0206植物の科名いろいろ [ハ]~[ホ]
参考:小学館発行「万有百科大事典」
[ハ]
ハイノキ科 双子葉植物合弁花類
常緑、落葉の低木又は高木。葉は単純で互生する。托葉はない。花は腋生か頂生で、
穂状花序又は総状花序をなす。両性のものが多いが、稀に雑居性のものがある。萼は
5個。花冠は3~11裂又は全裂する。雄蘂は4又は多数ある。子房は下位又は半下位、
核果或いは液果を結ぶ。アジア、オーストラリア及びアメリカの暖帯、亜熱帯に、数
属約300種がある。
ハマウツボ科 双子葉植物合弁花類
一年草又は多年草の無葉緑植物で、他の植物の根に寄生する。葉は鱗状で互生し、花
は葉又は包の腋に単出するか、茎の上端に穂状花序になる。両性花で、花冠は筒状又
は唇形、雄蘂は4個で2個は長い。雌蘂は1個で子房上位、1室で4側膜胎座に多数
の胚珠が付く。果実は朔(草冠+朔)果で2裂し、種子に胚乳がある。世界に約15属
150種、わが国にはナンバンギセル属2種、オニク属・ハマウツボ属・キヨスミウツボ属
各1種がある。
バラ科 双子葉植物離弁花類
木本及び草本植物で、葉は互生、稀に対生し、単葉又は複葉で普通托葉がある。花は
両性で放射相称をなし、萼筒は花托と合生し、萼裂片は5個、花弁は普通それと同数
であるが、稀にないものもある。雄蘂は多数個、ときに少数個で、心皮は1乃至多数
個あり、離生又は合生し、子房は上位、周位、下位をなす。世界に広く分布し、特に
ヨーロッパ、北アメリカ、アジアに多い。この科は、115属3200種を含む大きな科で、
一般に6亜科に細別するが、学者によってはこれを独立の科として扱うこともある。
日本産のものはシモツケ・ナシ・バラ・サクラの4亜科に分類される。
[ヒ]
ヒガンバナ科 単子葉植物
地下に鱗茎のあるものが多い。葉は線形全縁で、多くは肉が厚い。花は放射相称又は
やや放射相称で、花被片は6個、基部は合生して花筒を作り、子房の上端に着く。雄
蘂は6個、子房は下位で3室に分かれる。熱帯、亜熱帯に約65属86種内外があり、わ
が国にはハマオモト属、ヒガンバナ属、キンバイザサ属、コキンバイザサ属が自生す
る。観賞用に栽培されているものにはアマリリス属、クンシラン属、スイセン属その
他多数がある。
ヒノキ科
常緑針葉高木又は低木。樹皮は縦に長く裂け、繊維質である。葉は対生して十字形或
いは3個輪生し、成木では普通鱗片状をなし、稚苗の頃は短い針形であるが、針状葉
だけのものもある。雌雄同株、ビャクシン属の多くは雌雄異株である。花は短い小枝
の先端に着き、ときには腋生する。球果は木質、種子には翼があるが、ビャクシン属
の球果は液質で、種子は翼を持たない。世界に約17属150種を産し、北半球に多く、南
半球のオーストラリア、アフリカにも分布している。
ヒメハギ科 双子葉植物離弁花類
草本、低木又は小高木。花弁は3~5個、外側の2個は離生するか又は下側のものと
癒合し、上方の2個は離生で退縮する。雄蘂は8個でときに4~5個あり、中部以上
まで癒合し、上部は開く。稀に離生し、屡々花弁と合着し、葯の頂は孔開する。熱帯
及び温帯に生じ、世界に約10属700種、わが国にはヒメハギ属、ヒナノカンザシ属があ
る。
ビャクダン科 双子葉植物離弁花類
草本又は木本で、多くは半寄生植物。葉は互生又は対生し、托葉はない。雌雄同株又
は異株。花は小形で放射相称をなし、花被片は4,5個で下半分は合着する。花被片
