●自転車と歩行者には交通ルールがない |
|
天津では歩行者と自転車は交通ルールを守らなくていいらしい。車の前を突然横断しても誰も文句を言わず
堂々としている。これは天津ではあたり前で、車は歩行者と自転車を避けながら蛇行して走ることになる。
初めて天津に来た人(中国人を含む)にはまったくの無法地帯に見えるであろう。我々も最初は怖くて道路の
横断ができなかった。
慣れとは恐ろしいもので、私も今では横断したい場所はどこでもゆっくりと天津人のように胸を張って歩いている。
車は効果のないクラクションを鳴らしながら、我々を避けるように通り過ぎて行く。天津には歩行者と自転車の
交通ルールがあるとはとても思えない。小学校では教えているらしいが、その子供たちを送り迎えする親が
ルールを守らないので、話にならない。ロープにつながれていない散歩の犬も飼い主を見習って上手に道路を
横断していく。
但し、これは天津のことで、北京や上海で同じような横断をするとたいへんである。なぜなら、いい車が多く、
速度も早いので、危険なのだ。
|
●天津は自転車天国 |
|
天津は自転車天国である。ほとんどが平地であり、バス以外の公共交通機関がないために市民の主な足は
自転車である。一説では中国で自転車の最も多い街が天津だという。当然自転車工場も多く、電動自転車
もたいへん普及している。街の角ごとに修車という看板を掲げた露天の自転車修理屋が店を開いているのも
うなづけるくらい自転車が多く、それもあまりきれいな新しいものが少ない。常に修理が必要になってくるような
自転車が多いのである。街角の修車おじさんたちの手際のよさは格別で、パンクなどはあっという間に直して
しまう。日本では、すぐに捨ててしまうような古自転車の部品も大事に保管しており、難しい修理もなんでも
ござれのエンジニア?である。
⇒2006年の6月にかつてあった地下鉄が大改修されて、地下鉄1号線として開通したが、やはり、市民の足は
自転車が主流である。
|
●車の運転は荒っぽい |
|
天津郊外の道路での車の運転は極めて荒っぽい。そんなに急いでもしょうがないのに、猛烈なカーチェイスを
展開する。反対車線を使ったカーチェイスは当たり前で、前方から来る車をスレスレで避けながら飛ばしていく
快感をみんなが楽しんでいるようだ。市街地は歩行者と自転車をよけなければならないためスピードは出せない。
その反動かもしれない。
天津の車に欠かせない三種の神器は、よく効くブレーキ、クラクション、パッシングライトではないだろうか。
ドアが壊れていても、エンジンから悲鳴が聞こえても没問題。なんとか走ればいいのである。運転の上手な
運転手にめぐまれるとこんな状況でもゆっくり居眠りができる。下手な初心者の運転手に乗ってしまったら、
いつ死んでもいいという覚悟が必要である。
|
●交通法規は守らなくても可 |
|
中国では自分の体は自分で守るのが当たり前。交通法規が自分を守ってくれるとは誰も思っていない。
自分の体は自分の責任で守るのがあたり前という割切り方が普通らしい。命の値段がいくらかわからないが、
たぶん日本と比べると格段に安いだろう。だからこそ自分の身体は自分で守るということになるのである。
たまに公安(=警察)がいる交差点でも、人と自転車は例外らしく、公安は車にのみ注意警告する。
警官は歩行者と自転車を見ていないようだ。いや彼らの眼には見えていないのかも知れない。
バイクのヘルメット着用は法律で決まっているらしいが、冬場以外はほとんどの人がヘルメットを着用していない。
冬は寒いので、防寒のためにヘルメット着用バイクが増える。しかし、夏場は暑いので、ほとんどが
ノーヘルである。バイクの2〜4人乗りもいいらしい。前に1人、うしろに2人の4人乗りバイクが走っていても、
全く不自然ではないのが天津の町である。
|
●交通事故現場は常に現状保存 |
|
