてこれらの事物が実在に至ったか、そしてどのように関係しているのかを説明しているのだ。

ある種の動物は統合化されたハイキムの系統学から奪われたか、もしくは他の領域で起源を持つと考えられている。この典型はヴリーマクの起源についてであり、この神は至高の鳥類の始祖であると言われるが、また天空の神であるダーゼイターによって創造されたとも言われている。

またある種の動物は他の種類の神とつなぎ合わされて関連付けられ、ハイキムもしくはミキューを扱いやすい説明として用いている。たとえば、ミキューはイェルムと交わってグリフィン王を産み、ウーマスと交わってストーム・ブルを産んだ。ハイキムは「大地」と交わって「恐竜Terrible Lizard」達をつくり、トリオリーナと交わって海の動物たちをつくった。


ドラゴニュート族の起源
ドラゴニュート種族の起源は真のドラゴン達の幼年期に由来する。この出来事は植物や、動物、もしくは人類が到来する前の出来事であり、ある者達は山岳や、河川や、天空が創られる以前だとすら言う。彼らは生まれ、それぞれに異なる長さの間、汚れを知らずに成長した。この時代、彼らは未成熟だった。ときどき、未成熟の龍たちは罪のない無知の祝福により産んで(訳注:幼体生殖。トラフトカゲ(アホロートル)と同じようなもの?)、両親達と同じく未成熟な卵を後に残して行った。この時代には世界の創造性に、何ら制限はされていなかったので、これらの卵は孵化してしまい、ドラゴニュート族を生み出した。

何回か異なる交尾が行われたので、ドラゴニュートはいくつかの「部族」に分けられる。これらの部族のいくつかは「多くの者の素晴らしき母Wonderous Mother of Many」という名前で知られるドラゴン、共通の祖先を持っていることで団結している。

これらの卵から孵化したドラゴニュートは年若く、無邪気でもあり、彼らの多くが卵から孵った雛からドラゴン族の一員へと普通に成長を遂げた。つまり後に続く同族達に行うべき模範を示したのである。しかし、ドラゴニュート族のほとんどは自分たち独自のペースを保って、教えることと霊的感化においては協力し合っていた。世界に森が茂り、「緑の時代」と呼ばれていた時代に彼らは成長を続け、繁栄した。彼らは「動物の時代」の見張り役を勤め、動物達に教えを施した。彼らは神々の支配する「黄金の時代」には世界中に神秘的で強い力を備えた石を立てるのを援助した。神々の「戦争」の間に力を増大させたが、しばしばこれは大きく他の種族の過ちから利益に預かっていた。これら全ての時代を通して、かつてドラゴニュートであった者を含んだ、他の未成熟の龍たちは、交尾を行い、新しい種族を創出した。このやり方でドラゴニュート達はグローランサ中の広範囲に、かつ稠密に栄える文明を築いた。彼らは精妙な都市を築き上げ、定命の者と神々双方が彼らの足元で教えを請うほどの多くを作り出す洗練された魔術を開発した。北方大陸の支配者であったジェナートは、「ただ一つを除き全ての目を開いた者All Eyes Open But One」という名前の一頭の真のドラゴンから助言を得ていたが、この者はかつてドラゴニュートだったと言われる。ドラゴンもしくはその親族(訳注:おそらくドラゴニュートやワーム)が人類を教育したという多くの伝説や物語はこの時代に由来している。

「無秩序」と「混沌」の神々が世界への侵攻を始めても、龍達とその眷族は何もしなかった。彼らは数が多く、強力だったが、友人達や環境が破壊されても動こうとしなかった。彼らは自分たちの種族や、より低位の種族の大部分が「混沌」の侵略により滅ぼされても何も感じないかのようだった。実際、ドラゴニュートの全種族があたかも自ら殺されるのを受動的に受け入れていたかのように見えた。

二つの地域は抵抗したが、一つの文明はその強さから、もう一方はその弱さからこれを行った。強い方の区域はジェナーテラ地域東方のクラロレラの地として知られる所であった。ここには多くの強力な人々が住んでいて同じ理想を信じていたし、(訳注:忘却王国、大荒野、ひょっとするとヴォルメインも含まれる?)自分たちの存在を守る事が可能な支配者達の慈悲や支配にみずから身を任せてしまう隣人達の存在にも救われた。彼らの多くは動物の神々にのみ関係している(訳注:スンチェン人?)、より単純な生物であった。クラロレラの地における「叡智Wisdomの内陣Inner Circle」は自分たちのもつ存在に特有の網を保つことでこのような宇宙的な変化に抵抗する力を持っていた。この網は彼らの世界を比較的損なわずに保ったのであった。そのためにハイキムの文明は「暗黒」を生き残ったのだが、この事は後代の「時」における活動力を犠牲にして行われたのである。

