「予はこれほどに波乱万丈にして有意義な二日間を知らなかった。」

独立極東方面隊 マーク・グレイダー総督

独立極東方面隊ASCS従軍記 99年 抜粋

ASCS'99奮戦記

1.TPO(手賀沼条約機構)ASCS派健軍


それはTPO部隊長会談で決定された。

例年になく本年度はTPO内部での参加希望者が多いので、

本年度も二回目の無理を承知な二部隊編成参加が決定した。

ドイツ軍部隊を中心とする第一部隊とDHC・我々・クラフト混合の第二部隊、

第一部隊の司令官はDHC総統にしてTPO代表議長のオカ総統閣下。

そして総督が第二部隊の当初の司令官であった。

しかし、総督は以前勤務していた会社での不摂生極まりない生活が祟り、

急性胃潰瘍と急性十二指腸潰瘍を併発し26年の人生最大の危機に見舞われた、

この後におよび調整役が主な業務の総司令官の職はストレスが多く激務な為、

総督は無念さを感じつつも名誉職である総司令官職を辞退、

DHC本隊の司令官である望月中将閣下にその後任を託す形に成った。

急に身の回りが静かになった寂しさを感じつつ、

相変わらず何時になるか解らない参加決定報告を期待しつつ、

自部隊の搬送装備を、確認手配する毎日が始まった。

やはり参加決定報告は予想を裏切らずに一週間前に到着した。

参加決定を確認してから出ないと用意しかねる物も幾つか有る。

平日の為購入活動ができぬ部分を家族に助けられつつ装備の最終拡充を完成する。

今年はシースルーテントが都合二張りで自部隊参加8人には有り余る収容能力を確保、

例年の反省から高地にての昼食調理の難しさを十分に考慮した献立(非常な手抜き)、

我々の存在をアピールする広報用資材の製作。

これらを一週間にてほぼ完了させいよいよ現地入りを果たす。


2.派遣軍全隊、赤城SA集合


予てよりの打つ合わせに従い各部隊が集合場所の関越自動車道・赤城SAに集合する。

今回の我々の輸送計画は総督専用車に計3人、

第一特殊攻撃隊隊長で副司令官のPowered Suit大尉が3人、

山岳特殊攻撃隊隊長のデューク・東郷隊長が2人の計8名である。

特に総督専用車は指名重大で、広報担当官ひゅーい・りーん隊員を回収した後に、

次のセドリック・シーマを隊回収して所沢から関越だ!!

おっと!その目にドンキホーテに行かないとならないのだ。

最後の準備品としてテフロン加工のプライパンと、卵2パックと食パン四斤を購入しなければ。

毎年出発前準備が完全でない当隊も、ここまで準備が間に合わなかったのは今年が始めてである。

我々の3台が赤城SAに勢揃いしたのは8月21日の早朝03:00を回っていた。

TPO関係車両では、なんと隣のPAに集合していたPowered Suit大尉の車両が一番遅く、

TPOの現地到着の妨害をしていた事は取り合えず伏せておこう。

03:30にTPO派健軍全車両が赤城SAを出発、現地の駐車場には05:00頃に到着した。

毎年のような不親切極まりない案内表示板を頼りに何とか到着。

良く見ると宿泊施設とは程遠い僻地の駐車場。

また今年もこんな扱いかといまさらながら落胆する。


3.ASCS'99初日


総督は完成していなかった総司令部の縦看板の製作を開始し様としていた。

と、その時。

DHCの望月中将閣下が予てからの計画道理に現在TPO組織内に3枚ある軍旗を、

セーフティエリア内の陣地に掲揚をする為の下準備を開始していた。

「ジオン公国」を自称し続けてきた我々の存在異議足る軍旗を用意せねばならない。

総督がそう思ったその時、悲劇が起きた!!

うわ!っ!!

