全裸になっているわけではないと思いますが……全裸にされているだけで。ああ、いえいえ。どうしてなんでしょうね。
それでは、軍医の方々や、負傷した経験のある方々に色々お聞きしてみましょう。まずはこの方、スパロ−号の軍医さんで、切る・語る・撃つの三拍子揃った稀な方、ロバート・ダルキース先生から。
ダルキース軍医「はっきり言って、軍医の趣味です。できればぴちぴちの士官候補生とか、海尉なりたてほやほやぐらいの、お肌がすべすべの若者がいいんですけどね」
えっ、うそ。
ダルキース軍医「うそです。決まってるでしょう。おや、あそこにいるイタチそっくりの……失礼。主計長ですかね。彼が何か言いたそうにしていますが」
ああ、ファラロープ号のいけない主計長デービッド・エバンズさんですね。エバンズ主計長、何かご意見がおありですか。
エバンズ主計長「わたしの経験から言わせてもらえばね、洋上では物資の補給も思うようにはなかなかいかない。だから、艦の中の物という物はすべて大事に使わなくちゃならない。そこで、負傷した者の衣服は、持ち主が死んだら他の者がもらい、生き残ったら当然持ち主が使う。そのどちらにせよ服に血がついたり汚れたりするのは避けたいから、ケガをしたらすぐに服をはぐ。これが理にかなってるって寸法だあね」
なんだかとってもエバンズ主計長、あなただけの理屈って感じですが本当ですか?(あやしいな……) こちらとしては、バイ菌の感染防止かと思ったんですけど。それでは経験者のボライソー艦長はいかがですか。
ディック「私も、ケガをしたのは確か額のはずなんだが、気がついたら裸にむかれていた。なぜだろう」
「スペインの財宝船」のエピソードですね。
ディック「アイ。オーロラ、彼女にはあんな姿を見られたくなかった。できることなら、もっと違う時に、違うやり方で……」
もしもーし、艦長。艦長。だめですねえ、夢を見ていらっしゃるようです。ではもうお一方、あなたはいかがですか? 飲んだくれ軍医として有名なホイットマーシュ軍医。確かアンディ−ン号乗り組みでしたね。
ホイットマーシュ軍医「服を脱げば、軽くなる」
え? はい。まあそうですね。
ホイットマーシュ軍医「軽くなれば、持ち上げて、診察台に載せやすくなる」
え? でも、そんな、言う程軽くなりますか?
ホイットマーシュ軍医「私の言うことが信用できないのか。お前もあの艇長と一緒で私をないがしろにする気か」
いいえ。そんな気はこれっぽっちも。
ホイットマーシュ軍医「ええい、ただの艇長のくせに、あの野郎、私よりもいい仕事をしおって。言っておくが、私はあの時不在だったのだ。後々の巻で『飲んだくれの軍医の代わりに』と言われるように、飲んだくれて酔いどれて役に立たなかったのではな〜い。ええい、許さ〜ん!」
うわ〜、飲んだくれ軍医が刃物を……危ないので私は一時避難したいと思います。
それにしても、結局どうしてなのかわからなかったですね。
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