ジャック・エリオットという、さすらいのフォークシンガーを知ってますか? おそらく知らない人がほとんどだろう。僕が初めてジャックを聴いたのは1980年頃だったと思うが、その頃はフォークソングと言うと日本では、友部正人さんやザ・ディランUなどを聴き、海外ではボブ・ディランが好きで聴いていた。当時僕は、ブルーグラス、カントリー、フォーク、SSWが好きでこの手の音楽しか聴かない人間だった。今でも変らないと思うが、JAZZも好きだしクラシックやブルースだってフィーリングが合えばジャンルはこだわらないつもりだが、やはりSSWやフォーク、カントリー系が多くなってしまうようだ。基本的には、硬めのアコ−スティック音楽であって何か引き付けられる力があるサウンドであれば好きになってしまうと思う。声だけでもいいし、楽器だけでもいいし、とにかく自分の感性に訴えかけてくるサウンドであれば、ジャンルにこだわらない。さて、ジャックを好きになったきっかけを作ったアルバルバムと言えば「BANJOMAN」というサウンドトラック盤のアルバムである。この アルバムの中でジャッ
BANJOMAN |
クは、「Me And Bobby McGee」と「Billy Fehr」の2曲を唄っており、今聴きなおしても鳥肌が立つほどの感激を味わう事が出来る。このアルバムでしゃがれた声とギターのジャック・エリオットに初めて会った。さらに付け加えておくとすればクラレンス・ホワイトが、「ミスター・タンボリンマン」をアコ−スティックに唄いあげている事でも感動してしまう。こうなってくるとジャックの曲をもっと聴きたくなってきた。ところが世間ではジャックの事など話題にもなっていないし、情報を入手する事も困難だった。そんな中、「The
Acoustic Kids」というブルーグラス・リバイバル誌の別冊に三井徹氏が「ランブリン・ジャック・エリオットとボブ・ディラン」という記事を書いていた。その中に僕が次に手にしたアルバム「Bull
Durham Sacks & Railroad Tracks]が紹介されていた。最近は、ジャックがグラミー賞を受賞したりで人気が出てしまい、昔のアルバムが非常に入手困難となってしまい、オークションなどでもかなり高価になっているようだ。ファンとしては嬉しい事なのだが、僕としては密かにジャックを聴いていた頃が、一番良かった気がする。その影響もあり、昔のアルバムがコンパクトディスクで復刻したりしているが、オリジナルのLPレコードには敵わないし、昔のジャケットがどうしようもなく恋し
Bull Durham
Sacks&Railroad
Tracks |
いのである。
The Acoustic
Kids |
特に最初に手にしたアルバムと言う事であり、このジャケットを見るとジャック・エリオットは、このアルバムから始まったんだと自分自身で納得したりしている。ボブ・ディランを聴いている人でジャックを知っている人はどれくらいいるだろうか。僕の場合は、ボブ・ディランを聴いていたが、そこからはジャックに辿り着けなかった。ジャックからウディ・ガスリーへは、割りと早く辿り着いている。この3人がとても密接に関係していることが、後になってわかってきた。その要因として考えられるのは、ボブ・ディランは、オリジナル曲を唄い、ジャックは、ウディー・ガスリーの曲や古くからの民族音楽を伝承している。この違いが、ボブ・ディランからはジャックへ戻れないが、ジャックからは沢山の音楽やアーティストに戻れるという事のようだ。ジャックの歌声は若いときと現在では、変って来ているが、エッセンスおいては全然変っていない。僕なりに「ジャックを聴くならこの1曲だ!」と言うのがある。それは「Muleskinner
Blues」という曲で、いくつかのジャックのアルバムにも収録されている。しかし「HOOTENANNY」(prestige
Folklore 14020)のは、凄かった。
HOOTENANNY |
この曲を聴いているとジャックの持つ僕にとっての魅力が「これなんだ!」と確信させられる1曲である。これまでに聴いたジャックのアルバムでベスト3を選べと言われるととても難しいが、一応こ
Sings the Songs
Woody Guthrie |
Live in Japan
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Kerouac's
Last Dream
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ういった事を書いているいじょう、選んでみるのも面白そうなので悩んだあげく、左記の3枚を選んでみた。いずれも最近になってコンパクトディスクにて復刻しているので入手しやすい。Kerouac’s
Last Dreamは、ボーカル、ギター、選曲と3拍子揃って最高に気に入ってる1枚だ。ジャケットの綺麗さや録音の良さでもベスト3に入れておきたい名盤だと思う。ジャックの事を書いたホームページはとても少なくて寂しいけれど、この手の音楽が好きな人は多いはずである。 |