に対生して同数の雄蘂がある。子房は1室。果実は堅果又は核果。世界に約30属400種
があり、多くは熱帯に、少数が温帯に分布する。著名な植物にビャクダンがあり、わ
が国にはカナビキソウ属、ツクバネ属が自生する。
ヒユ科 双子葉植物離弁花類
草本で、葉は互生又は対生し、托葉はない。花は小形で密集する集散花序をなし、花
序は更に穂状や円錐状の複合花序を作る。花被片は4,5個で膜質、雄蘂は1~5個、
花被片に対生し、花糸の間に花弁状の付属物がある。心皮は2,3個、合生して1個
の子房を作る。世界に64属800種を産し、熱帯に多い。わが国にはイノコズチ属、イソ
クサギ属が自生し、ヒユ属、ケイトウ属などが帰化している。
ヒルガオ科 双子葉植物合弁花類
直立性、或いは蔓性の草本又は木本植物で、乳液を有するものもある。葉は単一で互
生し、托葉はない。花は両性で放射相称、包はときに総包状になり、萼は離生で宿存
性、花冠は漏斗状又は高坏形で、内面に稀に付属物がある。雄蘂は5個、花冠の下部
に着生する。子房上位、2室で中軸胎座。倒生胚珠は各室に1,2個ある。果実は朔
(草冠+朔)果で、種子の胚は大形で胚乳がある。世界に約50属1200種が知られ、わ
が国には5属12種が野生する。
ネナシカズラ属は葉緑素がない全寄生植物で、葉は鱗片状に退化し、花冠の内面に付
属物があり、花柱は2個、胚の子葉は明らかでない、などの性質があるので、これを
独立のネナシカズラ科とする説もある。
ヒルギ科 双子葉植物離弁花類
熱帯の海岸泥土に生える高木、又は低木。枝は節で関節する。葉は対生し、質厚く、
単葉で托葉があり、稀に互生し、托葉がない。花序は腋生し、花は両性で放射相称、
萼裂片は3~14個で宿存する。花弁も同数で小形、ときに剪裂し、内巻き又は内曲す
る。雄蘂は花弁と同数又はより多い。子房は下位で2~6室ある。果実は裂開しない
で、樹上で発芽し、泥中に落下してマングローブ林を作る。世界に17属約70種が分布
する。ヒルギ科植物の樹皮は20~40%のタンニンを含み、樹皮の水製エキスをカッチ
と称し、タンニン材料にする。
ヒルムシロ科 被子植物亜門単子葉植物綱沼生目
淡水性或いは塩水性の多年草草本。葉は浮水葉と沈水葉があり、無柄又は有柄。花は
小さく、花被を欠き、両性又は単性。多くの場合、穂状花序をなして雌雄同一花柄に
生じ、膜鞘マクショウに包まれる。雄蘂は1~4個、葯は外向し1~2室、葯隔はときに花
被状になる。果実は分果、種子は胚乳を欠き、胚軸の一部が肥大して養分を貯えると
云う特異な構造。
この科はヒルムシロ・アマモ・リュウキュウアマモの3族に分けられ、5属105種が知ら
れる。この分類になるまで、各族を科として取り扱った時代もあり、また現在でも前
記の族を亜科とし、他に3亜科を加えて6亜科とする学者もある。
[フ]
フウロソウ科 双子葉植物離弁花類
草本稀に低木。葉は互生又は対生し、托葉がある。葉身は歯牙シガがあるか、又は分裂
する。花柄は腋生し、1~2個、又は多数の花を着ける。花はやや大形の両性花で、
放射相称か、或いは左右相称をなす。萼片、花弁は4~5個で、雄蘂は萼片の2~3
倍数あり、子房は3~5裂する。果実は3~5個の分果となる。世界に11属約650種を
産し、わが国にはフウロソウ属1属が自生する。この科には民間薬として知られるゲ
ンノショウコや美しい花を開くゼラニウムなどがある。
フジウツギ科 双子葉植物合弁花類
