平成16年6月1日
                    社団法人 全国乗用自動車連合会
財団法人 全国福祉輸送サービス協会
                   社団法人 シルバーサービス振興会

「ケア輸送サービス従事者研修」の実施について


(社) 全国乗用自動車連合会、(財) 全国福祉輸送サービス協会は、(社) シルバーサービス振興会とともに3団体主催で、ケア輸送サービス(高齢者や障害者等に配慮した輸送サービス)に従事するタクシー運転者向けに、「ケア輸送サービス従事者研修」を実施することと致しました。

この研修は、平成163月に国土交通省が示した、セダン型車両による患者等輸送事業の許可条件、NPO等による有償運送の許可条件(通称NPOガイドライン)に例示された「ケア輸送サービス従事者研修」です.。




お問い合せ・お申し込み 

 財団法人総合健康推進財団 ケア輸送サービス従事者研修係

      〒105-0011 東京都港区芝公園 2-6-8 日本女子会館1階

         TEL 03-5777-2754 
         FAX 03-5777-2753
         E−mail  shirasaka@e-care-college.com
           URL:   http://www.soukensui-kikaku.com




ケア輸送サービス従事者研修が生まれた経緯

 

 厚生労働省は、急速な高齢化に伴い、高齢者や障害者の外出を支援するサービスの重要性が高まったことを背景に、平成12年度に「福祉輸送(移送)サービス従事者に対する研修カリキュラム等の調査研究事業」を社団法人シルバーサービス振興会に委託しました。

 

委託研究事業では、車いす対応車両だけでなく一般のセダン型タクシー車両を対象とした、マンツーマンの対応サービスとして福祉輸送(移送)サービスを位置づけ、その質の向上、量の拡大を図ることが早急な課題であるとして、検討委員会が設置されました。その結果、平成13年3月に、福祉輸送(移送)サービス従事者に必要な教育内容について具体的なカリキュラム内容を含む報告書が作成されました。

 

 この事業成果に基づき、福祉車両だけでなく一般のセダン型車両も含めた輸送サービスを「ケア輸送サービス」と呼び、その従事者向けの研修が生まれました。福祉と輸送に関する分野の専門家から構成される検討委員が作成したカリキュラムは、ケア輸送サービス従事者に必要とされる基礎的知識から実践的技術まで体系的に学習できる内容となっています。

 

調査検討委員会委員名簿

委員名

所属・役職(平成12年当時)

◎田中 荘司

東海大学健康科学部 教授

池田 恵利子

社団法人日本社会福祉士会 会長

植村 英晴

日本社会事業大学社会事業研究所 助教授

岡本 八重子

社団法人全国乗用自動車連合会 労務課長

川村 巌

財団法人全国福祉輸送サービス協会 会長

齋藤 修

東京都高齢者施策推進室保健福祉部 在宅サービス課長

田中 雅子

社団法人日本介護福祉士会 会長

豊田 建

国際医療福祉大学国際医療福祉総合研究所

新津 ふみ子

ケア・コーディネーション研究所 所長

(オブザーバー)

厚生労働省老健局振興課

 

 

ケア輸送サービス従事者研修の位置づけ

 

 平成16年3月に、国土交通省から「セダン型車両による患者等輸送事業の許可条件」「NPO等による有償運送の許可条件(通称NPOガイドライン)」が示されました。本研修は、この中で例示された「ケア輸送サービス従事者研修」です。

 

■患者等輸送事業を行なう方々について

セダン型車両による患者等輸送事業を行なう場合の許可

 要介護者・要支援者・身体障害者・独立した歩行が困難な方等を移送する患者等輸送の「事業許可等の取扱い」において、従来、使用する車両は福祉車両に限定されていましたが、今回の通達でセダン型車両の使用も認められました。

セダン型等の一般車両を使用する場合にあっては、介護福祉士や訪問介護員、居宅介護従事者の資格を有するもの、又は本研修の修了者が乗務すること」が必要となっています。

 

