航空機砂漠不時着に関する考察


テレビを見ているとき、息子が聞きました。

飛行機で、砂漠に落ちたらなにを持ち出すか?

サバイバルキットだ。

そうじゃなくて、水か、コンパクト、パラシュート、地図(航空写真)、コンパス、塩、ウォッカ、懐中電灯のうち一つ

じゃ、水だな。しかし、状況によっても違う!

ふぅ〜ん!?

何でそんな事聞くのか?

―ここから話が始まりました。―

答えは、「コンパクト」だとのこと、異議を唱えます。

何の為にその物を持ち出すのかとの質問が何を意味するのかが不明です。

その質問が、サバイバルという事であると仮定して考察します。


息子から聞いた条件

飛行機が、飛んでいるときに、アメリカの砂漠に不時着し炎上した。不時着した地点の150キロメートル離れた所に町がある。
このとき、一つ持ち出すとしたらキミはなにを持ち出すか?
但し、コンパクト、パラシュート、水、地図(航空写真)、コンパス、塩、ウォッカ、懐中電灯の内の一つ


与えられた持ち出し可能物がサバイバルにどう利用されるのか見てみる。

コンパクト  鏡を利用し、自分の存在を捜索しにきた者に知らせる合図・連絡

パラシュート 衣服、ロープ、泥水等をこす、包帯、テント、捜索隊への合図・目印、燃料

地図とコンパスセットで 移動すべき場所の確認及び移動 現在地の確認

塩      かなり長期間行うサバイバルに役立つ

ウォッカ   大人の気晴らし、体温の維持、燃料、傷の消毒 

水      生命維持、興奮状態の緩和、傷等の洗浄

懐中電灯   照明、連絡、通信(モースル信号)、レンズを使用し発火  


次に、この条件の場合、捜索が必要であるのか、救助を要するのか、
その時間、手段を考えたとき以下のことが上げられる。

1. 救助にはそれほど時間を要しないこと 町が近いこと、連絡していること(後に記載)

2. 救助に使われる移動手段は、車及びヘリコプターであること

3. 炎上しているので、不時着地点を容易に発見出来ること

*捜索は不要であり、救助に関する件で不安はないといえる。


とすれば、何を考えるか?

生存者の状況を考える。

搭乗員がいれば、なにを持ち出すかを考慮する必要はないので、この場合搭乗員は、不時着するまでは生存し

(不時着したのであるからそれまでは操縦していた。)爆発炎上により全員死亡したものとみなす。

サバイバルにつき、知識のある者であるのか、又は、全く知識がない者なのか?

条件に、キミとあるので、テレビ等で少しは知識のある中学生と仮定する。

航空機不時着、しかも爆発炎上という事態で、生存者はパニック状態に置かれている。

ただでさえ「のどの渇きを覚える環境」に加え(昼夜は不明)、不安を覚える心理状態の中で、「よりのどの渇きを覚える事」は確実である。

とすれば、与えられた持ち出し可能物より選択するとなると「水」となる。

しかし、これは「結果」の分かっている状態での回答である。


では、簡単に航空機の飛行及び今回の条件下での救助についてみてみることにする。

航空機・・・ 自家用・営業用を問わず、離陸したからには必ず着陸しなければならない。

今回の航空機の離陸地・着陸予定地は不明である。飛行目的も不明である。

作業のための飛行であるとすれば、中学生を乗せている事は稀であることから、作業のための飛行であるとするには一般性を欠き無理がある。
移動のための飛行と考えることが妥当と考える。

移動のための飛行であるならば、自家用・営業用、航空機の大小、航空機の国籍、着陸予定地点は、考慮することを要しない。

問題となるのは、事故発生時が、離陸直後であるのか、着陸態勢であるのか、ある程度時間を経過しているのか、夜なのか昼間なのかである。
事故発生時間は不明であるので、どちらにも対応できる状態を想定し進める。

離陸直後・着陸態勢であれば、容易に事故であることが判別でき、その対応は迅速に行われ、サバイバルということにはならないことから、
離陸してからある程度時間が経過している飛行中と思われる。

離陸より時間が経過している飛行中となると、それなりの飛行高度を維持している。

飛行高度が有り、何らかのトラブル発生時のパイロットの行動として、先ず、飛行高度、機速、方向を維持する事に務める。
機速を維持すると言っても、いままで飛行していた機速ではなく、失速しない程度の機速である。