天津にはスピードの出る車は少ない。従って交通マナーが悪くてもあまり大事故は起きないが、小さな事故は
そこら中で頻発している。事故が起きたら公安が来て事情聴取、事故調査が済むまで、どのような状態であれ
現状を保存しておかなければならない。大渋滞が発生していても車を脇にどかすようなことはしない。
じっと待っているのだ。当然のごとくやじ馬で黒山の人だかりになる。渋滞にはまった後続の車は何とかこれを
すり抜けようと必死になって歩道を走ったり、逆走したりする。道路が結構広いので、反対車線を逆走することも
天津では珍しくない光景である。
|
●事故の被害者はお金が必要 |
|
「事故にあって怪我をしたら救急車で運ばれて応急手術」というのは日本では常識だが、中国ではその常識は
通じない。救急車は日本のようにただでは乗せてくれない。いくらかかるかわからないけど乗るには金が要る
らしい。病院での手術も金を持っていないとすぐに手術はしてもらえない。家族が手術費用を持ってくる間に
手当てが遅れて死んでしまうというケースがよくあると聞く。天津の町を歩く時は常に大金を持って歩くべきか
迷うところである。
⇒日本は火事と救急の電話は同じ119だが、中国では火事は119、救急は120となっている。
日本とは異なり管轄が違いようだ。
|
●歩道は駐車場 |
|
天津のレストラン、ホテル、ショッピングセンターの前の歩道は駐車場である。歩道は人が歩くためではない
らしい。当然ながら、人は車道を歩いている。この駐車場には専属の駐車整理員がおり、原則として
2〜3元の駐車料金を徴収する。天津では歩道を歩いていて、後ろからクラクションを鳴らされて車に追い
立てられることはよくあることだけど、ビックリしないように。「歩道は安全」は通じない世界だ。
|
●タクシーは中国で最も安い? |
|
天津にはボロボロの軽のワゴン車(面的)のタクシーが走っている。通常は5人まで乗車可能で、更に雨が降ったり
すると後ろに自転車を乗せて走ってくれるというたいへん合理的なタクシーである。ほとんどが廃車寸前といって
いいような車なので、冬は当然隙間風がモロに入ってくる。2005年末にはこのタクシーはなくなるらしいので、
いまや貴重な存在かもしれない。値段も初乗り3kmで5元(約65円)とたいへん庶民的である。
ところが、2006年8月10日に天津のタクシーの初乗り料金が突如として値上げされた。天津市物価局が8月7日に
発表して、実施は10日というほとんど予告なしの値上げで皆戸惑っていた。理由は燃料価格の高騰に対する
調整とのこと。これまで、初乗り3kmが5元(約65円)という中国でも非常に安いタクシー料金が、8元(初乗り)と
いっきに60%も上がったわけである。たいへん急な値上げのため、タクシーのメーターもすぐに切替ができず、
しばらくはメーター表示料金に3元をプラスして払うという煩わしい光景が繰り広げられ、あちこちでトラブルも見られた。
料金が値上げされたにもかかわらず、車はあいかわらず、ダイハツの合弁会社が造っているシャーリー(シャレード)で
たいへん小さく乗りにくい車です。料金値上げにあわせて、もう少し大きな車に替えてほしいものである。
私の知る限りではかつての5元のタクシーは中国でも少ないのではないかと思う。上海・北京は10元、大連・青島でも
8元だった。
⇒現在(2007年9月2日)のタクシーの初乗り料金は8元です。
⇒2008年1月からは、もう少し大きい一汽トヨタの花冠(カローラ)と天津一汽の威志に変わることが発表された。
2008年8月31日までにこの2車種(排気量1.3リッター以上)に模様替えされることになる。車体もブルーとシルバー
のツートンカラーになるらしい。以下に天津の新聞(城市快報2007年12月7日)記事を添付しておく。
⇒この記事によると、天津のタクシーは現在3.2万輌あるが、そのうち3万輌が小型の夏利(シャレード)だという。
