小股(こまた)取っても勝つが本(ほん)。
解釈:勝つことがまず大切で、そのためには不正なやり方でもやむを得ない
ということ。「小股取る」とは、股に手をかけて倒すことから、油断を見澄ま
して勝つことをいう。
類義:足小股取ってなりとも儲ける工夫。勝てば官軍。小股潜(くぐ)りも
勝つが本。尻くじっても勝ったが手。
独楽(こま)の舞い倒れ。
解釈:自分一人だけ張り切って働いた挙句、結局大してできないうちに疲れ
て力が尽きてしまうことのたとえ。
ゴマメの歯軋り(はぎしり)。
解釈:無力な者が憤慨すること。
類義:蟷螂(とうろう。カマキリ)の斧。
小娘と小袋は油断がならぬ。
解釈:綻(ほころ)びやすくて目が離せないという意。
類義:五反の豆畑に垣はできても、十六娘の垣はできぬ。糠袋(ぬかぶくろ)
と小娘は油断がならぬ。
虚無僧(こむそう)に尺八。
解釈:何時も必ず付いている物のたとえ。「虚無僧」とは、普化宗(ふけし
ゅう)の有髪の僧で、昔、尺八を吹きながら諸国を行脚(あんぎゃ)した。
類義:坊主に袈裟(けさ)。
小村(こむら)の犬は人を噛む。
解釈:弱小の者は、とかく世間慣れせず、ひがみ勝ちであるというたとえ。
類義:蜀犬(しょくけん)日に吠ゆ。
米食った犬が叩かれずに、糠(ぬか)食った犬が叩かれる。
解釈:大きな悪事を犯した者は罪を逃れ、それに関わり合った小さな罪を犯
した者だけが罰せられることのたとえ。
類義:糟(かす)食った犬は見付からないで、笊嘗めた犬が見付かる。雑魚
ばかり網にかかる。皿嘗めた猫が科(とが)を負う。笊嘗めた犬が科被る。呑
舟(どんしゅう)の魚を逸す。
米の飯と女は白いほどよい。
解釈:女は色が白いのが一番よいということ。
類義:色の白いのは七難隠す。
米の飯と天道様(てんとうさま)は、何処へ行っても付いて回る。
解釈:何処(どこ)へ行っても食べていくことはできるということ。失敗し
た土地を去るときなどに言う言葉。
類義:神は口のある者に食を与えざることなし。此処ばかりに日は照らぬ。
天道様は回り持ち。人間到る処に青山(せいざん)あり。
米の飯に骨。
解釈:美味しい物の中に味を損なう物が混じっていること。上辺は親切そう
だが、底意地が悪いたとえ。
類義:旨い物に砂。笑みの中に刀を研ぐ。笑中に刀。白ままに骨がある。餅
の中の籾(もみ)。
米の飯より思召し(おぼしめし)。
解釈:ご馳走も有り難いが、呉れた人の志がもっと有り難い。物の大小より
も、心の籠った物が人から喜ばれるということ。
類義:食うた餅より心持。志は髪の筋。
米屋は三度目に変えよ。
解釈:米屋は、最初のうちはサービスがいいが、慣れてくると悪い米を売り
付けるようになるという意。昔、米屋はあくどい商売をしたので悪く言われる
ことが多かった。
類義:米屋と質屋は三代続かぬ。
米を数えて炊ぐ(かしぐ)。
解釈:米粒を一つひとつ数えてから召しに炊くという意。詰まらないことに
手数をかけること、こせこせしていることのたとえ。
子持ち二人扶持(ににんぶち)。
解釈:乳飲み子(ちのみご)を持つ母親や妊婦は、沢山食べるということ。
栄養を子に分けるので、沢山食べなければ体が持たない。
類義:子持ちの腹には宿無しが居る。
子持ちの腹には宿無しが居る。
解釈:乳飲み子を持つ女や妊婦がいくらでも物を食べることのたとえ。
類義:子持ち女は荷附馬でも通る。子持ち二人扶持。子持ちの盗み食い。子
持ちの腹に藁(わら)を込め。
子持ち腹(こもちばら)千貫。
解釈:懐妊している女の腹というのは、千貫もの値打がある。
子、養わんと欲すれども、親待たず。