次にそのトラブルの箇所、原因、ダメージの大小を調査する。
自力回復が不可能であり、飛行不能・不時着と判断したら、緊急通信用周波数により、トラブル発生、飛行不能であること、
自機のコールサイン、位置、高度、飛行速度、飛行方向を発信する。
また、不時着を決断したのであれば、不時着する事・不時着予定地点を連絡する。
これにより、管制空域内にある全管制塔に連絡が伝わり、且つ、航空局保安部にも連絡が行き、救助体制が整う。
この空域内の全管制塔は、この航空機をレーダーにより、その高度・位置を注目することになる。
よって、不時着地点は、それほどの誤差なく判別できる。
不時着までに時間があれば、管制塔と交信することが可能であり、逐一状況を報告する。
航空機にはGPSが搭載されている。(航空機の大小、自家用・営業用を問わず、義務づけられている。)

不時着地点の近隣の警察署、消防署に対し救助の命令が発せられ、救助に向かう。

アメリカであれば、警察、消防署にヘリコプターを備えている可能性は高い。

不時着地点が不明であれば、回転翼で捜索するよりも、固定翼による捜索となるが、不時着地点が判明しているため、
生存者の救助に重点が置かれ、不時着地点に容易に着陸できる回転翼が使用される。

つまり、生存者を捜索する際の飛行高度はそれほど高くないということである。
捜索・救助する方から、生存者を目視できる高度で飛行することになる。

これにより、生存者から航空機に対して合図するに必要と思われる「コンパクト」を持ち出しする価値が失われる。

パラシュートの用途とは、発見の目印となること、体温維持、簡易テント、ロープ等の役割であるが、これを使う状況的必要はない。

よって、パラシュートも除外できる。

地図(航空写真)・コンパスは、自分のいる位置が把握できて初めて役立つものであるし、一つでは殆ど要をなさないので除外する。
コクピィット以外で自機の位置を確認することは不可能に近い、ましてや砂漠となると完全に不可能だ。

ウォッカと塩は考慮の必要はない。

懐中電灯は、暗闇の中であれば、不安な心理を和らげるに役立つが、航空機が燃えているため、燈にすがるという心理状態を排除することができる。
やや価値を失う。

さて、救助するに時間を要し、天候が悪い場合を考える。

航空機での救助が不能であるが、近郊の町から車で救助に来る。
GPSの情報により、これもそれ程の誤差を生じない。
すなわち、救助に要する時間は24時間を超えることはないと考える。(町まで150キロ)

先にも述べたが、不時着地点は判明している。
爆発炎上したのは、脱出後である。

その現場より移動してしまえば、発見の可能性が低くなるが、やはり、生命を維持するに務める事が必要となる。

最長救助必要時間にもよるが、気分を落ち着かせるために「水」は欠くことができないと考える。

一番肝心なことは、高度をある程度とっている航空機に対し、鏡により合図する事を容易であると考えている事は問題である。

周りが反射する光りを確認できる環境であれば、その光りを追いかけることにより目標を捕らえることはたやすいが、
反射する光りを追いかける事のできない砂漠において、それをやることはむずかしい、
しかも、上空に向かってとなると、それに関する知識がないと不可能に近い。

ましてや、捜索にくる航空機は、都合よく飛行しているとは限らない。
飛行する方向により、光りを送ることができない状況もある。
そうであれば、より発見を容易にするものは、パラシュートである。

視界をさえぎる物の少ない砂漠において、しかも周りの色が同一であるため、そこに他と違う色のパラシュートを拡げて置くことは、
上空からの発見を助ける。
しかし今回の条件では、捜索を重視しないため不要と考えられる。

よって、「水」という回答を導き出した。


* 昨晩、生活ノートを見て、急ぎ作った文章でありますので、 誤字脱字、理論的に説明を欠く所があるかと思います。お許しください。

また、説明不足の点、疑問点はご質問下さい。

持ち出し可能物を一つに絞るとなると、選択する者の経験・知識によりさまざまだと思います。

今回の場合、「何も持ち出さなくても良い」というのが私の結論です。

それよりも、爆発による被害から身を守り、爆発が一段落したら、その場に止まり救助を待つことが大切であると思います。

無駄な体力消耗を避け、救助を待つことも大切なサバイバルです。

大変おもしろい命題でした。

なぜ、「コンパクト」であるかお聞かせいただければ幸いです。


*教師に送った私の意見書です。しかし、これに対する回答はありません。