プロポーショニング・バイパス・バルブの交換
以前よりブレーキの前後バランスがいまいちと感じていたので,PBバルブを
弄りたいと思っていたが,ばらした後のエア抜きとかが面倒なので今まで手を付けずにいたが,
今回のキャリパーのオーバーホールの際にブレーキフルードを全部抜いたついでに弄ってみる事にしました(^^)。
これがプロポーショニング・バイパス・バルブ。
通称PBバルブとかPバルブと呼ばれています。
ご存知の通り,前後のブレーキバランスを調整するもので,
普通はフロントに対してリアの液圧を下げるようになっていますね。
その原理は図解されているものを見ても良く解りませーん(^^;。
でもその特性については整備書とかで調べてみると以下のような事が解りました。
NA6からNBにかけてブレーキバランスが変わってきている事は
雑誌等でも紹介されていたので,パーツリストと整備書や
雑誌等で調べた結果をグラフにまとめてみました。
とりあえずNA6とNA8とNBシリーズで部品番号が違っていますので
この3つを載せております。
グラフは横軸がフロントブレーキに掛かる液圧で,
縦軸がPBバルブを通って出力されるリアブレーキに掛かる液圧です。
見方としてはNA6を例に取りますと,青い線のようにフロントの液圧が30kgf/cm2
までは(黒の点;折れ点)縦軸のリアの油圧も同じですが,そこから減衰が始まり,
フロントが70kgf/cm2のところではリアが42kgf/cm2くらいまで液圧が下げられます。
グラフのNA6の値は整備書にも載っており,その減衰率は
(42-30)÷(70−30) = 12÷40 = 0.3
と言うことになります。
ここで70kgf/cm2と言うと,ブレーキペダルをどの位で踏んだ状態なのかを考えてみましょう。
整備書によるとインマニの負圧が500mmHgの時に20kgでペダルを踏むと液圧が53〜56kgf/cm2
とありますので,25kgのペダル踏力くらいになるかな?
では,25kgのペダル踏力は? と言うと体重計を使ってフルブレーキの感触を
再現してみると大体30kgちょいでしたので7割か8割くらいのブレーキ踏力といったところかな。
話が回りくどくなってしまいましたが,要はサーキットのようにμの高い路面とSタイヤの組み合わせでの
フルブレーキ時は100kgf/cm2の液圧が掛かり,芸北のようにμの低い路面とラジアルタイヤの
組み合わせでのフルブレーキでは70kgf/cm2くらいの液圧が掛かると推測されます。(たぶん(^^;。)
んで,肝心のおいらのNA8は,折れ点がNA6と同じ30kgf/cm2ですが
減衰率が異なり若干リヤの油圧がNA6より上げられているようでした。
(NA8の減衰率は良く解らなかったのでグラフの傾きは予想です(^^;。)
しかし始めにも書いたように,今まで乗ってきた感じではもう少しリヤのバランスを強くしたいので,
PBバルブの中のスプリングにワッシャーを噛ませてセット荷重を増やすことも考えましたが,
この場合ですとグラフで言う折れ点が上に上がるそうなのだが,どの位のワッシャーを
入れたらどの位まで折れ点が上がるかが良く解らないので今回この方法はパスしました。
そこで,またまたおいらのロドスタ在庫に10thNBのPBバルブが有ったので,
素直にNBのPBバルブを使う事にしました(^^)。
PBバルブのボルト部には部品番号が識別できる刻印がされています。
こいつはもともとおいらのNA8についていたやつなので『H380』と刻印されています。
交換する10thNBのPBバルブには『NC10』と刻印されていました。
この交換によって,NA8でフロントが70kgf/cm2のブレーキング時の場合,リアの液圧が
約45kgf/cm2から約55kgf/cm2へ上昇し,約2割ほどリアの制動力上がる事になります。
インストール後。取付けはサイズ的に何も変わらないので
単純に交換してエア抜きをするだけ。
交換後にちょいと走った感じではフィーリングが非常に良く,ブレーキング時の安定性が
結構上がったようで,芸北のような低μ路面でのブレーキングは去年よりかなり
楽になりそうです(^^)。