天津のタクシーのいいところは、台数が多いためにいつでもどこでもつかまえられるという点である。人がタクシーを
探すのではなく、タクシーが乗客を探してくれるのだ。上海や北京と比べて非常にありがたいことなので、
小さい車でも我慢しなければならないかもしれない。
|
●さらば面的よ! |
|
天津名物の黄色い軽ワゴンのタクシーが消えつつある。2005年末までに完全に消えてしまうらしい。
自転車を丸ごと載せて走ることのできる天津のタクシー「面的」は、自転車が通勤の足となっている天津の街にとって
たいへん便利で安い庶民の足である。ワゴンタイプであるため、無理をすれば運転手を入れて8人も乗れるタクシーは
ほかには絶対に見られない。車体が古くて危険であり、見た目も悪いので、オリンピックをひかえている
天津も模様替えの必要が出てきたようだ。現時点(10月4日)ではまだたまに見かけることがあるが、それもあとわずか
である。なんともさびしい限りである。
新聞記事「仮日100天2005年9月9日号」
⇒このタクシーは2005年12月末でなくなってしまいました。寂しい限りです。
|
●タクシーの車種は地元メーカーで統一? |
|
2008年のオリンピックをひかえている北京のタクシーは韓国の現代自動車との合弁会社「北京現代」の
代表車種「Sonata」か「Erantla」に統一することに決まったようだ。今まで大きいのから小さいのまでいろいろな
ボロタクシーが走っていたが、最近では新しい現代のタクシーが少しずつ増えている。
基本は地元のメーカーの車種を採用するらしい。現代は韓国のメーカーだが、
北京現代という会社が作っているので、地元北京の国産車ということになるらしい。
上海は以前からフォルクスワーゲンのサンタナに統一されている。WVはドイツの会社だが上海大衆という地元の
会社が作っている国産車なのである。それでは天津はどうなるのであろう。トヨタがビッツ、カローラ、カムリ、クラウン
などを天津一汽という合弁会社で製造しているがどうも旗色が悪い。今のところ明確な天津市の方針が出ていない
ようで、勝手にシャレードの新車が増えているような気がする。もう少し大きな車にしてほしい。
|
●バスは安くて便利? |
|
天津では北京の次にできたという幻の地下鉄がある。距離が短く、ほとんど利用されなかったらしく、現在これを
拡幅・延長の補修改造中で、2005年中には再開業するらしい。従って、現在の公共交通機関はバスしか
ない。天津市内の地理さえわかっていればたいへん安くて便利な乗り物である。市内のバス料金はどこまで
乗っても1元(2005年6月1日から突然1.5元に値上がり)である。
但し、きれいなバスは少なく、いつエンストを起こしても不思議でないようなバスである。
天津に駐在している日本人に「天津のバスは安くて便利ですよね」と話したら、信じられないという顔をする。
日本人がバスに乗るなんて考えられないらしい。人間ではないという目で見られてしまった。地元の人が日常の
足として利用しているバスを日本人が利用して何が悪いというのだろうか。おそらく、治安上の心配をしている
のかも知れないが、注意さえしていればきわめて安全な乗り物ではないかと思う。
⇒2007年春から、天津のバスの約4分の1が新しい冷暖房完備の新車両に変わった。但し、運賃はこれまでの
1.5元から2元に値上がりとなっている。冷暖房を使っていなくても2元とは高いのではないだろうか。
|
●天津のバスはICカードが利用できる |
|
2005年6月に、突然天津市内の路線バスの料金が1元(13円)から1.5元(20円)に値上がりした。これはほとんど
予告なしの値上げだったようで、乗客は皆戸惑っていた。突然バス停の行き先表示板の脇とバスの前面に
小さく1.5元とシールが貼ってあるだけで、なんとも不親切な値上げ通告である。今まで天津のバス料金が
