21e 万葉歌、萌芽期から終焉までの秀歌百五十選
3877 紅クレナイに染めてし衣雨降りて にほひはすともうつろはめやも
(巻十六・豊後国トヨクニノミチノシリの白女郎アマの歌)
痩せたる人を嗤笑ワラふ歌二首
3854 痩す痩すも生けらばあらむをはたやはた 鰻を捕ると川に流るな
(巻十六・有由縁・大伴家持)
3959 かからむとかねて知りせば越の海の 荒磯アリソの波も見せましものを
(巻十七・弟の喪を聞き・同)
4109 紅はうつろふものそ橡ツルハミの なれにし衣キヌになほ及シかめやも
(巻十八・史生シシャウを教え諭す・同)
4409 家人イヘビトの斎イハへにかあらむ平らけく 舟出はしぬと親に申マヲさね
(同・防人の悲別の情ココロを陳ノぶる・同)
4184 山吹の花取り持ちてつれもなく 離カれにし妹を偲ひつるかも
(巻十九・留女リウジョの女郎より送る)
防人サキモリの歌
3567 置きて行イかば妹はまかなし持ちて行ユく 梓アヅサの弓の弓束ユヅカにもがも
(巻十四・未勘国の歌)
天平勝宝七歳乙未イツビの二月に、相替りて筑紫に遣はさるる諸国の防人等が歌
4321 恐カシコきや命ミコト被カガフり明日ゆりや 草カエがむた寝む妹なしにして
(巻二十・国造丁ヨホロ長下郡の物部秋持)
4322 我が妻はいたく恋ひらし飲む水に 影カゴさへ見えてよに忘られず
(同・主帳丁若倭部身麻呂)
4346 父母が頭カシラ掻き撫で幸サくあれて 言ひし言葉ケトバぜ忘れかもつる
(同・駿河国の防人部領使コトリヅカヒ守云々)
4373 今日よりは顧みなくて大君の 醜シコのみ楯タテと出で立つ我は
(同・駿河国火長今奉部イママツリベ与曽布)
4401 韓衣カラコロモ裾に取り付き泣く子らを 置きてそ来キぬや母オモなしにして
(巻二十・信濃国他田舎人ヲサタノトネリ大島)
4417 赤駒アカゴマを山野にはかし捕りかてに 多摩の横山徒歩カシゆか遣らむ
(同・上丁ジャウテイが妻の宇遅部ウチベノ黒女)
4425 防人に行くは誰タが背と問ふ人を 見るがともしさ物思モノモヒもせず
(同・昔年サキツトシの防人の歌)
4466 磯城島シキシマの大和の国に明らけき 名に負ふ伴の緒心努めよ
(同・族ウカラを諭す歌 大伴家持)
4468 うつせみは数なき身なり山川の さやけき見つつ道を尋ねな
(同・病に臥して 同)
4483 移り行く時見るごとに心痛く 昔の人し思ほゆるかも
(同・六月二十三日に 同)
天平宝字元年十一月十八日に、内裏ウチにして肆宴シエンしたまふ歌二首
4486 天地を照らす日月の極みなく あるべきものを何をか思はむ
(同・皇太子ヒツキノミコの歌)
448 いざ子ども狂タハわざなせそ天地の 堅めし国そ大和島根は
(同・内相ナイシャウ藤原朝臣奏す)
二月に、式部大輔ダイフ中臣清麻呂朝臣の宅イヘにして宴ウタゲする歌十五首
4508 高円タカマトの野辺延ハふ葛の末スエつひに 千代に忘れむ我が大君かも
(同・中臣清麻呂朝臣)
三年春正月一日に、因幡イナハの国の庁にして、饗アヘを国郡の司等に賜ふ宴の歌
4516 新アタラしき年の初めの初春の 今日降る雪のいやしけ吉事ヨゴト
(同・守カミ大伴宿禰家持)
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