■訪問介護事業所の指定を受けた旅客自動車運送事業者(患者等輸送事業の許可を受けた訪問介護事業所を含む)の方々について

訪問介護事業所の指定を受けた旅客自動車運送事業者(患者等輸送事業の許可を受けた訪問介護事業所を含む)が、訪問介護員等の自家用自動車による有償運送を行なう場合の許可

 訪問介護事業所の指定を受けた旅客自動車運送事業者(患者等輸送事業の許可を受けた訪問介護事業所を含む)が行なう訪問介護サービス等と連続して、サービス利用者の輸送を行なう場合、サービスを提供する訪問介護員等が所有する自家用自動車を使って有償運送を行なうことができるようになりました。

 この場合、運転を行なう訪問介護員等は、安全運転講習、及び本研修等のケア輸送サービスに係る講習受講または受講する具体的な計画があること」が必要となっています。

■NPO等福祉有償運送に携わる方々について

 

NPO等非営利法人の福祉有償運送の許可

 

 NPO法人等非営利法人が、要介護者・要支援者・身体障害者・知的障害者等で単独では、公共交通機関の利用が困難な移動制約者に対して、福祉車両を使った有償運送を行なうことが認められました。(セダン型車両については、特区のみ)

 この場合、運転者は普通第二種免許の取得が基本となりますが、これによりがたい場合は、安全運転講習、及び本研修の修了者」等が乗務することが必要となっています。

 

ケア輸送サービス従事者研修の概要

 

1.目 的

   高齢者等の増大かつ多様化するニーズに対応し、自動車を使用した高齢者・障害者向けの移動を手助けする適切なケア輸送サービスを提供するため、必要な知識、技能を有する従事者を養成し、もって高齢者等の自立の促進および介護者の負担の軽減を図ることを目的とする。

2.主催団体

   社団法人シルバーサービス振興会/社団法人全国乗用自動車連合会/

   財団法人全国福祉輸送サービス協会

3.後援団体

   財団法人全国老人クラブ連合会/社会福祉法人日本身体障害者団体連合会/
   社会福祉法人全国盲人会連合

4.対象者 普通自動車免許取得者(受講前2年間運転免許停止処分を受けていないこと)

5.受講定員 1コースあたり50名程度 

6.学習方法

・通信教育(レポート提出3回(22時間相当)+確認テスト)

・集合研修(8時間×3日(23時間))

        7.使用教材 
 ケア輸送サービス従事者研修テキスト

本研修では、この研修のために作成した専用テキストを使用し、高齢者・障害者等に関する基本的知識及びタクシー車両を使用した実践的介助技術の修得を図ることとしています。
 

8.修了証書

通信教育におけるレポート課題及び確認テストに合格し、集合研修全科目に出席した
受講生に対して主催3団体から修了証書及び研修修了者が乗車する車両に表示する
ためのマークが交付される

9.受講料 1名につき50,000円(税込み・テキスト代含む)

  ※教育訓練給付制度の支給条件を満たし、受給申請される方は、修了後受講料の一部

(受講料の4割〜2割)がハローワークから支給されます。

0.福祉に関する資格者に対する受講免除

  ・免除対象者:介護福祉士・訪問介護員1・2級課程修了者
  ・受講免除部分:通信教育レポート提出1回及び集合研修1日目の受講
   (受講が必要な部分は、通信教育レポート提出2回+集合研修2日間)
  ・受講料:1名につき40,000円(税込み・テキスト代含む)

  ※受講免除者の教育訓練給付制度の活用は、現在申請中のためお問い合わせ下さい



ケア輸送サービス従事者研修の特徴

 

 特徴1  福祉・輸送(移送)分野の専門家が作り上げた研修内容・テキスト

   本研修は福祉・輸送(移送)の専門家がケア輸送従事者のために作り上げた体系的な学習プログラムであり、教材についても、本研修のために作成された専用テキストを使用します。

