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115人が刺されたキイロススメバチによる集団刺傷被害 |
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2016年9月11日(日)午前10時20分頃,岐阜県飛騨市神岡町内で開催されたマラソン大会の参加者697人の内115人が,コース途中でキイロスズメバチに刺されという事例がありました.被害者はいずれも軽症で,そのままレースを続行した人も少なくなかったようです.刺傷被害者が115人というのは,1998年に滋賀県で101人が刺された事例を上回る過去最多の数です.
現地は富山県境に近い標高947mの地点で,巣はコース途中にある打保橋の下側に作られていました.集団で巣の上を走ったため,振動が巣に伝わってハチを刺激する結果となり,集団刺傷被害につながったと考えらます.被害防止には事前の調査が大切ですが,今回のように橋の下側にある巣は発見が難しいので,くれぐれも慎重に行う必要があります.
ハーフマラソンのコースは,この橋を渡った先に折り返し地点があり,同じ場所を2度通過する必要があります.折り返しコースの場合,往路にハチに刺される,ハチがまとわりつくなど少しでも変わった兆候がみられた場合,速やかに何らかの対策をとらないと,復路で大きな被害が発生することがあります.また.救護に向かった人が二次被害に遭うケースもあるので注意が必要です.
12日にテレビ局の取材に同行し現地調査をする機会がありました.地元の方の話では,今年はスズメバチが多いとのことで,この場所から100m程手前の道路沿いにある2軒の民家(道路の北側と南側)の軒下にキイロスズメバチの巣がありました.南側の民家の巣は道路からの距離が近く,こちらの巣でも被害が発生する可能性が十分にあったと思われます.
現地は廃屋も多く見られる過疎地域で,住民は多くありません.地元の人たちは普段からハチと上手に共存しながら生活しており,”スズメバチ=危険なハチ”という認識は少ないと思われます.しかしながら,今回のように大人数が参加する行事では,普段とは全く事情が違うという認識を持つ必要があります.被害防止にはくれぐれも慎重な事前調査が望まれますが,そのためには,スズメバチの習性をよく知っておくことも大切です. コース付近に巣があった場合,時には巣の駆除も必要でしょうが,可能であればコースの変更,通過時に巣と離れた側を静かに通行させるなど配慮することによって,被害を防ぐことも可能だと考えています.また,いつでも被害が発生する可能性があることを前提に,被害発生時の対策や対処法についても事前に良く検討し,参加者に周知しておくことも必要です. |
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朝日新聞 2016年9月12日 |