♪Column - 今月のおすすめELLINGTONCD The FEELリーダー井上によるオススメCDの紹介。

連載第7回 (1999年2月)

Duke Ellington presents...

入手難易度 A
A:日本盤でほぼ入手可能(あなたの街のレコード屋さんで注文OK!)
B:洋盤でほぼ入手可能(タワーなどの大型店にはだいたい品揃え)
C:探せばほぼ見つかる(大型店を2〜3軒ハシゴしてください)
D:なかなか見つからない(”探す楽しみ”を味わえます)
E:入手困難(見つかればラッキー!”どうしてもほしい”という方は海外へ)

【スタンダード エリントン!】
「エリントンは自分の曲ばかり演奏してスタンダードはしない」というのは嘘。
おそらく彼のナンバーだけでも充分に楽しめて目立つことから上のような噂が流れたのでしょう。で、実際に演奏してみるとこれまたエリントンの曲のようになっているではありませんか!?
エリントニア達のソロ然り、アレンジ然り、まさにエリントン・サウンド!
ひょっとして噂の主たちにはスタンダードに聞こえなかったのかも・・・?

【この1枚、この3曲】
1.Laura

ポールのバラードの真骨頂!ハイスピードのCottontailとは裏腹に、これでもかこれでもかと耳の裏側までゾリゾリっとくる感覚がたまりません。
2.My Funny Valentine
「ジミー・ハミルトンのクラリネットはクラシックみたい」という批判があったそうですが、キャット・アンダーソンのハイノート同様、エリントンには書かせない存在だったはずです。一見簡単そうですが、いざ吹いてみると彼のバラードほど演奏が難しいモノも珍しいことがわかるでしょう・・・
3.Indian Summer
待ってました!「パーカーがいなければ、彼がメインストリームになっていたかもしれない」とまで言われるラッセル・プロコープが歌いまくります。あらためて偉大な彼の一端を垣間見ることができます。

【もうひとこと...】
このアルバムは同じ時期にエリントン自身のスタンダードを演奏した「Historical Speaking」と双子的な存在だと思います。Newport Jazz Festival でのブレイク寸前のこの時期、まだ暗黒時代(と呼ばれていただけ)を引きずっていたエリントンが、明確にその姿勢を示したアルバムで、ブレイク後の「黄金のロード」を築く上での貴重な礎といえるでしょう。

【DATA】 (録音 '56/2, Chicago & Illinois)
1.SUMMERTIME
2.LAURA
3.I CAN'T GET STARTED
4.MY FUNNY VALENTINE
5.EVERYTHING BUT YOU
6.FRUSTRATION
7.COTTON TAIL *
8.DAY DREAM *
9.DEEP PURPLE
10.INDIAN SUMMER
11.BULUES

* : We can play. Please request !

 

DUKE ELLINGTON, piano; RAY NANCE, trumpet , violin, & vocal / WILLIE COOK, WILLIAM 'CAT' ANDERSON, CLARK TERRY trumpet / QUENTIN JACKSON, BRITT WOODMAN, JOHN SANDERS trombone / JIMMY HAMILTON, JOHNNY HODGES, RUSSELL PROCOPE, PAUL GONSALVES, HARRY CARNEY, clarinet and saxophone / JIMMY WOODE bass / SAM WOODYARD drums / JIMMY GRISSOM, vocal