安すぎたといえばそれまでだが、1元札1枚出すのと1元と5角の札を準備しなければならない煩雑さは、
利用者にはたいへんに不評である。
天津のバスはボロの車輌が多いのだが、不思議なことに以前からICカード読取機が設置されており、
路線バス用のプリペイド式のICカードが発行されていた。今回の値上げに伴い、面倒な料金支払の代わりに、
このICカードを持つ人が増えたようである。便利なので、私もICカードを持っているが、若干の料金割引もあるだ。
但し、このICカードの販売とチャージがバスの終点の事務所でしかできないという不便さはつきまとっている。
⇒2007年11月より、地下鉄、バス、軽軌、タクシーなどの支払いが出来る共通のICカード「城市カード」が
発売された。しかし、このカードを販売しているところが少なく、まだ利用者はほとんどいない。私は持っている。
|
●天津のバスは広告塔 |
|
数年前から日本でも都バスなどの企業の広告をつけたバスがお目見えし、かなりのバスが広告塔になっているが、
天津のバスは、ほぼ95%が広告付きのバスである。確か日本のバスはラップトップバスといって、車体に広告の
フィルムを貼ったものだが、天津の日本のバスは車体そのものをペンキで塗ってあるようだ。ある広告のバス
(例えば、住宅地の広告など)は行く方向が決まっている。1から3桁の数字表記が基本のバス路線を選択する
には広告で見分けるという便利な点もある。但し、時々変わることもあるらしいので要注意。
|
●バスの運転手の1/3は女性 |
|
中国は基本的に男女平等であるため、日本では考えられないことだが、バスの運転手も女性が多い。私が
ざっとみた限りでは、約30%が女性だと思う。但し、残念ながら、ほとんどがかなり怖そうなおばちゃんである。
一回だけ若くてかわいい女性の運転手が運転するバスに乗ったことがある。あまり化粧をしていないけど
すごく整った顔立ちのきれいなお嬢さんで、とても大型バスを運転するとは思えない小柄な女性であった。
かなり複雑なルートを走る902路線を颯爽とハンドルを切っていく姿に見惚れてしまった。その後、何度も902路線の
バスに乗ったけど再会したことがない。いつか会えることを楽しみにしていたい。
ちなみに、天津のタクシーの場合は約10%が女性ドライバーである。
|
●中国の鉄道は定刻より早く出発する? |
|
約120kmの距離がある天津−北京間を鉄道で約70分でつなぐ快速列車「神州」号が走っている。中国では
珍しい全車空調付きの2階建て車輌で、各車輌に若い女性の車掌さんが乗務しており、車内販売などの
サービスがある。面白いのはヤカンを持ってお湯のサービスに廻ってくる。これはお客さんのお茶やカップ麺のための
もので、結構利用している人も多い。
過去に3回ほど経験しているのだが、この列車は定刻よりも1〜2分早く出発することがある。皆せっかちなのか、
定刻までに揃っているためか、運転手・車掌の時計が狂っているのかよくわからないが、なにしろ早く出発して
しまうのである。天津、北京で鉄道に乗るときは早めに列車に乗っておくことをお奨めする。
⇒2007年春から北京天津間は日本の新幹線車両を使って、新ダイヤで運転されている。
ただし、これも定刻より1,2分早く発車することがあるので、要注意。
|
食べもの編 |
●天津には「天津甘栗」というものはない |
|
天津の名産品として日本人の間で最も有名なのは天津甘栗。こちらでは秋に登場する「糖炒栗子」のことを
誰かが「天津甘栗」と命名して日本で販売されたのではないかという。日本の天津甘栗の栗は天津産ではなく、
隣の河北省産らしい。昔甘栗が天津港から日本に輸出されために「天津甘栗」と呼ぶようになったのでは
ないかという説がある。
日本では天津甘栗は1年中どこでも売られているが、天津では秋から冬にかけてしか販売されていない。