解釈:親の生きているうちに孝行せよという意。いざ親を養おうと思っても、
親はそれまで待っていてくれないものである。
類義:風樹(ふうじゅ)の歎(たん)。
子故(ゆえ)の闇に迷う。
解釈:親は子供可愛さのあまり、理性を失って正しい判断ができなくなり勝
ちである。
類義:親の目は贔屓目(ひいきめ)。子に迷う闇。子故に迷う親心。子を思
う親。
子より孫が可愛い。
解釈:自分の生んだ子に対する愛よりも、孫に対する愛には一層溺れやすい
こと。
類義:子より孫の可愛さ。孫は子より可愛い。
五里霧中(ごりむちゅう)。
解釈:広さ五里四方に亘る深い霧の中で方角が分からなくなるように、迷っ
て判断がつかないこと。
五両で帯買うて、三両で絎(く)ける。
解釈:本筋の事よりも、それに付随する物の費用の方が嵩(かさ)むことの
たとえ。
類義:一升の餅に五升の取粉(とりこ)。
これに懲(こ)りよ道才坊(どうさいぼう)。
解釈:これに懲りよというのを調子よく言う言葉。意味よりもリズムを楽し
む。
類義:恐れ入谷の鬼子母神。これにこりよとんさい坊。
頃は三月、夜は九月。
解釈:一年中で最も気候がよい時は、陰暦三月の暖かい日と九月の涼しい夜
である。
転ばぬ先の杖。
解釈:失敗しないように、予め用意しておくこと。
類義:石橋を叩いて渡る。後悔先に立たず。倒れぬ先の杖。濡れぬ先の傘。
用心に怪我無し。用心は前にあり。
参考:Light your lamp before it become dark.(暗くならないうちに灯を
点けよ)
衣の袖から鎧(よろい)が見える。
解釈:僧衣(そうい)の袖口から、下に着けている鎧が見えること。話し方
は穏やかでも、力で抑え付ける姿勢を示すことのたとえ。
衣ばかりで和尚はできぬ。
解釈:形だけでは何の役にも立たないこと。また、外見だけで人物を判断し
てはいけないということ。
類義:衣は僧を作らず。数珠(じゅず)ばかりでは和尚はできぬ。
反義:馬子にも衣装髪容貌(かみかたち)。
参考:The dress does not make the fair.(ドレスを着ただけでは美人にな
れなぬ)The beard does not make the philosopher.(顎鬚があるだけでは哲学
者にはなれぬ)
衣を染めるより、心を染めよ。
解釈:衣服を着飾ることよりも、信心を大切にせよということ。
類義:頭剃るより心を剃れ。
転んでの尻挟み(しりばさみ)。
解釈:何事も初めによく用意してかからなければならないというたとえ。失
敗した後から準備しても何にもならない。
類義:火事の後の火の用心。転んで後のどっこいしょ。葬式帰りの医者話。
反義:転ばぬ先の杖。
転んでもただでは起きぬ。
解釈:どんなことにも必ず何か利益を得ようとすること。欲が深い者のたと
え。また、機敏な者のことにもいう。
類義:こけた所で火打石(ひうちいし)。こけても馬の糞。こけても砂。こ
けてもただは起きぬ。転んでも土を掴む。倒れたら土掴め。
コロンブスの卵。
解釈:誰にも可能な簡単なことでも、最初に実行することは難しいというた
とえ。アメリカ大陸発見後の宴席で、大陸発見くらい誰にでもできると言われ、
コロンブスは、卵を立ててみよと言った。皆が試みてできなかった後、コロン
ブスは卵の尻を潰して立てて見せ、新大陸発見もこれと同じだと言ったことに
よる。
怖い物見たさ。
解釈:怖いと言われている物はかえって見たくなるものだということ。
類義:恐ろしい物と、汚い物は見たい。怖し見たし。見たい物の恐ろしさ。
碁を打つより、田を打て。
解釈:詰まらぬことに時間を潰さず、仕事に精を出せということ。