一瞬にして総督はその驚異的な頭脳の中でこの先出来あがるであろう空虚な空気と、

今回協力を惜しまなかった山岳特殊攻撃隊デューク・東郷隊長への言い知れぬ罪悪感、

総司令官の身分に有りながらヤラカシテしまった自分への怒りとも似つかない嫌悪感。

総督は立って居られなかった。

「済まん!我々の命の大軍旗を家に起き忘れてきてしまった。」

彼の口から吐き出された言葉は車内で仮眠を取る隊員に気が付かれもせず、

その場に居た隊員達を凍りつかせた。

ヒューーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー・・・・

とてつも長い時間に感じられた。

総督の良くも悪くも1番の理解者である広報担当官ひゅーい・りーん隊員が、

意外にも建設的な意見と協力的な態度を取ってくれた為、

総督は押し寄せる自己嫌悪感からどうにか開放された。

この後に及んではこの縦看板だけが唯一の見世物。

「かっ!必ず完成させてやる!」

妙に気合の入るアホ総督を今更に見捨てる訳に行かない可哀相な立場の、

広報担当官ひゅーい・りーんと山岳特殊攻撃隊デューク・東郷隊長は、

諦めたかの様に細かな作業を手伝ってくれた。

看板に張りつける文字が切り取れていない状態なのだ!急いで切ろう。

(書き看板でなく貼り文字看板を製作しているのだ。)

相変わらず一人だけ活き上がる総督にいいかげん出鼻を挫かれた両名、

奇妙な看板作くりが開会式間際まで延々続いた。

司令部のテントに掲げる大軍旗を市販品のショボイ物で代用する事にして、

唯一の自己主張の縦看板は会場移動開始30分前にようやく完成した。

実に2時間に及ぶ作業が終了した。

会場入りしてこのような作業を行っているのは我々以外には当然居なかった。


毎年のように使用火器の点検作業を終了し自慢の収容能力を構築する。

テントが二張りも有ると収容人数に余裕が有りとても良い。

シースルーテントの設営は慣れているので難無く完了。

元山岳警備隊のデューク・東郷隊長の手馴れた指導で非常に効率良い動きが出来ている。

今年はとても良いと感だと思いつつ再び自己嫌悪に浸る総督。

あれにはためく軍旗が大軍旗ならばどんなに幸せだったろう。

「はぁ〜〜〜」 意外にしつこくシンデレラシンドロームに浸る総督。

良い天気に気分の踊る隊員達と正反対に相変わらず失敗を密かに引きずり、

意気の上がらない総督、この人も体外しつこい。

しかしそんな総督も一様良いことが有った。

ASCS’93で同じ部隊になり意気投合した「チーム・ゼロ」の方々との、久々の再開が果たせたのだ。

意外なことに本年度も再び同部隊に成っていたらしく話が弾む。

彼らと我々は共に主張するところの、多趣味異色系サバイバルゲーマー理論で共通見解があり、

協力者としてなかなかなチームである。

我々としても非常にやりやすい。

しばらく時間がたってからの事。

テントに戻ると某不祥事続きTV局が取材に訪れてきていた。

目の前の「シュヴァルツ」が案の上総攻撃を受けていた。

あれだけの見た目に高価な(彼らは特別に自前の為安価)ドイツ軍の制服が、

あれだけそろっていればビジュアル的にTV局が放って置かないのは無理もない。


我々は開会式前にTPO・ASCS派遣軍の出帥式を厳粛なムードの中行った。

今回はASCSにTPOの構成部隊が全部隊で参加した記念の意味を込めた式典である。

全員が与えられた部分で声を合わせて怒号を挙げる!