 特徴2  通信教育を取り入れ受講者の参加利便性に配慮

   質の高いケア輸送サービスを提供するためには、ある程度の学習期間が必要となりますが、受講者の状況を考えると多くの日程を研修にあてることができないケースもあります。そこで本研修では、学習内容を落とさずに参加しやすい研修とするために通信教育を取り入れました。

 特徴3  集合研修の講師陣は、各科目に適応した専門職が対応

   高齢者や障害者への対応といっても、車いす利用者、視覚障害者、聴覚障害者等多岐に渡り、現場で指導にあたっている専門性も異なります。このため質の高い指導を行なうためには、各科目に適応した専門職が講師になることが必須です。

本研修では、車いす利用者に関する科目→理学療法士、視覚障害に関する科目→視覚障害者歩行指導員等、聴覚障害者→手話通訳士等という形で科目ごとに必要な専門性を有する講師が担当します。また、必要に応じて障害を持った方による指導も行なっています。

 特徴4  遭遇する場面を想定した実践的な実技指導(障害者対応も充実)

   集合研修における実技指導は、セダン型車両や福祉車両に対応し、ケア輸送サービス従事者が現場で遭遇する場面を想定した実践的な接遇・介助の方法を学習します。

   また、高齢者や車いす利用者の対応だけでなく、視覚障害者や聴覚障害者等の対応についても十分な時間をとって実技指導を行ないます。

 特徴5  消防署による「普通救命講習修了書」を取得できる

   ケア輸送サービス従事者は、いざという時、救命救急の対応が必要となるケースも考えられます。本研修では、カリキュラムの一部に消防署による普通救命講習を盛り込み、救命救急のための対応方法について学習します。
この受講により参加者は、「普通救命講習修了書」が取得できます。 

特徴6  修了者の質の維持を図る確認テストを実施

   本研修では、受講しやすさに配慮して通信教育を導入していますが、修了者のレベルの維持、向上を図るために確認テストを実施しています。
  (正解率7割以上が合格、不合格の場合は追加レポートの提出(合格)が課せられる)

特徴7  修了者には車両表示用マークを交付

   ケア輸送にかかわる知識や技術を習得した修了者が活躍するためには、利用者にと
ってわかりやすい表示が必要と考えました。本研修修了者には、主催団体の修了証書
とともに車両表示用マークを交付しています(商標登録済み)。

特徴8  福祉に関する資格者には免除科目を設置

   本研修は、福祉に関する知識を持っていない方でも、基礎から学習できる内容となっていますが、既に訪問介護員2級課程等を受講された福祉に関する資格者に対しては、免除科目を設け、学習内容が重複しないよう対応するとともに、受講しやすさに配慮しています。

  ※受講免除対象となる「福祉に関する資格者」については、3頁の「福祉に関する資格者に対する受講免除」を参照下さい。

特徴9  後援団体と連携した修了者の社会的認知の向上

   本研修は、サービスを利用する高齢者及び障害者の団体に研修の主旨を賛同いただき後援団体となっていただいています。今後、財団法人全国老人クラブ連合会等の後援団体と連携し、修了者の社会的認知の向上に向けたPR活動を進めていきます。

  ※修了者による任意団体の全国ケア輸送士会が平成15年7月に設立され、主催団体と連携してPR活動等を進めることとしています。

 特徴10  教育訓練給付制度の活用で受講料の一部を補助できる

   本研修は、厚生労働省の教育訓練給付制度の指定研修となっています。教育訓練給付制度の支給条件を満たす方がこの制度を活用すれば、修了後受講料の4割〜2割の支給をハローワークから受けることができます。

  ※受講免除者に対する教育訓練給付制度の活用については、現在申請中ですので、お
問い合わせ下さい。




学習方法と内容

1.通信教育:レポート提出3回(3ヶ月間以内に提出)

(1)学習方法

   テキストを学習し、設定された問題集の問題に解答し、郵送で提出します。 

(2)学習内容

   ケア輸送サービスを提供するための基本的な知識(福祉とケア輸送の基本的な知識、利用者の心身の理解)からサービス提供の方法や留意点、車両の運転・管理や事故の対応等について学習します。 