店によって味が若干違うが本場の「糖炒栗子」はたいへんおいしいので、そのシーズンを楽しみに天津に来られる
ことをお奨めする。
|
●天津に「天津甘栗羊羹」がある |
|
中国を訪れたことのある日本人は北京空港などで見かけたことがあるはずで、よくご存知かもしれないが、観光客に
たいへん人気のある「天津甘栗的栗羊羹」というものがある。これは天津にある食品メーカー「万寿家(天津)食品
有限公司」という会社が製造している。この会社は伊勢の銘菓「赤福」の関係会社で10年以上も前から天津で
厳選された中国の小豆と栗を原料に使って羊羹を作っている。中国のお土産としてお奨めする。
|
●天津に天津丼(天津飯)はない |
|
日本できわめて一般的な中華料理としてあんかけカニ玉どんぶりのことを「天津丼」というが、天津には
天津丼は存在しない。いろいろと食べ歩きながら探したのだが、それらしきものはなかった。もともとどんぶりと
いうもの自体が日本の食べ物であり、誰かが勝手に天津の名を使って売り出したからであろう。ある説では
昭和の初期に浅草の定食屋で客の注文に応じ、カニ玉をご飯の上にのせて出したのが天津丼の始まりだと
いうが、カニ玉丼をなぜ「天津丼」と命名したのかはわかっていない。当時中国の港町としては天津がもっとも
日本人にはよく知られていたので、甘栗と同じく適当につけたのかもしれない。今後もう少し調べてみたい。
|
●食べ物はなんでも旨い |
|
天津の食事は味付けの濃いものが多いが、全体的においしいものが多い。特に庶民的な食事は多少衛生面で
問題があるかもしれないが、たいへん旨い。朝食は屋台の油条、煎餅果子、豆乳、老豆腐、ワンタン、包子、
餅類など種類もたいへん多く、毎日でも食べ飽きることがない。特に天津の朝食のお奨めは「煎餅果子」という
緑豆の粉を水で溶いて好み焼き風の生地とし、卵とともにクレープ状に焼き上げ、油で揚げた油条などを
巻き込んで味付けしたもので、メキシコのタコスの中国版といったようなものである。
夜の庶民の料理は更に豊富な味が楽しめる。屋台で食べる串焼きと砂鍋(日本の土鍋)の料理は安くてたいへん
旨い。旨い料理の並べ始めたら、きりがないので、別の機会に紹介していきたい。
⇒最近(2007年12月)の値段は以下のとおり徐々に値上がりしています。
煎餅果子 2.2元、ワンタン 2.3元、里肉餅 1.6元、もやし揚げ+餅 1.3元、老豆腐 1元、大餅鶏卵 2.5元
|
●天津の羊は牛肉より旨い |
|
天津だけではないと思うが、中国の羊は肉用に飼育されているので、綿羊とはまったく違い、その肉はたいへん
旨い。毛はあまり長くないので、羊毛を採ることはできないが、この肉を薄切りにしてしゃぶしゃぶ(火鍋)で
味わうと、羊肉のイメージが大きく変わってくる。日本で食べる羊肉の臭みなどまったく感じない。何種類もある
火鍋は日本のしゃぶしゃぶのルーツではないかと思う。骨付き羊肉の串焼きも絶品である。新疆ウィグル自治区
の料理らしいが、ちょっと変わった香辛料に味付けされた肉は甘くておいしい。是非天津に来て旨い羊肉料理を
堪能してほしい。
|
●中国のビールは安くて、呑みやすい |
|
最近の統計で中国はビールの消費量で世界一になったらしい。人口が多いので当然といえば当然だが、その
理由としてビールの価格が格段に安いということもあるだろう。350mlの缶ビールが1.2元から3.5元(日本円で
15円から50円くらい)という安さは、たいへん魅力的である。ミネラルウォーターやコーラよりも安いかもしれない。
但し、中国のビールのアルコール濃度は3〜4%程度なので、日本の5.5%ビールに比べるとたいへん飲みやすく、
水代わりに飲めるのである。水質のあまりよくない中国ではお茶やコーヒーの味を楽しむ機会が少ない。
そのために食事にビールが欠かせなくなるのであろう。残念ながら、中国では漢方の考え方からか、冷えたビールは
