モル日記22


何やってんの という声で振り返った。

確か車庫の隅に、砂遊びに使おうと思ってもらってきておいたビニール管があったと思った。

曲がったものや蛇腹になっているもの、大きさはバラバラだが、現場で余ったものをもらってきておいた。

「うん、ビニール管があったと思ったんだ」

「そこじゃなくて、物置にしまってあるよ」

一度に出すと、けんかの元になるし、飽きてしまう。

小出しにして、遊ばせるのだという。

あった、あった。

何をするのかと言うので、

モルモットはつながって移動するが、先頭はいつも決まっているのか?

状況によって変わるのか?

全く関係なく、ただそこにいたから先頭になったのか?

直線的なところだけではなく、曲がっていても通過するのか?

起伏があったらどうなのか?

池に橋をかけたら、それを渡るのか?

本当に迷路にしたら、そこを通過できるのか?

この疑問を解決したい。

電車の代わりにモルモットが走り回る鉄道模型のようなものを作ってみたい。

と話した。

あぁ〜!良い天気だ。といいながら向こうへ行ってしまった。

さて、どこへ作ろうかと庭を見渡した。

植木や花壇があるから、思うようには作ることは難しい。

設計図みたいなものが必要だ。

庭の配置図を書いた。

先ず池の位置を決めなくては、池をどこにするか

そうだ、池にかける橋は何を使って作ろうか?

まっ、それより全体的な位置を決めてから、細かいところへ移ろう。

ここに池を作って、池の後ろはやっぱり山があった方が良い。

池と山の間に、この蛇腹のヤツをくねらせておいておく、これは面白い。

山には緑がないと画にならない。

模型雑誌に出ている鉄道模型を走らせるジオラマを思い浮かべて図面らしきものを作った。

おぉ〜!なかなか良いです。

「ねぇ〜!どうこれ!?」と嫁に渡した。

平面図ではイメージがわかない。

よく分からない。

どうでも良いという。

そう言われても仕方がない。

我同士が帰ってきたら、自慢することにした。

待っているときは、なかなか帰って来ない。

 

「なんだこれぇ〜!」兄の声がした。

「兄ちゃん、これ池だ!」

「そんなの、ここに、(いけ)って書いてあるだろ!」

帰宅したら、良い具合に同士が帰って来ている。

居間のドアを開けた。

二人して

「これなんだぁ〜!?」

「父ちゃん、これなんだぁ〜!?」

「ふっ、ふっ、ふっ、ふっ、なんでしょう?」

あぁ〜、これです。これがないと、話してもおもしろくない。

うぅ〜ん!優・越・感

さて、じっくり引っ張ってから、話してやろうと思った。

「モルのお庭だってよ」

通りすがりにそう言って、嫁が台所へ入っていった。

「おぉ〜!えぇ〜!ああぁ〜!」 盛り上がっている。

せっかく、愉しめると思ったのに、なんだよ!

どうなってるんだ。

これはなんだ。

何時できるんだ。

誰が、どうなってるだ。

これ!だれんだ!

兄ちゃんが、ここで、お前は、ここ

ここに基地を作って、あっちに川を作って、・・・

まて、これは、俺が考えて作るんだから、お前達は・・・・

「よし、俺たちもやろう」

「うん、兄ちゃん!」

ドッ・ド・ドと部屋にいってしまった。

こういう時は、早い、団結する。

あれよ、あれよと言う間に話が進んだ。

俺の設計図はどうなるんだ。

後を追いかけようとした。

「放っとけば!」 嫁がいう。

いろいろ説明して、盛り上がろうと思ったのに、これじゃ、つまらない。