♪Column - 今月のおすすめELLINGTONCD The FEELリーダー井上によるオススメCDの紹介。

連載第8回 (1999年3月)

AT NEWPORT

入手難易度 A
A:日本盤でほぼ入手可能(あなたの街のレコード屋さんで注文OK!)
B:洋盤でほぼ入手可能(タワーなどの大型店にはだいたい品揃え)
C:探せばほぼ見つかる(大型店を2〜3軒ハシゴしてください)
D:なかなか見つからない(”探す楽しみ”を味わえます)
E:入手困難(見つかればラッキー!”どうしてもほしい”という方は海外へ)

【伝説のテナー・ソロ、伝説の1枚】
エリントンのレコードの中で最も売れたのがこの1枚と言われています。
モダンジャズコンボの隆盛とともに「暗黒時代」と言われていたエリントンのビッグバンドが一夜にして「太陽」となったライブの録音です。すべてはDINMINUENNDO〜で、ポールが披露した27コーラスにおよぶテナー・ソロのお手柄と言われがちですが、約20年前にこの曲を作っていたエリントンの才能と決して「時代」を忘れていなかったエリントニアたちのプレイにも感銘せざるを得ません。
そのときエリントンは、いつものように芸術を追求し続け、いつものように音楽を表現していたのです。ただ、聴衆の関心がビッグバンドという「形」そのものから離れていたのです。そしてあの夜、それていた視線を強引なまでにたぐり寄せたのがポールのソロだったのです。まさに、エリントン・ルネサンス!

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【この1枚、この3曲】
1.DIMINUENDO AND CRESCENDO IN BLUE

ジャズ史上、いや音楽史上に残る演奏です。アレンジのなんたるか、ソロのなんたるか、そして感動のなんたるかを教えられる1曲。The FEEL と私にとって大きな目標の一つです。
2.FESTIVAL JUNCTION
このアルバムに収録されている5曲のうち4曲までがブルースで、この曲もそうなのですが、ジミーのクラリネットがおすすめです。後半結構盛り上がります。
3.JEEP'S BLUES
大御所登場!DIMINUENDO〜がONE FOR ALL なら、この曲は ALL FOR ONE が聴き所でしょう。ホッジスが怖いくらいに輝いています。

【もうひとこと...】
ライブ当日、誰とは言いませんが有名なモダンジャズコンボが大受けして、タイムスケジュールが大幅に遅れたことからエリントニアたちのイライラはつのり、演奏せずに帰ろうというモノまで出る始末。しかしその後起こったのが上の大事件!人生はわからないものです。DIMINUENDOの演奏後、観客の興奮が延々と収まらなかったことから、それを沈めるためにエリントンはたまらず予定を変更して I GOT IT BAD を演奏したとのこと。
・・・裏を返せばDIMINUENNDOはプログラム上、ライブの最後を飾っていたいわゆるメインの曲ではなく、それまで何度も同じように演奏していたモノで、(もちろんソロはこんなに長くはなかったでしょうが・・・)その日、いきなりブレイクしてしまったのです!! 
ちなみに当日は大雨。ひょっとして逆ハイ効果?!

【DATA】 (録音 '56,7 , Newport)
1.NEWPORT JAZZ FESTIVAL SUITE:
   Festival Junction
   Blues To Be There
   Newport Up
2.JEEP'S BLUES
3.DIMINUENDO AND CRESCENDO IN BLUE*

* : We can play. Please request !

 

DUKE ELLINGTON, piano; RAY NANCE, WILLIE COOK, WILLIAM 'CAT' ANDERSON, CLARK TERRY trumpet / QUENTIN JACKSON, BRITT WOODMAN, JOHN SANDERS trombone / JIMMY HAMILTON, JOHNNY HODGES, RUSSELL PROCOPE, PAUL GONSALVES, HARRY CARNEY, clarinet and saxophone / JIMMY WOODE bass / SAM WOODYARD drums