身体を冷やすのでよくないということで、店によっては冷えたビールを全く置いていない場合がある。
飲料用のストックケースはあるのだが、スイッチを入れていないため、ただのショーケースになっている。
冬ならある程度は我慢できるが、夏場には勘弁してほしい。
|
●マクドナルド、KFCは子供のため? |
|
中国の人は鶏肉がたいへん好きだ。特にマクドナルドやケンタッキーフライドチキンのちょっぴり辛い鶏肉の
ハンバーガーが子供に人気ある。親や祖父母の世代はこの種の味に慣れていないせいか、あるいは値段が高い
せいか、一緒にいても、子供だけに食べさせている光景が目立つ。一人っ子政策のため、両親と両親の親6人
から子供はたいへん大事に甘やかされて育てられているようで、何でも食べたいものを与えられているようだ。
その影響だと思うが、肥満児がたいへん多い。
学校の送り迎えも親か祖父母が車や自転車に乗せて通学させている。彼らが成長していくに従って、近い将来は
中国は深刻な肥満大国になっているかもしれない。
|
●少人数での食事は難しい
|
|
中華料理は大勢で丸テーブルを囲みながらワイワイガヤガヤしながら、たくさん並んだ料理のテーブルを回転させて
味わう料理である。理想的には8人ぐらいで一緒に食べながら話を弾ませるというのがもっとも楽しめる。この場合は
前菜(涼菜)4品、主菜8品そして最後に麺類かまんとうやご飯ものなどの主食というのが一般的である。
少人数(たとえば1〜3人)だと、多くの種類の料理を楽しめないので困る。1品の量が多い。日本のようなセット料理、
幕の内弁当的なものがない。特に一人の時は困る。一人で食えるのはマクドナルドとケンタッキーフライドチキン
くらいなものだが、これは勘弁してほしい。天津でも牛丼の吉野屋が増えてきたが、これもしょっちゅうというわけには
行かない。中国では1人で食事をする人がいないのだろうか。
|
●美食街というレストラン |
|
最近中国人でも少人数で食事をすることが多くなってきたせいか、大型スーパーの最上階などに美食街という新しい
形態の店舗が増えてきた。私が知っている限りでも北京、天津市内に5軒ある。
このレストランはまず始めに食券としてべきプリペイドカードを購入する。自分の購入予定量に合わせて10元でも
100元でもいい。このカードで、ずらりと並んだ小さい屋台風の店で好みの食事を注文し作ってもらうことになる。
迷ってしまうほど中国各地の料理が揃っているので、それなりに楽しむことができる。多いところは20件以上の店が
並んでいる美食街もある。ここでは言葉が通じなくても目の前の見本を指差すだけで済むが、やや寂しい感もある。
|
春節爆竹編 |
●お正月(春節)に爆竹は欠かせない |
|
話には聞いていたが、こんなにすごいとは想像できなかった。中国の正月は陰暦の1月1日、いわゆる旧正月で、
この前後にそこら中で爆竹が鳴り響く。バグダッドの戦闘よりもすごい?大音響に耳が張り裂けそうである。特に
大晦日から元旦の朝にかけては、全く切れ目なく爆音に襲われる。中国の人にとって、正月の爆竹は「悪を追い
払い、福を呼び込む」儀式のようなもので、この騒々しさでは鬼も悪魔も逃げ出すであろう。
|
●爆竹売り場は突然出現する |
|
春節の2週間くらい前から、街の角々に爆竹、花火売り場が突然出現する。とんでもなくでかい花火やダイナマイト
のような大きさの爆竹が並び始めると、そろそろ正月ということになり、皆そわそわしてくる。春節期間が過ぎても
爆竹売り場はなくならない。陰暦の5日、10日、15日が特別の意味があるようで、それまで爆竹・花火を売り
続ける。慣れていない我々にとっては、毎朝7時頃から、夕方は6時頃から延々と続く爆音に、3日目頃から、
もういい加減にしてくれといいたくなってくる。
この時期に中国駐在の日本人が皆揃って帰国するのは、この爆竹から逃れるためかもしれない。
|
●爆竹禁止の街もある |
|
