① つぼみ虫(ベニモンアオリンガ)の食害
さつきの花の咲かない最大の原因が俗称つぼみ虫、ベニモンアオリンガの幼虫による食害です。 成虫(蛾)は体長1.5センチほどで名前の通り薄緑色の地に薄い赤橙の斑紋を持っています。 成長すると1センチ程になる褐色に白斑のある芋虫が枝先の芯に潜り込み蕾だけを食べます。 蕾全体を食べるのではなく、横から錐で空けた様な穴を穿ち、つぼみ芯だけを食べます。 グルメというか拘り派の害虫です。 他の芋虫と異なり、胴に比して頭部が小さい体型をしています。錐で穿ったような穴を開けるのに適した体と云えるでしょう。
しかも、穴を開けるのは蕾の根元の部分です。こんな食べ方をするので食害を受けた蕾は暫く外見上は何の変化もありませんので発見し難く、蕾が褐色食に変色した頃は木全体が被害にあい、つぼみ虫は蛹になって根際などに移動していますので探しても見つかりません。
幼虫の発生時期は4月、6月、8~9月の年3回です。 4月の発生は開花の1ヶ月前で、秋から冬に充実した蕾が開花直前に褐色に枯れてしまいます。 6月の発生では蕾が枯れ、脇から新しい芽が出てきて食害を発見します。 この時期の食害は脇から出た新芽の先に再び蕾が出来ますので花数は少し少なくなりますが、その後の肥培管理が良ければ翌年の花は期待できます。 8~9月の発生、発生する害虫の個体数も多く、脇芽は出ますが蕾が出来ず翌年の花は期待できません。
駆除の方法は殺虫剤の散布によります。 他の害虫は見つけ次第に捕殺することが可能です。出来るだけ薬剤を使いたくないのですが、つぼみ虫は食害が起きているときに発見することが難しく、食害の被害に遭うと花がほとんど咲かないので薬剤に頼ることになります。
散布の方法も発生時期に定期的に行う必要があります。 一般的に使われている殺虫剤“スミチオン”が利きますが、散布して短期間しか薬効がありませんので5日ごとに一度散布する必要があります。 持続性のある“カルホス”は半月は薬効が続きますので本剤の散布が効果的です。 購入するのに印鑑が必要で、園芸店では扱っておらず専門の薬局や農協の売店で購入できます。 このように書くと恐れられますが、毒性が強いのでなく持続性が長いだけですので、スミチオンを何度も散布するよりも影響が少ないといわれています。 また、さつきの置き場の近くにつつじが植えられていましたら同時に散布しましょう。
② ツツジグンバイ
葉の裏に3ミリほどの軍配の形をした扁平な虫が寄生して樹液を吸引する。 吸引された葉は白い小さな斑点が絣のようになる。葉の裏には小さな黒い斑点の糞が付着する。
スミチオンやカルホスなどの食毒、接触毒の薬剤よりも浸透意向能力(薬剤が植物体に吸収され、樹液を吸った害虫を殺す)のあるオルトラン水和液、EPS(エストックス)を散布する。
③ ルリチュウレンジ
緑色に多数の黒斑がある小型の芋虫。枝先に群生し葉を食べる。
群生しているので見つけやすく、発見次第捕殺する。スミチオン、カルホスなどの薬剤を散布すれば容易に死滅する。
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