「弱い」方の抵抗はドラゴン・パスで行われた。そしてその伝説は「弱き心Heart of Weakness」という者を中心にしている。この者はこの地域に住んでいたドラゴニュートであった。彼(訳注:heになっている)は自分の周囲にある世界の破壊について感知しており、自分の友人達を守るという束縛に敢えて向かうことで苦心した。彼の友人達の多くが彼か彼の親族を最初の頃から援助していた。ドラゴニュートはこの地域に住んでいた多くの種族の一つに過ぎず、「弱き心」は自分を全体の一部として保とうと試みつづけた。この事がドラゴニュートを「我が戦い、皆が勝った」の戦いに加わった種族の一つとした。「曙」の到来に、自分たちがそこにいた他の種族と平等であることを認めたのである。そして「歴史時代」が始まった。(訳注:「弱き心」はその後ドラゴンに変わり、現在はSibilant Tongue of Ouroboros「ウロボロスの歯擦音を出す舌」が第一評議会以来、ドラゴン・パスの超王の座に就いているらしい。)


ドラゴニュートの動機
単独のドラゴニュートを動かすものを理解しようと試みる前に、あなたは先入観として持っていた全てを考えから追い払うことが必要である。彼らの哲学における明らかな逆説を受け入れるよう努めなければならない。彼らについての貴方の理解を改めることから始めよう。

ドラゴニュートの思想家達は自分たちの種族は創造における一つの事故、しかし不可避な幸運なる出来事によって起こったと見なしている。ドラゴニュート族の強さと弱さ双方が、彼らの虚弱な身体とそれぞれの輪廻の輪において学ぶことが出来る限定された経験によって成り立っている。

ドラゴニュートの存在はある種の身体的、情緒的、魔術的な特性を獲得し、完成に至る多くの生における闘争から成り立っている。こうすることによってその個体に一体のドラゴンを伴って生きることが出来るようにするのであり、より俗っぽい言い方では、ドラゴンに自ずから変身するのである。この精神的な成長に伴う作用として、魔術の力の蓄積がある。この力は形ではルーン魔術呪文であるかのように見なすことが出来るが、これは異なった方法で獲得するものである。

それぞれの肉体の段階におけるドラゴニュート族の発達は精神の意識と経験が肉体から肉体へと移っていくのを許すことで得られるものである。精神と最近の肉体が充分な発達をした時に次に卵から孵化する者は次の肉体の段階に移行することになる。

しばしば小規模な肉体の変容が一つの生でなされる。この事はまだ孵化していない、魂のない、卵の中で成長して行く身体がどこか他の場所にいる生きた身体において発展していく力を中に住まわせるのに相応しく適合していくからである。したがって単一の種類における全てのドラゴニュートがその属する大まかな分類の範囲内で異なる特色を持って現れるのである。

ドラゴニュート達は彼らにとってのその生の輪廻における目的として、偉大で無限のドラゴンになる事を信じている。(前述のドラゴンの神話で暗示されている通り)この事実は彼らにとっては否定できないものであり、日々の経過する歳月によって確かめられる。彼らがある段階から段階へと移る度に彼らは加速的に強大化する。
彼らの生における皮肉な事実は、彼らが自らの力を行使するたびにドラゴニュートは退行し、弱くなり、進化には悪い影響をもたらすということである。彼らの強力な魔術を行使するたびにドラゴニュートは完全なドラゴン的存在になる前に支払われねばならない負債として、存在のしがらみにとらわれてしまう。

ドラゴニュート族の名誉に関する概念は彼らを理解するためには決定的なものである。名誉はその時点での彼の宇宙に関する理解の度合いに応じて決められるもので、彼らが正しい生を営むための指針を与えてくれるものである。ドラゴニュートの存在におけるそれぞれの段階がある種の思考様式を経験し、参入するように期待され、このことによってその属する領域における自らの行動に対する責任を負うのである。ある範疇の条件を満たすと、その個体は次の発展の状態へと移行する。

もし、あるドラゴニュートが不名誉のうちに死ねば、彼は再誕の前に数日間を死んだままで過ごさねばならない。彼が再び生まれた時、その肉体的、魔術的な能力は減少することになる。恥辱を受けたドラゴニュートはそれゆえに発育不全の個性と能力の状態にとらわれていて、これは彼らがいくつもの生を通して問題を解決するまでその失敗が刻印される。

ドラゴニュートの名誉は情緒的な経験の意味で、自分の行動に責任を持っているか、そして彼が自分自身を制御することに失敗したかどうかで決められる。もし彼が自分自身をコントロールしていたら、(つまり、考えて、正しい行動に対応した行動を決意することである。)そうすれば、それは名誉ある行動になる。しかし、もし彼が感情的に反応すれば、その行動は名誉に値しないものである。たとえその行動の結果が良かったとしても、そうなるのだ。不名誉な(感情的な)反応はより一層の呪縛へと身を引きこむ結果になるであろう。そのために輪廻の輪が一世紀前の過ちを雪ぐために費やされることになる。

ドラゴニュートの倫理規範
ドラゴニュートは自らの平凡な肉体と魂を「正しい行動」で浄化するために努力する。そして自分たちを限界のないウロボロスの精神、「無限のドラゴン」に再び結び付けるのである。ウロボロスは常に自らの尾を呑み込んでいる全宇宙の起源である。「正しい行動」はいくつかの単純な条件によって定義され、これらの解釈は多岐に渡り、いまだに定義の見直しを迫ることもある。


祖先への義務: 全てのドラゴニュートがドラゴンの子孫なので、これは実際には龍達への崇拝: 彼らの信仰である。しかし、「黄金の時代」に事実上のドラゴニュートの家系と部族が存在していた。これら始祖の多くが長い間、死んでいる状態だが、場合によっては精霊として援助を求められるかもしれない者達である。(訳注:真のドラゴンの幽霊?)