天津では爆竹は禁止されていないので、どこでも楽しめるが、中国でも爆竹禁止の町がかなりあるという。首都
北京の中心部(第4環状線内側)は絶対禁止となっている。そのほかにも上海や広州などの都会は原則として
爆竹禁止となっているが、実際には建前上のことで、庶民の正月の恒例行事を禁止するのはたいへんむずかしく、
皆守っていない。一説によると、そのときの市長の奥さんが爆竹を嫌いな場合は禁止となり、奥さんが好きな場合は
OKとなるという市長の自主性が疑われるような笑い話が面白おかしく語られている。
⇒2007年の春節から、北京市内でも原則として爆竹・花火がOKとなった。但し、慣れていない家のペットが
暴れだしたり、ショック死したケースもあったという。
|
●真冬の花火大会 |
|
陰暦の15日は花火の日だという。日本では花火大会は真夏の風物詩となっているが、こちらは真冬に花火を
楽しむ。天津郊外の町の花火大会に招かれたが、たいへん大規模な花火大会でビックリする。日本と比べると
非常に低いところで開花するため、あたかも自分の頭の真上で爆発している迫力には圧倒される。どうも航空機の
飛行ルートに近いため、かなり低いところで開花させているという説もあるが、本当かどうかわからない。
真冬の花火もそれなりに風情があるが、寒いことこの上ない。完全防寒服で備えるべきである。
|
その他一般編 |
●町は工事だらけ |
|
今、天津市内はそこら中で工事をしている。道路、建物、地下鉄、橋などの工事が猛烈な勢いで進んでいる。
たぶん、2008年の北京オリンピックでは天津でも数種目の競技が行われるので、それに間に合わせるように突貫
工事をしているようだ。だから天津はたいへん埃っぽくて、空気が悪い。発電所も工場も石炭を大量に燃料として
使っているため、空気の悪さに拍車をかけている。車も車検がないのではないかと思うほど、ひどい車が真っ黒い
排気ガスをまき散らして走っている。今のところ公害規制の話はほとんど聞こえてこない。
ものを作るのが先決のようだ。デリケートな人が天津に来られる時には防毒マスクを持参することをお奨めする。
|
●中国人は並ぶのが嫌い? |
|
天津だけではないので、ここはあえて中国人としておく。一般的に中国人は並ぶのが嫌いらしい。電車・バスに
乗車する時の割込みはあたり前。仮に並んでいてもすぐに団子になる。エレベーターは降りる人を待たずに強引に
乗り込む。銀行の窓口などで並んでいると横から割込もうとする。それを制すると後ろから押してきたり、
暗証番号をのぞきに来る。別に悪意があるわけではないようだが、理解できない。この様子は日本の某大都市
にも見られるのであまりえらそうなこといえないが...。ところが、不思議なことにデパートや駅のエスカレーターを
日本のように歩いて上り下りする人がほとんどいない。本当はたいして急いでいないのだろう。
|
●天津の川は凍る |
|
天津市内、周辺を流れている川は12月下旬には凍結して、人が歩いて渡れるようになる。寒いから当然と
いえるが、日本では考えられない現象である。日本のように流れが急ではなく、ゆったりと流れているために
池や湖のように凍るのである。不思議なことに橋の下は凍りにくい。たぶん放射冷却がなく、橋で保温されて
いるからかもしれない。休みの日には川の氷に穴を開けて釣りを楽しむ人がたいへん多い。
|
●天津の雪は消えてなくなる |
|
たまに天津でも雪が降る。天津の雪はサラサラで、溶けて水になることがない。凍結してツルツルになることも
ない。気温が低いために固体から液体にならずに、知らないうちに雪が消えていく。まるで、樟脳のように昇華して
いるようだ。気温が低く空気が乾燥しているため、雪が液体を経ずに直接気体になっていく現象が起きているの
ではないかと思う。天津では人だけでなく雪もせっかちなのかもしれない。
|
●以下続く 乞うご期待! |
|
|