「TPO最っ高ぉ!!!」「ビバ!もっちー!!」

余り全体で練習は出来なかったが良識有る20才以上の大人なのでそこそこ揃えられる。

すると、濃い目の「シュヴァルツ」の取材で精魂尽き果てたTV局が、

我々の発する怒号を聞きつけてやって来た。

逃げろ逃げろ!変なことを話して全国ネットで放映されてしまって、

某筑紫氏に嘲笑されたくないぞ!総督はそうそうに姿を隠す。

こんな時司令官をして居るとしょうがなくインタビューに答える必要がある。

総司令官を解任されて良かったと妙に思えたのは事実である。


出帥式が終了すると各隊の自由行動がみとめられる。

早速恒例の昼食にしなければ。

総督は部隊全員で同じ物を食うことをASCSでの1つの課題と考えている。

今年は食費を1人頭500円計算で徴収するつもりで居たが、

総司令官の行った大罪のせめてもの償いとして無料奉仕する事を宣言した。

高地では沸点の低下の為に例年のレトルト調理法は毎年に様に苦戦を強いられてきた。

今回はこの調理方法を不採用として炒め物をする事として、

スクランブルエッグと食パンとコーヒーの非常にシンプルな食事と成った。

ここで先日深夜にドンキで仕入れたフライパンが活躍するのだ。

テフロンのフライパンはどんなに安物でも10回は本当に油要らずで調理が出着る。

おかげで例年のような膨大な時間が掛からずに速やかに食事を完了する事が出来た。

総督の目論見はほぼ成功を収めた。


いよいよ開会式である。バンザーイ!!いよいよリーグ戦開始である。

これまた意外なことにリーグ戦は「ジオン軍」6年連続第一試合休憩である。

休憩の部隊は部隊写真撮影をするので開会式後その場に残る。

本来ならば3つの隊旗が集合写真の後ろを飾る筈なのに・・・

再びシンデレラに成る総督。

しかしそんな彼を誰一人として慰めるものは居なかった。

我々の1試合目の対戦相手はなんと同じTPOの「シュヴァルツ」である。

彼らは身内ながらあっぱれな古式銃部隊のドイツ軍部隊だ。

最新鋭火器の我々TPO派遣軍本隊に火力で対抗できる筈もない。

ふふふっ、貴官らには悪いが快勝させて頂こう。

密かにほくそえむ総督がそこに居た。


突然だがリーグ戦は終わった・・・

余りに悲惨な結果なので割愛させていただく。

※詳しく知りたい方はクラフト・フェルトHPかDHC・HPのレポートを参照下さい。


はっきり言ってやはり総督は250vs250の方が興味が有るのだ。

リーグ戦の順位は二の次なのさ!などと負惜しみをする。

もうすぐ250vs戦の時間だ!わくわくわく!

しかし、そんな総督の願いは豪雨の為に打つ砕かれた。

「こりゃ、駄目だな。」

潔く観念して雨に濡れる他隊の隊員を見ながら、

「今年はテントが二張りも有るからな、余裕だぜ!君達は濡れて居なさい。」

そんな高飛車な事を考えつつ椅子でくつろいでいると、またまた悲劇が起こった!

神がまさに「傲慢なる者よ悔い改めなさい!」と言わんばかりに、1つのテントが倒壊する。

まさに滝のような豪雨の中総司令官として陣頭に立ちテントの復旧に尽力を尽くす。

あ〜あ!テントで余裕こいている筈なのに結局パンツまでびしょ濡れだよ。

そんなこんなで当然初日の250vs戦は中止。

くそ!!!死なしてやる。誰を?


無理矢理着替えてホテルに逃げるように急ぐ。

こうなったら安眠を貪るのみ!

げ!げっ!気が付けば食事制限時間が迫る。

雨のせいでホテル行きが送れた為に時間が余裕ないぞ!

満足に休息も取れずに仕方なしに食堂に急ぐ。

後で聞くととても不評だったホテルの料理、

総督の口には余り合わず、大食漢の総督が余りガツガツ食べずにデザートに走る。

そんな時、友軍の「死ね死ね団」の隊長一行が挨拶に来られた。

死ね死ね団は我々にとって救世主的存在である。

彼らとの交流も今回のASCSの目的の1つである。

隊長とは始めての顔合わせで会えて良かった。


いよいよ部屋に入ってくつろぐ事にした。

風呂は小型のユニットバス、こんなものに入れるか!!

大浴場に行くぞ!!

号令一家201号室の4人は大浴場に向かって行進する。

久々に風呂で足を伸ばす。極楽極楽!(^.^)

部屋に戻るとジロウ隊員が余り多くの者に気が付かれて居なさそうな乾燥機を、

探し出していて挑戦してくると言い出した。

豪雨の為に参加者の多くは一張羅の迷彩服をぬらして居た。

乾燥機はどこもフル操業中だ。だいじょぶかな?

