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スズメバチによる刺傷被害 |
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スズメバチによる刺傷被害の多発が,各地で大きな問題となっており,時には死亡事故も発生しています.厚生労働省の人口動態調査結果(2025年のデータが2026年9月30日に公表されました.)をみると,有毒動植物との接触の中では,ハチによる死亡者数が一番多くなっていますが,それでも2025年は16人に過ぎません. スズメバチが人を刺すのは,ほとんどが巣を守るためです.刺傷被害はいきなり発生するように思いがちですが,攻撃の前には働きバチによる警戒や威嚇行動を伴います.この段階で巣に気づけば,被害を未然に防ぐことができますが,これを無視したり,気づかずに巣に接近し過ぎると,しばしば刺傷被害が発生します.ただし,急激に巣に近づくなどして激しく巣を刺激した場合は,いきなり攻撃してくることがあります.
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スズメバチの巣では,警戒行動として常に門番(見張り役)のハチが巣穴から周囲を警戒しています.比較的攻撃性が弱いコガタスズメバチでは,静かに巣に接近すれば,1~2mまで近づいても攻撃してくることはありません. 一方,攻撃性が強いオオスズメバチやキイロスズメバチでは,静かに巣に接近した場合でも,数m~10m以内に近づくと働きバチによる威嚇や警戒の行動が見られます. 巣に近づきすぎたり軽い刺激を与えると,巣内から多数の働きバチが外に出てきて外皮上に止まり,触角をやや開き,翅を開き気味にした威嚇のポーズをとって歩き回ります.もう少し接近したり強い刺激を与えると,ハチは外皮上や付近を走り回ったり,周辺を飛び回りますが,静かに巣から離れれば興奮もしだいに収まり,2~5分後には順次巣内に戻ります. 更に巣に近づくと巣から飛び立った働きバチが相手に接近し,体にまとわりつくように周囲を飛び回ったり,相手に狙いをつけて空中で停止(ホバリング)します.その際には”ブンブン”という大きな羽音の他に,大顎を噛み合わせて出す”カチカチ”という大きな威嚇音を出します. この段階でも静かに巣から離れれば,攻撃を受けずにすみますが,さらに巣に近づいたり,手で払うなど急に体を動かしたりすると一斉に攻撃してきます.ただし,巣へ急に近づいたり,直接強い刺激を加えたような場合には,警戒や威嚇の段階を通り越して,いきなり攻撃してくることがあるので注意が必要です. スズメバチの巣に対する防御強度(攻撃性の強さ)は種により大きく異なっていますが,いずれの種も巣を刺激しない限り,いきなり攻撃してくることは稀です.オオスズメバチとキイロスズメバチは攻撃性が強く,巣の付近を知らずに通行しただけでも,しばしば刺傷被害が発生しています.秋口に集団刺傷被害の原因となるのも主にこの2種です. 攻撃性の強さは営巣規模と一致しており,一般に営巣規模が大きな種ほど危険です.攻撃性は強い方から,オオスズメバチ ≧ キイロスズメバチ ≧ チャイロスズメバチ ≧ モンスズメバチ ≧ クロスズメバチ > コガタスズメバチ > ヒメスズメバチの順になっています. オオスズメバチやキイロスズメバチでは,巣に10m程度まで近づくと威嚇行動が見られます.性質が比較的温和なコガタスズメバチでは,2m程度まで近づいても威嚇されることは稀です. また,巣を刺激した場合の追跡距離は,攻撃性の強い種ほど長く,オオスズメバチとキイロスズメバチでは30m程度,他の種ではそれ以下となっています.スズメバチの飛行速度は種により異なっていますが,通常30~40Km程度(100mを12秒から9秒で飛ぶ)とされています.たとえ追跡距離が短い種であっても,走って追跡から逃げ切るのは難しいので,くれぐれも巣を刺激しないよう注意する必要があります. |

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名古屋市におけるデータでも,刺傷被害の発生率(それぞれの駆除件数に対する被害の発生件数の割合)は,オオスズメバチ 23.7%,キイロスズメバチ 23.6%といずれも高い割合であるのに対して,コガタスズメバチ 7.2%,モンスズメバチ 5.4%,と低く,ヒメスズメバチは 1.8%とさらに低くなっています. |

(名古屋市生活衛生センター調べ)
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コガタスズメバチは比較的攻撃性が弱く,通常は巣に振動を与えたりして刺激しなければ1~2m程度まで近づいても攻撃されることはありません.しかし,ひとたび刺激を加えると一斉に攻撃してくるので注意が必要です.ヒメスズメバチは巣を直接刺激しても刺すことはほとんどありませんが,威嚇性が強く体にまとわりつくように周囲を飛び回る習性があります. ただし,同じ種であっても,コロニーの発達段階,巣への干渉(いたずらなどで投石を受けたり,何らかの理由で刺激を受けた巣),オオスズメバチの飛来(秋口にオオスズメバチが飛来すると,オオスズメバチの集団攻撃に対する警戒心が強まる),女王バチの有無(女王バチが死亡するとしばらくの間巣内の緊張が高まる)などによっては警戒や反撃する行動が高まり,素早い攻撃を加えてくることがあるので注意が必要です.攻撃性の強弱に関与する要因についてまとめると以下のようになります. いずれの種も巣に物理的な刺激を加えなければ,かなり近くを繰り返し通行してもハチは人間に関心を示さないばかりか,逆に反応を示さなくなることが知られており,営巣場所の状況次第ではハチとの共存も可能です. |


(名古屋市生活衛生センター調べ)

(名古屋市生活衛生センター調べ)
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刺傷被害(以下被害)の大半は8~10月の3ヶ月間に発生し,中でも9月が最も多くなっています.名古屋市ではこの3ヶ月間に約80%が発生しています.被害の発生はコロニーの発達状況とよく一致しており,いずれの種も巣が大きくなり活動が活発となる時期ほど危険です. また,8~10月には,オオスズメバチが他種のスズメバチの巣を集団で攻撃し,幼虫や蛹を餌として持ち帰ります.その前段階として偵察バチが飛来するようになると,キイロスズメバチやモンスズメバチでは巣全体が神経質になり,人が巣から数m~15m以内に近づくと攻撃してくることがあります.
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