類義:詩を作るより田を作れ。
子を知ること、父に若(し)くは莫し(なし)。
解釈:子の性質や長所短所は、父が誰よりもよく知っている。
類義:子を視ること、親に如(し)かず。
子を棄てる藪はあるが、身を棄てる藪は無い。
解釈:子供よりもわが身が可愛いということ。困窮した挙句、わが子を捨て
ることはできるが、自分の身を捨てることはできないものである。
類義:子を棄つれども、身を棄てる藪は無し。身を捨つる藪は無い。
子を棄てる藪はあれど、親を棄てる藪無し。
解釈:貧乏して子供を捨てることはあっても、親を捨てる訳にもいかないと
いうこと。親に対しては一生孝行すべきであるというたとえ。
子を視ること、親に如(し)かず。
解釈:わが子の性質や長所短所については、誰よりも親がよく知っていると
いうこと。
類義:子を択ぶこと父に如くは無し。子を知ること父に如くは無し。
反義:親の欲目。自分の子には目口が明かぬ。
子を持って知る親の恩。
解釈:親の有り難さは、自分が親になり、子を育てる立場になって初めて身
に沁みて分かるものだ。
類義:子を持てば親心。子を持たねば親の恩を知らず。子を養いて、方(ま
さ)に父の慈を知る。
子を持てば七十五度泣く。
解釈:親は子のために絶えず心配や苦労をしているものだ。
類義:子を持って泣かぬ親は無い。
言語道断(ごんごどうだん)。
解釈:もってのほかである。とんでもない事でる。言葉では言い尽せないほ
どひどい誤りのこと。仏教の真理は言葉では説明できない、の意から転じてこ
ういう。
今昔(こんじゃく)の感。
解釈:今と昔とを思い比べて、その相違の甚だしさに心を打たれること。
用例:二十年前の校舎と比べて今昔の感に堪えない。
権者(ごんじゃ)にも失念。
解釈:どんなに偉い人にも失敗や物忘れはあるものだというたとえ。「権者」
とは、神や仏が人々を救うために仮に姿を変えてこの世に現れた人のことをい
う。
類義:河童の川流れ。孔子(くじ)の倒れ。弘法(こうぼう)にも筆の誤り。
釈迦にも経の読み違い。
根性(こんじょう)に似せて家を作る。
解釈:人間は、その人の心に応じた考えを持ち、行動するものである。
類義:蟹は甲羅(こうら)に似せて穴を掘る。根性に似せて家を住まう。
渾然一体(こんぜんいったい)。Harmonious.
解釈:別々で幾つかの異なった物が溶け合って一つになり、区別がなくなる
こと。また、その様。「渾然」は「混然」とも。
蒟蒻(こんにゃく)で石垣を築く。
解釈:不可能なことのたとえ。
類義:蒟蒻で岩欠く。蒟蒻の楯に築きたるよう。擂粉木(すりこぎ)で腹を
切る。
蒟蒻は体の砂払い。
解釈:蒟蒻を食べると腹の中や睾丸に溜まった砂を取るという俗信。
類義:蒟蒻に砂。
蒟蒻を馬に付けたよう。
解釈:ぐらぐらして安定しない様。
類義:蒟蒻の幽霊。
権兵衛(ごんべえ)が種蒔きゃ、烏が穿る(ほじくる)。
解釈:人が一生懸命にやった事を、直ぐ後からぶち壊すこと。
参考:続けて「三度に一度は追わずばなるまい(俗謡)」という。
紺屋(こんや)の明後日(あさって)。
類義:紺屋(こうや)の明後日。
紺屋の白袴。
類義:紺屋の白袴。
金輪際(こんりんざい)の玉も拾えば尽きる。
解釈:どんなに難しい事でも、やってできないことはないというたとえ。
「金輪際」とは仏教用語で、虚空(こくう)の世界を支えている金輪・水輪・
風輪の三輪のうち、金輪が水輪に接している部分をいう。転じて、物事の窮極
を表す意味に用いる。
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