オフセット 竹とんぼの作り方

 「七夕飾りに使った竹があるので、竹とんぼを作りたい」。との話がありました。
さっそく竹を見ましたが、根本の太さが40㎜ほどのマダケでした。
残念ながら『ひねり竹とんぼ』は直径が60㎜以上なければ作り難いのです。こんなことでこの竹からはトンボを作れませんでした。

 その後、高佐和幸さんのホームページで不思議な形の竹とんぼに出会いました。
最初は何故こんな形にするのだろう、はたして飛ぶのだろうか? 不思議だな!
気になりいつも使っている孟宗竹で作ってみましたが、飛びませんでした。

出来たトンボを見て閃きました。
「このトンボはもっと細い竹で作るものだ!」。
仰角を得るのに竹の丸みを利用するとてもユニークな発想で、必要な仰角を得るには40㎜程度の細い竹でなければならなかったのです。
私は 『オフセット 竹とんぼ』 と呼ぶことにしました。

 私の工夫を加えて作成方法を説明します。
細い竹で良く飛ぶ竹とんぼが出来るし、アイデアがとてもユニークですが、飛行性能を上げるには竹の太さに応じてた形状の工夫が必要です。
また、重くなってしまう傾向にあり、軽くするためには翼の下側をくり抜くように削る必要があります。
 こんな要素を考えると、慣れない子供に作らせるのは避けた方が良いと感じています。

 

1.竹材からの切り出し
 直径が30㎜~40㎜程度の太さの竹が良く、これより細いと仰角が大きくなり過ぎ、太いと仰角が小さくなります。
 真円に近い竹ですと3分割した各々からトンボを作ることが出来ます。
 いびつな竹では左右の形が対称となる部分を選んで割ります。


図1・1本の竹を3つに割る

2.翼の形作り
 (1) 中心を決め軸の入る穴あけをする(2.5~3㎜)。
   軸穴の位置は中心に正確にあけます。
 (2) 素材の表面に図2の様な製図をします。細いフェルトペンが使いやすい
 (3) cからbへ、gからfへ線に沿ってノコギリで切る。ピラニアンノコの様に歯が細かいものが最適
 (4)素材を立ててaにナイフを当ててbの方向に割る。次にeにナイフを当ててfの方向に割る
   ナイフは線の少し外側(0.5㎜)割り、線は残す。仕上げの時にナイフで削り取り所定の寸法にする
   ナイフの背をハンマーで軽く叩く。切り出ナイフよりり、両刃の小刀、電工ナイフが適している


図2・翼の外形

3.竹材の直径と寸法
 
 竹材の直径 
 
 翼の全幅   翼の長さ    備  考  
 
30ミリ
 
30ミリ 110~115ミリ  
 
35ミリ
 
35ミリ 105~110ミリ  
 
40ミリ
 
38ミリ 100~105ミリ  


 (1)上表を参考に、翼の長さを切りそろえる


4.翼を薄くする
 (1)竹材を裏返しして図3を参考に進める
 (2)竹の裏側からa、bの位置にノコギリで切り込みを入れる。竹の表面側に1ミリほど肉を残す
 (3)竹を立てて、cからaに向かって割る、次にdからbに向かって割る
 (4)図4に横から見た加工後の形を示す。薄い色の部分を取り除くことになる


図3・翼を薄く加工する


図4・横からの図

5.軸穴の廻りを整える
 (1)図4のaからeに、bからfの形状にナイフで削る
 (2)軸穴の周辺を厚くするのは、軸との接合部分の強度を増すため。3ミリ程度で十分


6.翼の仕上げ
 (1)以上は割によりおおよその形を作り出す作業であった
 (2)ナイフでシャープなエッジを丸くしたり。余分な厚みや寸法より大きい場所を削る
 (3)表面を平らに削り、美しくする
 (4)翼のコーナーを丸く仕上げる
 (5)形が整ったら、バランス調整。バランスが崩れていると飛行特性が著しく悪くなる
   ひねり竹とんぼの作り方にバランス調整の方法が載せてある。

7.軸の作り方と組立
  ひねり竹とんぼの作り方に同じ。参考にされたい。

8.作品例


上部から撮影した写真


横から撮った写真
翼の長さ115㎜、翼の幅19㎜、全幅34ミリ


トップページへ竹とんぼ目次へ