♪Column - 極私的JAZZCD評 トロンボーン、早島大祐によるジャズCD評。
第21回(2004.12.12) - Chet Baker "Welcome Back 1987" (再発究体音像製作所、1987年)
「ずずずっ」というサブトーンは何もベン・ウェブスターに代表されるリード楽器の専売特許ではない。実は金管にも「ずずず」は存在する。録音の問題もあってなかなか名手のサブトーンを捉えたアルバムは少ないけど、印象的な演奏をあげると、tbでは例えばアル・グレイ。ベイシー楽団でフィーチャーされた”the more I see you”が有名だが、アルバム”truly wonderful”(STASH、92年)の「言い出しかねて」は忘れられない一曲。 ではtpは?。サブトーンはスイング系の人が得意なことが多いことからすれば意外だが、晩年のチェットのこの作品を挙げたい。アルバム”…&crew”(56年)や”chet
is back”(62年)ではぱりっと糊のきいた音を出していたが、本作ではなんとも官能的なサブトーンを聴かせてくれる。晩年のチェットはむらがあるけど、今作を再発した究体音像制作所はヨアヒム・キューンの復刻とかをしてくれたところだったから、これを信頼してレーベル買い?して大正解でした。
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