草本又は木本で、葉は対生するものが多いが、稀に互生又は輪生、花序は2,3出の
集散花序をなす。花は小形又はやや大形で、4,5数をなし、両性で、放射整正とな
る。果実は朔(草冠+朔)果、液果、核果。世界に約30属800種があり、熱帯、亜熱帯
に多く、稀に暖帯に分布する。本科のうちフサフジウツギは園芸上ブッドレアと呼ば
れ、多くの品種がある。
ブドウ科 双子葉植物離弁花類
蔓性の木本又は草本で、通常は葉に対生する巻き髭があり、稀に直立する低木もある。
葉は互生し、単葉或いは掌状複葉で托葉がある。花は両性又は単性、花序は集散花序
又は円錐花序をなす。萼片は4~5個、花弁も同数で離生し、又は頂部が合生し、咲
くとすぐ落ちるものがある。雄蘂は花弁と同数で対生する。果実は液果となる。約10
属500種が熱帯から暖帯に分布し、わが国にはブドウ属、ノブドウ属、ツタ属、ヤブガ
ラシ属の4属が自生する。
フトモモ科 双子葉植物離弁花類
高木又は低木。葉は単純で、精油を含む油点がある。花は多くは両性で放射整正をな
す。萼裂片は3個又はそれ以上あり、花弁は4~5個で、ないこともある。熱帯及び
亜熱帯に生じ、約75属3000種がある。有用植物が多く、ブラッシノキ属、ユーカリ属、
フトモモ属、バンジロウ属、テンニンカ属などが栽培される。
ブナ科 双子葉植物離弁花類
常緑又は落葉の高木で稀に低木。葉は単葉で互生、托葉は落ちやすい。雌雄同株。雄
花穂の多くは細長い尾状花序で花被は4~7裂し、同数の雄蘂又は2倍からそれ以上
ある。雌花は1~3個で短い穂又は束状に着くか、又は雄花序の基部に着く。堅果は
1~3個ずつ下部又は全体が総包に包まれる。世界に約12属600種が分布し、わが国に
はナラ属、アカガシ属、シイノキ属、マテバシイ属、クリ属、ブナ属が自生する。
[ヘ]
ベンケイソウ科 双子葉植物離弁花類
多くは多肉の草本で、葉は対生又は互生し、托葉はない。花は集散花序をなし、萼片
は3~5個、花弁は同数、雄蘂は同数又は2倍数、蜜腺ミツセンは心皮に対生し、雌蘂は、
1心皮からなり、3~5個、離生又は基部に癒合する。オーストラリアを除く全世界
に分布し、約20属1200種、わが国に4属32種を産する。よく知られている植物に、イ
ワレンゲ・ミセバヤ・ベンケイソウ・キリンソウ・メノマンネングサ・タコノアシなどがあ
る。
[ホ]
ホシクサ科 単子葉植物
草本又は亜低木。主として暖地に分布し、世界に13属1000種余りがあり、湿地に生え
る。葉は線形で全縁、縦の脈がある。花茎は葉がなく、基部は筒状の鞘サヤがある。花
序は頭状で頂生し、総包片がある。花は雌雄同株で包を持ち、小形で柄がなく、花片
は内外2輪列に並び、共に2~3個あって、ときに合生し、雄蘂は2~3個、子房は
上位で2~3室を持ち、熟して朔(草冠+朔)果となる。
ホルトノキ科 双子葉植物離弁花類
木本で、葉は互生し、単葉で托葉がある。総状花序を腋生し、花は整正で4~5数。
花弁は離生し、ときに掌状に分裂する。雄蘂は多数、葯は2室で弁開し、ときに縦裂
する。子房は上位、2~多数の室があり、核果又は朔(草冠+朔)果を結ぶ。熱帯か
ら南半球にかけて7属120種以上ある。わが国にはホルトノキ属2種が自生する。アジ
ア熱帯産のジュズボダイジュの種は数珠の材料にする。
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