自らの主君への義務: 君主権はある個体の上に認められるある種の身体的、個体特有の特徴に認められるものである。これらの様相が具体化された時は、成熟した時がその個人の同質化への基準になり、したがってその者は敬意と服従の対象になる。同等の敬意の対象となる人物の区別をする時は、ドラゴニュート達も一時的に仕える主君達を決める。その者に直接指示を仰ぎ、その者の命令は他の者の命令に優先される。

好意に対する返礼の義務: もしある者が個体のドラゴニュートに対して好意を示してきた時、ドラゴニュートはお返しとして同等のものかそれ以上の価値のある好意を返す義務がある。これらの義務づけられた好意は個体のドラゴニュートに大いなる重荷としてのしかかって来るものと見なされる。なぜなら彼は可能ならば、それらを輪廻の輪を通じて返すことを試みねばならないからである。それは友情や協約の次元には関連していないが、それが個体の発達を邪魔するものだとしても、返礼されねばならないのである。この龍の宗教はドラゴニュートにこれらの義務づけられた好意を拒否するように促しているが、それでも彼らの義務と彼らへの命令がそうすることを妨げるし、したがって束縛が彼らの生に入ってくることになる。

個性の特徴及びドラゴン存在への進展
個体のドラゴニュートの生は常に自分自身を改善するのに向けられていて、自分の感情と出来事に対する反応を制御し、自分が次の存在段階に成長できるようにする。ドラゴニュートの発達における全ての段階がドラゴニュートに絶え間なく特定の感情と個性の特徴を操作するように戦うことを求めさせる。すべてのドラゴニュートのゴールはいついかなる時にも意識的な思案の末に反応することである。

冠皮ドラゴニュート: 冠皮ドラゴニュートは自分の攻撃的―受動的、勇敢―臆病、精力的―怠惰、頑固―従順、信頼できない―信頼できる、の個性における特徴を統御しなければならない。

嘴(くちばし)ドラゴニュート: 尾を持つ司祭の段階に達するためには、嘴ドラゴニュートは自分の好奇心あふれる―無感動、指導者―部下、衝動的―慎重、神経質―冷静、懐疑的―信頼あつい、の個性における特徴を統御しなければならない。

尾のある司祭: ドラゴン宗教における完全なる司祭になることが尾を持つ司祭の目標である。こうなるためには、彼は個体の龍としての姿を取ることが可能でなければならない。外の世界に対応することができるように自分の名誉心ある―不名誉な、貪欲―気前の良い、気短な―忍耐強い、外向的―内向的、の個性における特徴を統御しなければならない。

完全なる司祭: 完全なる司祭は自らの個性、特徴における統御を完成させるために奮闘し、自らの周囲の世界を統御することを学ぶことを可能ならしめる。彼が統御しなければならない特徴は以下の通り: 鋭敏―鈍感、革新的―保守的、楽観的―悲観的、建設的―破壊的。

ドラゴンの宗教
龍の宗教は、存在は幻想の織り成す網であることを説教し、証明する。この幻想は五つの元素に対して熱中することで保たれており、これらのそれぞれが五感の一つ一つに対応している。「正しい行動」の実践でドラゴニュート族は自分たちの精神的な成長に制限を与える幻想の網を浄化することが出来るし、最後には自分の霊魂psycheをウロボロスの思念である、永遠の「純粋なる者のダンス」に加わることが出来るようにする。

彼らが元素エレメントを蔑むがゆえに、エレメント的に開発されたいかなる魔術も用いることはない。これはこのような繋がりを有する神への信仰も含まれる。彼らはこれらの神々の存在や力を否定するわけではないが、彼らを援助することはたとえ機嫌取りの(訳注:人間がマリアなどに行う)信仰様式であっても、ない。このような事を行う代わりに、ドラゴニュートは思考と行動の修養を通じて、自らの精神を浄化する方法を選ぼうとする。彼らは精神的な鍛練を身近で平凡な世界で行うが、これはその対極にある諸力から彼らが逃れられるようにするのである。この事の副産物として、彼らはある種の魔術を得るが、これはルーン魔術と比肩しうるものである。

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ウロボロスと宇宙ドラゴン
始祖Ancestralドラゴン達
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ドラゴニュート族の起源
ドラゴニュートの動機
ドラゴニュートの倫理規範
個性の特徴及びドラゴン存在への進展
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サンディ・ピーターセンの旧ドラゴン魔術ルール(村瀬氏のサイトへ)
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