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スズメバチに刺された時の対処法 |
ハチに刺されないようにいくら注意していても,不幸にして被害にあうことも少なくありません.もしもハチに刺されてしまったら,重症になることは稀ですから,必要以上に不安がらずに落ち着いて次のように行動してください. |
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▶ 速やかに刺された場所から離れる |
刺された場所が巣の近くなら,速やかにその場所から離れてください.少し身をかがめるようにして,姿勢を低くして逃げます.逃げる際は手ではらったりするとハチを刺激して危険です.1匹のハチに刺されると毒液(興奮物質)が空中にまき散らされるため,その場に止まっているとさらに多数のハチの攻撃を受けることがあります.スズメバチが追いかけてくる距離は種により違いますが,概ね巣から10~50m程度で,通常は20~30mも離れれば心配ありません.アシナガバチでは数m~30m程度追いかけてきます. |
▶ 傷口を流水(水道水など)でよく洗い流す |
傷口を流水(水道水など)でよく洗い流し,手で毒液を絞り出すようにします.この際,口で吸い出していけません.たとえ飲み込んでも消化管からは吸収されませんが,口内に傷があると傷口から体内に入るので危険です.毒を薄める効果(水溶性のタンパク質が水に溶ける)と傷口を冷やし腫れや痛みを和らげる効果が期待できます.ただし,ショック症状の発現を予防する効果はありません. また,毒液を絞り出すための器具が輸入販売されていますので,携行すると良いでしょう.いずれもディスポーサブル注射器から針を除いたような道具です.器具の先端を刺傷部位に当てて,毒を吸い出します.スポーツ用品店などで購入できます. |
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▶ 患部に虫刺されの薬を塗りる |
患部に虫刺されの薬(副腎皮質ホルモン含有の抗ヒスタミン軟膏)を塗ります.アンモニアは全く効果がありませんので注意してください.その他にハチ刺傷時の民間療法として,渋柿の汁を塗る,アロエの汁を塗る,タマネギの汁を塗る,ヘクソカズラの汁を塗る,スズメバチ酒を塗るなどが知られていますが,いずれも効果についてはよく分かっていません. |
▶ 速やかに医療機関を受診する |
以上の処置を施した後,できるだけ速やかに医療機関を受診してください.ハチ刺傷による症状は,局所の皮膚症状 → 全身性の皮膚症状(全身の蕁麻疹,掻痒感,紅斑) → 消化器症状(胃痛,吐き気,おう吐など) → 呼吸器症状(呼吸困難,喘鳴) → 循環器症状(虚脱,不整脈,狭心症)などです. 治療はそれぞれの症状を緩和するための対症療法が中心で,特効薬はありません.アナフラキシー症状は極めて短時間(早い時は数分)で起こります.少しでも変わった症状がみられたら速やかに医療機関に受診してください. |
▶ アナフィラキシー症状出現時の対応 |
1 アドレナリン携帯自己注射キット(エピペン)を携行している場合は,直ちに自己注射します. 2 その場で体を横たえ,脚を少し高くします.おう吐がある場合は顔を横に向けて窒息しないようにします. 3できるだけ速やかに最寄りの医療機関を受診します. |
▶ エピペン (エピペン注射液0.3mg) |
ハチ刺傷によるアナフィラキシー症状を緩和するための自己注射器”エピペン”が,医師の処方により入手できるようになりました.主成分はアドレナリンで,強心作用,血圧の上昇作用,気管支の拡張作用があり,アナフィラキシーの徴候や症状を感じた時に速やかに注射すると,ショック症状を軽減させる効果があります.吐き気,発汗,めまい,じんま疹,ふるえなどの初期症状がみられた場合は,ショック症状が発現する前にすみやかに注射します. エピペンの投与対象者は,ハチ刺傷によるアナフィラキシーの既往のある人,またはアナフィラキシーを発現する可能性の高い人(ハチ刺傷時に全身症状が見られ,かつ抗体価が高い人)です.症状出現後30分以内(遅くとも60分以内)に注射すれば,死亡者を減少させる効果が期待できます.適正に使用しないと重大な事故につながる可能性がありますから,使用に当たっては十分な注意が必要です. 当初は保険が適用されませんでしたが,2011年9月22日から保険適用になりました.薬価は大人用の0.3mg規格が9,480円,子供用の0.15mg規格が6,526円です. |
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※ 食物アレルギーなどにも使用できます.子供用のエピペン注射液0.15mgもあります. 詳しくは” エピペンのホームページ”をご覧下さい. |