ジロウ隊員の帰還を待たずに総督は深い眠りについてしまった。


4.ASCS’99二日目


おお!目が覚めた。

いいぞ!体調がいい感じだ.昨日大金を払って大風呂に行ったおかげで大した筋肉痛もない、

気が付けば高齢者の割に(一番若く見える)軽快な動きが感心のジロウ隊員が既に起きていた。

ジロウ氏曰く「お前ら乾燥機から帰ってきたらもう寝ているんだもんな〜〜。」

「汚ねーよ。手前等に先に寝られたらいびきがうるさくてこっちは寝られやしねーよ!」

「特に隣のこいつだよ!こ・い・つ!けっ!(蹴り蹴り)」

ジロウ氏は未だ御気楽極楽な寝顔のオイヤマ大尉の寝マグロを蹴り飛ばしていた。

朝食は再び朝からフライドホテトが積み上がる某ガストのモーニングビュフェのような、

こてこての手抜き料理のオンパレード。

取り合えずまともそうな鮭の切り身を食す。

これはわざわざ新潟県の苗場に有るホテルが東京の冷凍食品会社の倉庫から、

わざわざ搬送してこなくとも地元の冷凍物で済まされそうな食材なので、

劣悪な扱いを受けている我々でも地の物を食せているのではないかと、

淡い期待が寄せられる数少ない食材であった。

正直鮭はうまいと感じたが、もしかするとまんまとホテル側に謀られて居るかもしれない。

再び車に乗り込み二日目の予定の為に駐車場へと急ぐ。


会場には昨日の豪雨の時に手間を取らせてくれたテント君が気丈にも建ち続けていた。

リーグ戦最終戦、既に決勝進出の夢破れた我々に取りそんなものどうでも良かった。

しかし、ここに何時も役に立たない一人の突撃野郎が闘志を燃やしていた。

その男はPowered Suit大尉。

大尉は当隊随一のハンドガン野郎なのである。

リーグ戦にハンドガン戦が有り尚且つ最終試合で2日目の予定の為、

去年のような2日目雨天中止を最も恐怖していた男だ!。

それに付けて前日の豪雨である、あれは本当に酷かった。

倒壊したテントの建て直し作業でバケツ転倒級の豪雨に打たれ、

パンツを濡らしている時の彼の心には恐らく去年の悪夢が再び思い起こされていただろう。

「ハンドガン戦がやれて良かったな大尉。」

等と柄でもない事を考えつつ、試合開始のホーンが鳴り響く。

総督はハンドガン戦が苦手である。すぐに戦死した。

Powered Suit大尉も程なくセーフティに帰ってくる。

最終戦も負けた。

「おい!Powered Suit大尉!あんなにやる気なのに何で負けたんだ!貴様が20人殺せば済むことだろう。」

等と無茶を言う。

我々のリーグ戦はこれで終わった。


いよいよ250vs250の激戦が始まる。

楽しみだ!いや、しかし我々には掲げるべき大軍旗がない。

久しぶりにブルーな気分に浸る総督で有る。

おお、見れば今回の両軍大将は女ではないか!。

え〜〜い!O編集長め!このスケベ野郎が等と思いつつ陣地に移動する。

こんな事なら某TV局の場違いな所に来て鳩豆顔のインタビュー姉ちゃんを大将にしてやれば良いのにと思った。

某富士TV局のアナも大将に迎えられれば代理戦争で面白いのに等と考える。

TV局の代理戦争でサバイバルゲーマーをかき集めた大会なども面白いな。

500人規模での4つ巴の陣地戦などを良い感じで戦闘すれば、

とても見栄えの良い放送ドキュメントが撮影できそうだが。

総司令官を所ジョージ氏にしてもらえば文句無しの企画になるぞ。

今年は自分等の軍旗を持たなかったので部下達にTPOの軍旗の警護を命令し、

自分は一人高台で戦闘見物をしていた。

折り悪くバッテリーが切れてしまい突撃しようと思ったが止めにした。

「今年は思ったよりも大人し目でしたね」

そんな感想が頭をよぎる。

来年は派手に行こうと心に誓った。


閉会式後に駐車場で我々以外のジオン系の戦闘団に声を掛けた。

我々が元祖5年物のパイオニア・ジオン軍と知り少々恐縮しているようだった。

来年は彼らも親しく声を掛けてくれる事であろう。

同じ趣旨なのだから大同団結をしなければ。

その旗頭は我々を置いて他には存在しないのだ!

責任を持って彼らのためにも元祖ジオン軍を続けなければ成らないと思った。

本当に来年は元祖の意地を示すべく豪華にやろうと思う。


会場を後にして遅い昼食と祝賀会を兼ねてファミレスに立ち寄った。

今回の会食は総督のおごりなので皆満足げに食べていた。

デューク・東郷副指令曰く「関係各隊にTPOは非常に評判良いですよ!」

こう言う大掛かりなイベントでこそその部隊の真価が評価されるもの、

当然と言えば当然だが、言われるとまたうれしい評価だ。

デューク・東郷副指令は当隊に席を置かれるのが惜しい位の業界通の大物ゲーマー。

彼が我々を見捨てずに行動を供にしてくれているだけで十分光栄なのだ。

しかし、隊員はそんな事情を知らないので気楽な感じで盛り上がっている。

こんな感じが続くと良いな等と考える総督だった。


 

雨と落ち 雨と消えにし サバゲかな

            苗場の事も 夢のまた夢 

独立極東方面隊 マーク・グレイダー総督

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