   〔通信教育カリキュラム〕

大項目

中項目

サービス提供の基礎知識

・福祉サービスの基本視点※

・社会福祉の制度とサービス※

・ケア輸送サービス概論

サービス利用者の理解

・医学・医療・看護の基礎知識※

・障害・疾病の理解※

・高齢者・障害者(児)の生活・行動と心理※

サービス提供の方法と周辺知識

・ケア輸送サービス遂行上の留意点

・建築物内外を移動する際の留意点

車両の運転・管理と事故防止

・車両の運転・管理と事故防止

   ※印は、福祉に関する資格者に対する免除科目

2.集合研修:23時間+通信教育確認テスト(8時間×3日間)

(1)学習方法

   予定された日程・会場に集合し、実技やグループ討議等を中心に学習します。

(2)学習内容

  ・高齢者・視覚障害者・言語障害者・聴覚障害者・車いす利用者等の対応について、ケア輸送サービス従事者が実際に遭遇する場面を想定し、実技指導を行ないます。

・セダン型だけでなく福祉車両に対応した車両の乗降介助の実技を行ないます。

  ・緊急時の対応については、消防署による「普通救命講習」を実施します。(受講者は、普通救命講習修了書を取得できます。)

  ・グループ討議を通じて事例検討を行い、現場でのより良いサービスの提供について考えます。

  〔集合研修カリキュラム〕

   1日目:8時間

科目

時間

主な内容

車いす利用者・肢体不自由者への対応技術@

(基本的な内容)

3時間

・実技・実習を受ける際の心構え

・車いす利用者・肢体不自由者とのコミュニケーション上の留意点

・車いすの乗車体験

・車いす利用者の介助

(臥位から車いすへの移乗・車いすでの移動の介助)

高齢者及びその他の障害者への対応技術

1時間

20分

・高齢者・障害者とのコミュニケーション上の留意点

 (高齢者・痴呆高齢者・言語障害者・その他の障害者とのコミュニケーション上の留意点)

居宅での介護技術

3時間

40分

・居宅での介護技術

(排泄の介護・衣類の着脱)

   ※福祉に関する資格者は、1日目の受講を免除

 

2日目:8時間

科目

時間

主な内容

通信教育確認テスト

1時間

・確認テストの実施

・正解の開設

サービス従事者の健康管理と緊急時の対応@

20分

・サービス従事者の健康管理(腰痛の原因と予防)

・ケア輸送サービスにおける緊急時の対応(降雨、降雪、積雪地頭の対応)

車いす利用者・肢体不自由者への対応技術

4時間

・車いす利用者の乗降車の支援(セダン型・福祉車両)

・肢体不自由者の歩行の介助・乗降車の支援

・介助により歩行が可能な利用者の乗降車の支援

・移動・移乗事例検討(車いす利用者に関する接客・接遇)

視覚障害者への対応技術

2時間

40分

・視覚障害者とのコミュニケーション上の留意点

・視覚障害者に対する事前説明

・視覚障害者の歩行の介助・乗降車の支援

・移動・移乗事例検討(視覚障害者に関する説客・接遇)

 

3日目:8時間

科目

時間

主な内容

聴覚障害者への対応技術

2時間

40分

・聴覚障害者とのコミュニケーション上の留意点

・聴覚障害者に対する事前説明(手話・筆談等)

・移動・移乗事例検討(聴覚障害者に関する接客・接遇)

サービス従事者の健康管理と救急時の対応

3時間

・消防署による普通救命講習

ケア輸送サービスにおける接客接遇の心得

2時間

20分

・トラブルや事故を防ぐための留意点

・ケア輸送サービスにおける接客接遇の心得(乗車(ベッド)

から降車(目的地)までの基本的態度/乗車中の配慮)

・利用者からの苦情・要望への対処

  

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